パワー・クエスチョン 空気を一変させ、相手を動かす質問の技術
F・ルーズベルト、ソクラテス、シェイクスピア、イエス・キリストの共通点は何か? それは「パワー・クエスチョン」の使い方を知っていたことだ。本書を読めば、あなたも仲間入りできる!――マーシャル・ゴールドスミス
- 書籍:定価1870円(本体1,700円)
- 電子書籍:定価1496円(本体1,360円)
- 2013.03発行
内容
閉ざされた扉を開き、問題の核心に切り込み、会話を驚くほど楽しいものに変える「パワー・クエスチョン」を使うと――
●相手とすばやく打ち解ける
●問題を定義しなおして解決策を探る
●商品やアイデアをどんどん売り込む
●迅速な意思決定を促す
●隠れた能力を引き出す
●相手の「夢」にアクセスする
●顧客や同僚、友人に影響力をおよぼす
・・・・・・
本書では、バリエーションやフォローアップの質問も含め、337の「パワー・クエスチョン」を紹介。
昨年、アメリカとカナダで同時刊行され、たちまち大きな反響を呼んだ話題の書。
シカゴの高層ビルの40階、さんさんと陽光が降りそそぐオフィスに私たちはゆったりと座っていた。私は取材相手のCEOに訊いてみた。「取引を望む相手との面談で、いちばん強く心に残るのはなんですか? 知り合ったばかりなのに信頼できそうだと感じる決め手はなんでしょう?」
このCEOは年商120億ドルの会社を経営している。インタビューは彼が全幅の信頼を寄せる取引先がテーマだった。対象となるのは、彼の会社が長年にわたって利用している銀行や法律事務所、そして、彼の厚い信任を得ているアドバイザーたちだ。
「いつもそうだが」と、CEOは言った。「コンサルタントにしろ、銀行家にしろ、弁護士にしろ、どういう質問をするか、そして、こちらの話にどれだけ熱心に耳を傾けるかで、その人間の経験と洞察力がわかる。それだけのことだ」
この言葉は、人間関係を築く上でなにが重要か端的に言い尽くしている。それはまたコンサルティング業務で出会った多くの人たちから私たちが学んだことでもある。すなわち、いい質問は答えよりはるかに効力がある場合が多いという事実だ。
的を射た質問をされると、私たちはいやでも考えさせられる。新たな視点から問題をとらえ直そうとする。そうすることで自分の思い込みに気づき、これまでの考え方を捨てることになる。つまり、質問が契機となって、もっと学び、新たな発見をしたいという気になるわけだ。優れた質問は、人生でなにがいちばん大切か思い出させてくれる。
昔から、ソクラテスやイエス・キリストといった世界を大きく変えた人物は、実に効果的に質問を活用している。彼らにとって質問は教材であり、周囲の人々を根底から変える手段でもあった。この2人には後章で登場してもらって、そのテクニックを学ぶことにしよう。
本書には、ほかにも企業のリーダー、聖職者、大富豪、弁護士、医療機関のCEOなど、さまざまな人々が登場する。いずれもすばらしい人物で(ご存じの人もいるだろう)、パワー・クエスチョンが人生の大きな転機となった人たちである。
(中略)
本書は「パワー・クエスチョン」というタイトルにした。この本で紹介する質問には、会話を驚くほど楽しいものに生まれ変わらせるパワーがあるからだ。パワー・クエスチョンは、問題の核心に切り込む強力なツール、閉ざされた扉を開く鍵である。
続く34の短い章では、ひとつ、あるいは複数のパワー・クエスチョンが、会話や状況を一変させた様子を説明している。いつ、どんな状況で質問すればいいか示すために実例をあげてある。巻末の「状況別・さらなるパワー・クエスチョン293」では、新たにまた293のパワー・クエスチョンをテーマ別に列挙した。こうした質問を活用すれば、公私ともにさまざまな状況で成果をあげられるはずだ。
質問が持つパワーを活用できるようになると、仕事の上でも私生活でも効率がぐんとよくなる。本書は人間関係を築き、円滑なものにするために役立つだろう。製品やサービスやアイデアをどんどん売り込んでいただきたい。人を動かして、本人ですら気づかなかった能力を引き出してほしい。そして、クライアントや同僚や友人に影響力をおよぼしてもらいたい。
いい質問の変革力を駆使する心構えができただろうか? それでは、始めよう。
目次
1 いい質問は安易な答えに勝る
2 どん底に落ちたくなかったら穴を掘るな
3 四語
4 売り込みがうまくいかないとき
5 ミッションは重要なのではない。すべてだ
6 洞窟から抜け出す
7 初めから始める
8 やり直す
9 理由がわかれば克服できないものはない
10 秘密
11 これはあなたにできるベストですか?
12 ゴリラの砂投げ
13 決まり文句は禁物
14 夢を奪われないで
15 沈黙が最善の答えとなるとき
16 最良の師
17 堰を切ったように
18 仕事の本質
19 苦渋の決断
20 人生の岐路
21 私を誰だというのですか?
22 人生で最高の瞬間
23 あなたのための計画ですか?
24 こだわりを捨てて、立場を変えてみる
25 剣幕をなだめる方法
26 深く、深く掘り下げる
27 常に忠誠を
28 私の欠点は煮え切らないところだった。さて、今はどうだか
29 長すぎる説明
30 今日は特別の日
31 決して遅くはない
32 人生の棚卸し
33 なにより気がかりなこと
34 今を精いっぱい
35 パワー・クエスチョンの驚くべき威力
状況別・さらなるパワー・クエスチョン293
訳者あとがき
略歴
[著者]
アンドリュー・ソーベル Andrew SOBEL
クライアントとの間に信頼関係を築き、実りある関係を持続させるスキルと戦略に関する著書で世界的に著名。ベストセラーとなった処女作Clients for Life(邦訳『選ばれるプロフェッショナル』英治出版刊)はビジネス書の新たなジャンルを確立した。シティバンク、ゼロックス、コグニザントなど有名企業トップに対するコンサルタントとして30年におよぶキャリアを誇り、『ニューヨーク・タイムズ』『USAトゥデイ』『ハーバード・ビジネス・レビュー』など主要紙誌に大きく取り上げられた。ダートマス大学タック経営大学院でMBAを取得。
ジェロルド・パナス Jerold PANAS
1968年の設立以来、大学や美術館、ヘルスケアセンターなど主に非営利の2,500を超える組織や団体に資金調達に関するアドバイスを行なってきた世界最大のコンサルティング会社、ジェロルド・パナス、リンジー&パートナーズのCEO。フィランソロピーのトレーニングを提供し、「ドナー」を養成するInstitute for Charitable Givingの設立者でもある。これまでに13冊の著書があり、なかでも常にベストセラーリストに登場するAskingとMega Giftsが有名。全米各地で年間50回以上の講演をこなしている。
[訳者]
矢沢聖子(やざわ・せいこ)
英米文学翻訳家。津田塾大学卒業。主訳書に、リンゼイ・デイヴィス『探偵ファルコ』シリーズ(光文社)、アガサ・クリスティー『スタイルズ荘の怪事件』(早川書房)、ダミアン・トンプソン『すすんでダマされる人たち』(日経BP社)、マイケル・ヴィンセント・ミラー『愛はテロリズム』(紀伊国屋書店)、パトリック・レンシオーニ『ザ・アドバンテージ』(翔泳社)ほか多数。
●装丁・本文デザイン/轡田昭彦、坪井朋子
●編集協力/企画JIN(清水栄一)