彼女が会社を辞めた理由 夢を叶えた「元会社員」13人の物語

彼女が会社を辞めた理由
影山惠子 著
  • 書籍:定価1650円(本体1,500円)
  • 電子書籍:定価1320円(本体1,200円)
  • 四六判・並製/320ページ
  • ISBN978-4-484-11213-8
  • 2011.05発行

今の仕事、楽しいですか? ――人生をあきらめたくないすべての女性たちへ。 <大宮エリー、谷川真理、俣野千秋、村上智美、SHEILA、小川彌生、矢嶋文子、坂野尚子、西方 凌、新間美也、宮崎真理子、井上由美子、堀木エリ子>

書籍

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内容

今の仕事、楽しいですか?
――人生をあきらめたくないすべての女性たちへ。

勤めていた会社を辞め、
起業家に、調香師に、漫画家に、バーテンダーに――。
大胆な転身を遂げ、夢を叶えた13人の女性たち。
不安だらけの今こそ、たくさん悩みながら人生を切り開いてきた
彼女たちの言葉がココロに響く。 さぁ、あなたも一歩を踏み出そう!

目次

はじめに

辞める理由は
些細なことでもかまわない

大宮エリー
脚本家、演出家、作家、映像ディレクター、CMプランナー [元広告代理店勤務]

展望がなくても
今しかできないことをする

谷川真理
ランナー(アミノバイタルAC所属) [元リース会社勤務]

一枚の紙に
ありったけの夢を書き出す

俣野千秋
株式会社カフェリング 代表取締役 [元営業、複数企業にて勤務]

思いがけない話でも
ためらわずに飛び込む勇気を

村上智美
バーテンダー [元ホテル勤務]

年齢は関係ない、
いくつになっても夢を追おう

SHEILA
タレント、女優 [元外資系商社勤務]

安定を捨てて
チャンスをつかみにいく

小川彌生
漫画家 [元新聞社勤務]

どんな形でもいい、
今できることから始めてみる

矢嶋文子  八百屋 瑞花 店主 [元菓子店店長、教育関連企業勤務]

新しい世界を知り、自分の
可能性を大きく広げていく

坂野尚子
株式会社ノンストレス 代表取締役 [元アナウンサー]

ビジョンが見えたら人生の転機、
迷わず行動する

西方 凌
女優 [元左官]

どんな夢も
願い続ければ必ず叶う

新間美也
調香師(パリ在住) [元民間団体勤務]

先が見えなくても、
ゆっくりとただ歩みを続けて

宮崎真理子
NPO法人フローレンス勤務 [元大手下着メーカー等勤務]

根拠なき自信を胸に抱き、
好きを仕事にする

井上由美子
脚本家 [元テレビ局勤務]

天職なんてない、
自分でこれだと「決心」すること

堀木エリ子
和紙クリエイター、株式会社堀木エリ子&アソシエイツ 代表取締役 [元都市銀行勤務]

おわりに

はじめに

「どうして会社、辞めたんですか」
08年末に会社を辞め、フリーランスとなった私が行く先々で受けた質問がこれです。
時にクライアントとの打ち合わせの席だったり、異業種交流会だったり。
意外なことにその質問を投げかけてくる多くが、女性でした。
この場合、答える際に2つの配慮が必要となります。相手との関係性と、その場の持ち時間。さほど親しくない相手や、立ち話程度の相手であれば、
「えぇ、まぁ、自分なりに思うところがありまして……」
なんて適当にやり過ごしていましたが、時々、ものすごく食いつかれます。
最初はいぶかしがられているのかなと思いました。「百年に一度の大不況」と言われる中で、みずから会社を辞める理由なんてあるのだろうか。よほどの事情か、不祥事でもあったんじゃないか、と。
しかし、そんなことが何度か繰り返された時、ようやく私も気がついたんです。
「ああ、この人たち、会社を辞めるきっかけを探しているんだな」
取材でお会いしたある著名な経営者は、かつての退職経験をこう語りました。
「自分は会社に負けたのだ」
会社を辞める人間はあれこれ理由を語るものだが、しょせんはその場に適応できなかった敗者だ。だから、負けた自分をいさぎよく認めよ、と。
なるほど、わかりやすい男の論理(ロジック)だと思いました。しかし、同時に考えました。
私は会社に負けたのだろうか?
そして、そこに留まることが本当に勝ちだったのだろうか?
そんな出来事も、この本が生まれる背景にはありました。
私は働く女性には、2つのタイプがあると思っています。ひとつは仕事に意義を見いだして、成長していきたいと願うタイプ。もうひとつは、安定した環境でできるだけ楽な仕事をしたいと願うタイプ。どちらが正しいかなんて答えはありません。仕事に対するスタンスは人それぞれだし、そもそも生き方に模範解答などないからです。
厄介なのは、前者の女性です。能力が高く、向上心があり、気がつかなくていいことに気づいてしまう、ある意味、残念なタイプ。世の中には知らないほうが幸せなことも多く、会社員生活もまた同様だからです。
そして今日も彼女たちが繰り返す、呪文のようなこの言葉。
「このままの自分でいいの?」
「このままの人生でいいの?」
何より、退職を悩んだ当時の私が知りたかったのは、退職の妥当性を判断する基準でした。この葛藤は単なる自分のわがままなのか、それとも自分らしく生きるためには必要なものなのか。仕事はあくまで労働です。いい大人が、いつまでも青臭いことを語ってはいられません。
でもいったい、世の中の人は、何を理由に会社を辞めているのだろう。
本当は何を思って、そこを静かに立ち去っているのだろう。
そんなことを考えた時、私の脳裏にフト思い浮かんだのは、昔見たある映画でした。
『デブラ・ウィンガーを探して』
2002年に製作されたこの作品は「名優デブラ・ウィンガーが、なぜハリウッドから姿を消したのか?」をテーマに、名だたる女優たちが自分のキャリアとプライベートの両立について赤裸々に語るドキュメンタリー映画です。
監督は、自身も女優であるロザンナ・アークエット。作品にはデブラ・ウィンガー本人も登場し、代表作『愛と青春の旅だち』出演以降、何を考え、どう感じてみずから映画の第一線から退いたのかを赤裸々に語っています。ちなみに、この作品が彼女の復帰作ともなりました。
これと似たようなことを、会社を辞めた女性たちを相手にできないか――。彼女たちに実際に会って話を聞き、どうして会社を辞めたのか、何をきっかけに大胆な転身をなし遂げたのかを聞いてみたいと思いました。急いで企画書を書き、出版社に持ち込みました。
取材依頼を断られることも多い中、快く取材に応じてくださったのが、以下に登場する13人の女性たちです。特別な上昇志向やキャリア志向もなく、入社当時には後に自分が会社を辞める時のことなど考えたこともなかった彼女たちが、それぞれ一大決心をして自分の人生を切り開き、現在に至っています。
この本は、今、人生に悩み、行き詰まっているすべての女性へのメッセージです。また、やる気があって優秀な女性たちを確保したいと願う組織人、これから社会に巣立とうとしている女子学生にも、参考になる内容かもしれません。
この本を、すべての働く人と、自分らしく生きたいと願う女性たちに贈ります。

著者

影山惠子(Keiko Kageyama)
静岡県生まれ。1997年早稲田大学卒業後、国内大手経営コンサルティング会社などを経て、2009年にフリーライターとして独立。人物のインタビューに定評があり、主にビジネスの分野で活動。プロフェッショナル相手のインタビューも多く手がける。著書に『潰れてたまるか! ピンチをチャンスに変えた10社』(阪急コミュニケーションズ)がある。

著者ブログ 影山惠子のゆかいな日々
http://kageyama.livedoor.biz/

●ブックデザイン/松田行正+日向麻梨子
●写真撮影/馬場淳郎(p.133、p.269)
●校閲/鴎来堂

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