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アイデアは交差点から生まれる イノベーションを量産する「メディチ・エフェクト」の起こし方

アイデアは交差点から生まれる

クレイトン・クリステンセン絶賛「本書の主張は、あらゆる分野のイノベーターを導くクリエイティビティの不朽の原則である」革新を生み出す「交差点」とは何か、いかにそれを作り出すか。これであなたも世界を変えるイノベーターになれる!

著者来日記念動画「自著を語る」

  • 書籍:定価1870円(本体1,700円)
  • 電子書籍:定価1496円(本体1,360円)
  • 2014.09発行
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内容

「本書の主張は、あらゆる分野のイノベーターを導く
クリエイティビティの不朽の原則である」

『イノベーションのジレンマ』著者 クレイトン・クリステンセン 絶賛

大流行したカードゲームの発案者、
革新的な戦略を提案するコンサルティング会社、
恐竜滅亡の隕石衝突説を提唱した天文学者、
18歳で潜水艦を自作した発明家――。
古今東西の事例から明らかにする、不朽の原則!

革新を生み出す「交差点」とは何か、
いかにそれを作り出すか。
これであなたも世界を変えるイノベーターになれる!

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私たちもまた、このメディチ・エフェクトを起こすことができる。とてつもないアイデアを次々と生み出し、個人として、チームとして、組織として、その恩恵に浴することができるのだ。そのためには異なる専門分野や文化が相互に出会う場を探さなければならない。本書はそうしたアイデアの交差点をどのように見出すか、またどうやったらその出会いが可能になるかを読者に指南する。 (「はじめに」より)

はじめに(抜粋)

(前略)

メディチ・エフェクトを起こす

 本書の背後にある考え方はいたってシンプルだ。異なる分野や学問、文化が交差する場では、既存の概念をさまざまに組み合わせて新しい非凡なアイデアを数多く生み出すことができる。私がそれを「メディチ・エフェクト」と名づけた由来は、創造性が爆発的に開花した一五世紀のイタリアにある。

 フィレンツェで銀行業を営み繁栄したメディチ家は、幅広い分野の文化人や芸術家を保護した。メディチ家やその他のいくつかの資産家のおかげで、フィレンツェには彫刻家や画家、詩人、哲学者、科学者、金融業者、建築家など多種多様な人びとが集結した。彼らはそこで出会って互いに学び合い、互いを隔てる文化や学問の障壁を取り払って交流した。彼らは手を携えて新しいアイデアに基づく新しい世界をつくりあげ、のちの世にいうルネッサンスを花開かせた。フィレンツェを中心に、人類史上稀にみる創造性に満ちあふれた時代が到来したのである。今日もなお、メディチ家の影響は消えることなく脈々と息づいている。

 私たちもまた、このメディチ・エフェクトを起こすことができる。とてつもないアイデアを次々と生み出し、個人として、チームとして、組織として、その恩恵に浴することができるのだ。そのためには異なる専門分野や文化が相互に出会う場を探さなければならない。本書はそうしたアイデアの交差点をどのように見出すか、またどうやったらその出会いが可能になるかを読者に指南する。これはルネッサンス時代についての本でもないし、メディチ家についての本でもない。その時代を可能にしたものは何かについて書いた本だ。異なる専門分野や文化が出会う交差点に踏み込んだときどんなことが起き、そこで見出したアイデアをどうやったら生かすことができるか――それが本書のテーマである。

(中略)

あらゆる場所を結びつける

 ここまで書いてきたことは、一種の夢物語のように聞こえるかもしれない。メディチ・エフェクトを生み出すことのできる画期的な躍進は、本当に異なる専門分野や文化同士を交差させることで可能になるのか? もしそうであれば、そうした交差点の特性を理解し、そこに秘められた力を活用することは可能なのか? 答えはともにイエスである。私が本書を執筆した目的を整理すると、次の三つになる。

1.第一に、交差点とは具体的に何であり、それが将来増えると予想されるのはなぜかを説明する。三つの重要な力が作用することによって、世界中で交差点の数が増えつつあることを明らかにする。

2.第二に、交差点に踏み込むとどうしてメディチ・エフェクトが生まれるのかを説明する。なぜそこが創造性を生み出す活気にあふれているのか、そしてどのように交差点を利用すれば意外性に満ちた革新的なアイデアを考案できるのかを明らかにする。

3.第三に、異なる分野同士を交差させることで生まれたアイデアを実行する際に生じる問題と、それを克服する方法について解説する。既存の分野のなかでアイデアを実行することと、交差点で実行することの違いはどこにあり、その違いにどう備えるべきかを明らかにする。

 以上の三つの目的を満たすにあたっては、ディーン・キース・サイモントン、クレイトン・クリステンセン、テリーザ・アマビル、ロバート・サットンといった創造性とイノベーション研究の第一線で活躍する研究者の著作をはじめ、心理学、経済学、社会学のさまざまな文献を参照させていただいた。だが私にとってもっとも興味深い発見や結論をもたらしてくれたのは、実際に交差点で活動する人たちと交わした数え切れないほどの会話やインタビューである。彼らがどのようにして交差点に身を置くにいたったかや、どのようにメディチ・エフェクトを起こしたかについて語ってくれた話は、ゆうに三冊は本が書けるほどの驚きと貴重な洞察に満ち満ちていた。

 たとえば本書に登場するシアトル在住の数学者は、ゲームとコレクション・アイテムが交差する場に踏み込み、世界でももっとも急速に広まりつつある娯楽活動を生み出した。本書では彼がいかにしてそれをやり遂げたかを解き明かし、それが交差点に身を置くすべての人に共通するものであることをつまびらかにする。また、新しい事業を起こすたびに交差点に足を踏み入れる起業家も登場する。彼の物語を読めば、不確実性ギリギリのところでも勇気を奮い起こせることがわかるはずだ。暴力の予防と医療とを結びつけた医師も登場する。一人の理解者もいないなか、アイデアの実現に向けて孤軍奮闘した彼女の姿からは、交差点に身を置く人すべてが直面する苦労を読み取ることができる。また、コロンビアの海岸沖に浮かぶ囚人の島に渡り、ヘビのはびこる島を歩き回って溶岩のサンプルを集めた女性研究者の話もあれば、弱冠二四歳のとき独自の食材の取り合わせで世界をあっと言わせたシェフの話や、サルの思考を読み取る方法を発見した研究チームの話もある。

 これらの個人や、彼らのなし遂げた驚くべきイノベーションは、私たちに交差点がいかに大きな力をもつかを教えてくれる。彼らは皆、一般には何の関係もないと思われている分野同士を結びつけることに成功した。そしてそれによって生まれたアイデアは彼らを変え、組織を変え、最終的には私たちの住む世界の一部を変えた。これらの例から、私たちはどうしたら自分たちも彼らのようになれるかを学ぶことができる。彼らの物語は本書の中心となるテーマ――独創的なアイデアを次々と生み出すにはどうしたらよいのか、それを実現するには何をすべきなのか――に答えてくれる。それは、あなたが驚くような答えかもしれない。

目次

はじめに

メディチ・エフェクトを起こす
驚くべき洞察力
すべての人に開かれた場所
あらゆる場所を結びつける

第I部 交差点

第1章 イノベーションの生まれる場所
――サルの心を読んだ人たち

クリエイティブなアイデアとイノベーション
交差点――異なる分野が出会う場所
交差的アイデアは驚きを生む
二種類のアイデア
交差点はイノベーションのためのベスト・チャンス

第2章 交差点が生まれるとき
――シャキーラの音楽とシュレックの感情

第一の力――人の移動
第二の力――科学における相互乗り入れ
第三の力――コンピュータ技術の飛躍的向上
新たなステップ

第II部 メディチ・エフェクトを生み出す

第3章 垣根を取り払う
――ウニ味のキャンデーとダーウィン・フィンチ

連想のバリアとは何か
連想バリアの功罪

第4章 連想のバリアを壊す
――ヒースロー・トンネルと食べ物のないレストラン

さまざまな文化にふれた経験
既成の教育にはない学び方
思い込みを逆転する
違う視点に立って物事を見る
次に何が起こるか

第5章 偶発的な概念の組み合わせ
――カードゲームと高層マンション

魔法(マジック)を見つけた男
交差的アイデアの創造
教訓その一――異なる概念を組み合せる
教訓その二――それは偶発的である

第6章 偶発的な組み合わせを見つける
――隕石の衝突と暗号解読

職の多様化
多様な構成のグループ
交差的ハンティング
アイデアの爆発に備える

第7章 アイデアの爆発に火をつける
――潜水艦とチューブラー・ベルズ

アイデアの量と質の関係
アイデアの生産者
イノベーターはなぜ生産的か
交差点で起こる爆発
アイデアの爆発とともに生きる

第8章 爆発をわがものにする
――マクガイバーとゆでたじゃがいも

深さと広さのバランスをとる
積極的に多くのアイデアを出す
評価には十分時間をかける
アイデアからイノベーションへ

第III部 交差的アイデアを形にする

第9章 失敗を乗り越えて実行せよ
――暴力と学校のカリキュラム

失敗と成功
失敗を恐れるな

第10章 決してひるまず、成功へと前進する
――パームパイロットと逆効果のごほうび

失敗に終わるアイデアのなかから失敗しないアイデアを発見する
試行錯誤のためのリソースを確保する
モチベーションを保つ
成功に向かって前進する

第11章 既存のネットワークから飛び出す
――アリとトラック運転手

ネットワークのパラドックス
なぜネットワークを築くのか
なぜネットワークを飛び出す必要があるか

第12章 ネットワークからの脱却
――ペンギンと夢想

依存の連鎖を断ち切る
闘う覚悟を決める
もうひとつの重要な要素

第13章 リスクを引き受け、不安に打ち克つ
――飛行機とシリアル・アントレプレナー

交差点におけるリスクと不安
交差点での勇気
人はリスクを最小限にはしない
リソースは必要最小限あればよい
バークとブランソンの秘密

第14章 公平な目でリスクを測る
――ゾウと伝染病

リスクにまつわる「行動のワナ」を回避する
その一――「事がうまく運んでいるからじっとしていよう」というワナ
その二――「長い間ここでやってきたら動かないほうが無難」というワナ
その三――「交差点でのリスクを方向的な視点から見る」というワナ
リスクや不安があることを認める
進みつづける勇気

第15章 交差点に踏み込め
――メディチ・エフェクトを生み出そう

未来は交差点にある――交差点を目指せ
予期せぬことを予期せよ――交差点はいたるところにある
交差点にも論理はある――だがそれは必ずしも単純明快ではない
思いきって跳べ

謝辞
訳者あとがき
原注

略歴

[著者]
フランス・ヨハンソン(Frans Johansson)

アフリカ系アメリカ人とチェロキー族の血を引く母、スウェーデン人の父のもと、スウェーデンに生まれ育つ。アメリカ東部のブラウン大学を卒業後、ソフトウェア企業を設立、CEOを務めた後、ハーバード・ビジネススクールにてMBAを取得。ソフトウェア企業のほかに、ヘルスケア企業、ヘッジファンドも設立している。異分野・異文化の交差点で成功を収めた個人、チーム、組織を丹念に取材して得られた事例と、心理学、経済学、創造性、イノベーションなどの分野における研究成果を、独自の理論によって融合させて生み出した本書は、世界的なベストセラーとなった。著書はほかに『成功は“ランダム”にやってくる!─チャンスの瞬間「クリック・モーメント」のつかみ方』(阪急コミュニケーションズ)。現在は、設立したイノベーション・戦略コンサルティング企業「メディチ・グループ」のCEOとして、ナイキやノバルティスなどの大企業からベンチャーまでを顧客に抱え、講演、執筆、コンサルティングに活躍する。
www.themedicigroup.com

[訳者]
幾島幸子(いくしま・さちこ)

翻訳家。早稲田大学政経学部卒業。訳書(共訳含む)に、デイジー・ウェイドマン『ハーバードからの贈り物』(ダイヤモンド社)、アントニオ・ネグリ/マイケル・ハート『マルチチュード』『コモンウェルス』(NHK出版)、スティーブン・ピンカー『思考する言語』(NHK出版)、ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』(岩波書店)、アズビー・ブラウン『江戸に学ぶエコ生活術』(阪急コミュニケーションズ)ほか多数。

ブックデザイン/相京厚史(next door design)

※本書は、2005年に武田ランダムハウスジャパンより刊行された『メディチ・エフェクト』を改題し、再刊行したものです。