江戸に学ぶエコ生活術

江戸に学ぶエコ生活術
アズビー・ブラウン 著

幾島幸子 著

  • 書籍:定価2200円(本体2,000円)
  • A5判・変型/224ページ
  • ISBN978-4-484-11101-8
  • 2011.02発行

日本建築やデザインの美しさを世界に伝えてきたアメリカ人研究者が、今度はサステナブルな社会を実現した江戸の暮らしに迫る。「足ることを知る」の精神を理解すれば、地球を守るために私たちにできることが見てくる。

書籍

Amazon 7net 楽天BOOKS

内容

 日本建築やデザインの美しさに魅了されたアメリカ人研究者が、新たに着目したのがサステナブルな社会を実現した江戸の暮らしです。

 自給自足で生きる農民、究極のリサイクル社会を実現した町人、簡素な美を重んじた武士。彼らは私たちと同じように、エネルギーや資源などの問題を抱えていたはずなのに、その多くを克服し、活気ある社会を築き上げました。その原動力は何だったのでしょうか。

「足ることを知る」の精神こそがその答えだと考えた著者は、その豊かな心を世界に伝えたいと、本書のもととなる英語版を執筆しました。

 本書がこれまでの「江戸環境本」と決定的に異なるのは、現代人の目で見たストーリー仕立てになっていること。当時の人々の暮らしを支えていた技術やデザインに光をあて、人々がいかに自然と共生し、地球にやさしい生活を送っていたかを生き生きと描き出します。著者自筆の豊富なイラストも必見!

目次

日本語版に寄せて

はじめに

第1章
田畑と森に囲まれて自給自足で生きる農民の豊かな暮らし

地形を最大限に生かした稲作の知恵/豊かな水の恵みをシェアする/土の壁がかもし出す調和と風格/機能的で耐久性のある土間/不浄な場所からピュアな場所へ/空間の美しい広がり/生活の隅々に自給自足が行き渡る/環境にやさしい家内工業/森林を管理する見事なシステム/森の管理人/共同生活を営む杣人のエリートたち/幕府と村の関係/コミュニティーがうまくいく助け合い精神

Lesson1 江戸時代の農民の暮らしから学べること

第2章
大いなる工夫でサステナブルに暮らす町人を訪ねて

きれいな道、緑の町並み/活気あふれる日本橋の魅力/長屋は最高の共同体/重力を利用した理想的な水の供給システム/衛生とエコに貢献する銭湯/人の排泄物は貴重な資源/徹底したリサイクルの町/変幻自在の大工の家/江戸の大工の仕事/資材のライフサイクル/川や海の恵みを食卓に/江戸の生活を代表するもの/少ないものから多くを生み出す町

Lesson2 江戸時代の町人の暮らしから学べること

第3章
実用的な美を重んじる武士の哲学に触れる

安らぎと風情が感じられる武士の屋敷/玄関に見る威厳ある調和/座敷を引き立てる意匠の美/日常生活の場/家庭菜園で自給自足の生活

Lesson3 江戸時代の武士の暮らしから学べること

謝辞
参考文献

著者

アズビー・ブラウン(Azby Brown)
1956年生まれ。金沢工業大学未来デザイン研究所所長。イエール大学で日本建築を学んだ後に来日し、1985年より日本在住。法隆寺の棟梁を務めた西岡常一に密着し、その卓越した仕事ぶりを記録した『The Genius of Japanese Carpentry』(講談社インターナショナル)を刊行。小さなスペースを賢く使う日本の住宅を紹介した著書に、『Small Spaces』、『The Japanese Dream House』、『The Very Small Home』(すべて同)。日本人の妻と息子と横浜で暮らす。

訳者

幾島幸子(いくしま・さちこ)
1951年東京生まれ。早稲田大学政経学部卒。翻訳家。ノンフィクションから児童書まで幅広く手がける。訳書に『ハーバードからの贈り物』(武田ランダムハウスジャパン)、『ガイアの素顔』(工作舎)、『マルチチュード』(NHK出版)、『思考する言語』(共訳、同)、『なぜ女は昇進を拒むのか』(共訳、早川書房)など多数。

●ブックデザイン/松田行正+日向麻梨子
●校正/杉本順司

Twitter