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機長の「健康術」

機長の「健康術」
小林宏之 著
  • 書籍:¥1,400(税別)
  • 電子書籍:¥980(税別)
  • 四六判・並製/192ページ
  • ISBN978-4-484-10231-3
  • 2010.10発行

【年齢は、自分で変えられる!】 42年間のパイロット生活で一度も病欠せず、63歳を超えてなお世界中を飛び続けた“グレートキャプテン”が、若さと健康を手に入れる秘訣&テクニックを伝授。

書籍

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電子書籍

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内容

健康も、年齢も、自分で決められる――
63歳を超えてなお機長として世界中を飛び続けた、
日本が誇る“グレートキャプテン”は、
42年間のパイロット生活の一度も病気で休まず、
自己都合でスケジュールを変更したこともなく、
半年に一度の航空身体検査で不合格になったこともない。
現在もメガネを必要とせず、聴力も30代レベルを保つ、
その若さと健康の秘訣は、リスクマネジメントの考え方にあった。
パイロットならではの健康観に基づく健康テクニックを伝授。

Prologue

健康管理は「技術」

 私は、日本航空のパイロットとして乗務し続けた42年間、時差との闘いのなかで世界中の空を飛びながら、病気でフライトを休んだことも、自己都合でフライトを別の乗員に交替してもらったことも、一度もありませんでした。
 これは、日本の大手航空会社では、それまであり得なかった記録で、今後も破られることはまずないであろうスゴイことだと、我ながら思っています。
 この記録は、健康であったから成し得た記録です。健康のありがたさをしみじみと感じずにはいられません。また、私の健康の維持増進に直接的、間接的に関わってくれたすべての人々に感謝しています。

 しかし、パイロットになった当初から、健康を意識して、健康に良いことをやってきたわけでもなく、42年間にわたって、まったくの健康だったかというと、決してそうではありません。
 もちろん、多くの人命をあずかる機長として、心身ともに健康な状態でフライトに臨めるよう努力することは、当然のことです。とは言っても、常に万全な健康状態を維持するというわけにはいきませんでした。
 自分の健康状態に点数をつけるとしたら、まったく非の打ちどころのない100点満点など、一度もありませんでした。自分の健康状態を、どんなことがあっても、何とか許容範囲内にコントロールしてきただけです。
 同様にフライトに関しても、42年間、100点満点のフライトなど一度もできませんでしたが、どんなことがあっても、かならず許容範囲内のフライト(オペレーション)をすることができ、多くの方々のおかげで、無事故を全うすることができました。
 安全運航を全うできた大きな要因のひとつは、飛行機が安全に飛べるように、地上で日夜、整備をしてくれる整備士のおかげです。整備を表す英語「maintenance」は、「maintain(維持する)」という動詞からきています。つまり、飛行機の整備は、飛行機の健康を〝維持する〟ということなのです。
 飛行機は、整備と運航という両輪で、許容範囲内の安全運航を確保しています。車も同じように、日々の点検や定期点検整備によって車の健康を維持し、運転する人の運転マナーによって、安全運転が確保されています。
 人間の健康も、日常の手入れや定期健康診断などのメンテナンスと、オペレーションに相当する日々の生活習慣によって支えられています。
 自分の健康管理、すなわち身体と心のメンテナンスも、オペレーションも、本人の意志と習慣によるところが大部分です。決して、先天的に健康な身体をもっていなければいけないわけではありません。
 健康を維持し、増進するための健康管理は、自分をコントロールするマネジメントであり、習慣である要素が大きいのです。このことは、42年間のパイロット生活で、自分自身の健康を常に許容範囲内に維持してきた経験から、確信をもって言えます。
 ただし、私も最初から意識して、健康管理をし続けてきたわけではありません。むしろ若い頃は、健康とは無縁な生活態度を送っていました。
 たとえば、焼肉屋に食事に行けば、最初に肉を5、6皿注文し、焼いて食べながら、まだ皿に肉が残っているのにもかかわらず、さらに数皿も注文して、ひとりで10皿くらいは平らげていました。それだけ肉を食べていれば、同時にビールや日本酒の量も増えてしまうのは、当然の成り行きです。
 また、アルコールだけでなく甘いものにも目がない私は、かりんとう、羊羹、大福餅といったものを、よく間食にしていました。
 もし私が、半年に一度は厳しい身体検査を受けて、それに合格しなければ飛行機に乗務することができないパイロット以外の職業に就いていたとしたら、40歳前後で心筋梗塞か脳梗塞で命を落としていたか、それより長生きできたとしても糖尿病に苦しんだのではないでしょうか。
 幸い、37歳のときの航空身体検査で、肥満度と尿酸値の高さを指摘され、「このままでは飛べなくなってしまう」という危機感が生まれました。そこで急激な減量を行なったのですが、案の定リバウンドという大失敗をしてしまいました。
 この痛い反省から、自分の健康のため、いつまでもパイロットとして飛ぶために、自分の身体をメンテナンスし、正しい生活習慣の構築に向けて自分をコントロールするようになりました。

 前述したように、機長として飛び続けるためには、半年に一度の厳しい航空身体検査に合格する必要があります。私の場合、50歳頃からは、60歳を超えても飛び続けるのだ、という明確な目標をもって、自分の健康管理をしてきました。無事定年を全うした後は、嘱託パイロットとして65歳まで飛び続けたいという目的意識が、健康管理の大きな推進力となりました。
 医療職とは縁遠いパイロットの私ですが、健康に関する情報を得るため、2004年、58歳のときに「日本抗加齢医学会」の正会員となりました。学会が主催する総会でのセミナーのほか、一般公開のセミナーや学会の会報誌などを通じて、健康や抗加齢(アンチエイジング)について学んでいます。医療機関に招かれて講演を行なった際には、そこで知り合った医師や看護師の方々から、より高度な医学的知識を積極的に吸収するよう心がけました。
 健康で長生きするための食生活や運動などに関する新しい知識を、医療界から直接学び、それを日々の生活のなかで活かすよう努力したのです。
 60歳に近づくと、まずは63歳まで、さらにライセンスが発給される最高年齢の65歳まで飛び続けて、後に続く後輩パイロットたちの目標になろう、パイロットだけでなく、超高齢化社会に向かっている日本の社会において、その気になれば、いつまでも元気に現役で働けるのだということを身をもって示そう、という思いから、医学界から学んだ知識をもとに、健康管理に取り組んできました。
 その効果もあり、63歳を超えても飛び続けた機長は、日本航空では私が初めてのケースとなりました。65歳まで飛び続けることが目標であり、その予定でもあったのですが、日本航空の経営破綻に伴い、残念ながら63歳6か月で翼を降ろすことになりました。
 しかし、この42年間の経験、体験から自信をもって言えることは、「明確な目標をもって実践すれば、誰でも自分の健康を維持・増進することができる。健康管理もひとつの『技術』なのだ」ということです。

 健康を維持し、さらに増進するには、自分自身をコントロールするマネジメントが必要になってきます。それは、生き甲斐を感じ、どんなことにも興味をもち、感動し、そして感謝しながら、楽しく生きること。身体に良いことをし、心も良い方向に向くよう自分をコントロールする技術です。
 健康管理が技術である以上、正しい知識と情報をもとに日頃のメンテナンスを行ない、正しい生活習慣を作っていけば、誰でも健康は維持・増進できます。
 今、私はしみじみと健康のありがたさを実感し、そのことに感謝しています。翼を降ろした後も、健康であるおかげで、まだまだやるべきこと、やりたいことがたくさんあります。生涯現役を目指して、日々生き甲斐を味わうことができます。

 パイロットは、自分をコントロールしてはじめて飛行機をコントロールすることができ、目的地まで飛行機を飛ばすことができます。
 この本は、医療職ではない、パイロットの私が書いたものです。したがって、医学的な知識を紹介するものではありません。「健康長寿」「健康の維持増進」という誰もがもつ願いを実現するためのヒントとして、パイロットとしての経験と、そこから得た健康観や心がけといった、私なりの「健康術」を述べたものです。
 何が健康に良くて、何が健康に良くないかなどということは、ほとんどの読者の方はすでに知っていることでしょう。重要なのは、知っていること、わかっていることを、自分自身がどれだけ実行し、かつ継続できるかです。
 健康管理とは、そのわかっていることを実行・継続するために、自分をコントロールする技術なのです。
 この本を読んで納得がいく項目があれば、是非できることから少しずつ実践していただき、自分をコントロールしながら、それを継続してみてください。この本が、読者の皆様にとって、健康で生き甲斐に満ちた人生を送るためのきっかけになれば幸いです。

目次

Prologue 健康管理は「技術」

Part 1 健康について、まじめに考えてみよう

Chapter 1 健康とは生き甲斐をもつこと
 健康とは何か
 目標をもち、生き甲斐を感じることが健康につながる

Chapter 2 健康管理は、危機管理の基礎
 危機管理は、まず自分の健康管理から
 健康管理も予防が大切
 予防は生活習慣から

Chapter 3 健康的な生活習慣を作る――食事の習慣
 食事のバランスをとる
 バランスの良い食事を習慣にする
 楽しく美味しく食べる
 よく噛んで食べる
 よく噛むことは健康にも良い
 食べる順番にもちょっと工夫を
 朝食はしっかりとる

Chapter 4 健康的な生活習慣を作る――運動・睡眠・脳の習慣
 運動の習慣(歩く習慣)
 ウォーキングのススメ
 睡眠の習慣(快眠の習慣)
 寝る子はよく育つ
 大人にだって良質の睡眠は大切
 良質な睡眠をとる習慣
 早起きは三文の徳(得)
 脳の習慣(ストレス対応習慣)
 ストレスは必要なもの
 ストレスとうまく付き合う
 ストレスの要因
 精神的な要因のストレスとの付き合い方
 他律心から自律心へと変われば、ストレスも消える
 健康的な生活習慣を構築するマネジメント

Chapter 5 それでも病気になってしまったら
 誰だって風邪を引くことも、怪我をすることもあります
 まず、死ななくてよかったと感謝
 地球も人にも回復力がある
 謙虚心と自律心の心構えが大切

Part 2 パイロットに学ぶ健康の知恵とワザ

Chapter 6 日々の心がけこそ健康の源
バランス
 目の遠近バランス
 姿勢のバランス
 食事のバランス
 適度の飲酒
病気の予防
 「がん、心筋梗塞、脳梗塞には絶対ならないぞ!」と決意
 がんにならないよう実践していること
 紫外線を長時間浴びない
 健康診断を活かす・検診を積極的に受ける
 心筋梗塞にならないよう実践していること
 脳梗塞にならないよう実践していること
 体重、血圧、塩分のコントロール
事故の予防
 交通事故に遭わないよう実践していること
 間をとる
 車の運転を見れば、その人の夢の大きさがわかる
運動について
 ウォーキングを始めよう
 世界の街角を歩く楽しさ
 貯筋をする
排泄の大切さ
 入れること以上に、出すことの大切さ
 便は色と形で健康度をチェック
 尿は色と泡とにおいでチェック
 積極的に水を飲む
胃腸を鍛える
 何を食べるかではなく、何でも消化できる胃袋を作る
 大腸菌とお友達になれば、世界中どこに行っても怖くない
睡眠
 いつでもどこでも眠る
 良質な睡眠をとる
免疫力を上げる
 心と生活の習慣で免疫力をアップ
 体温を上げて、免疫力をアップ
 心の姿勢のコントロール

Chapter 7 パイロットならではの健康テクニック
目の健康と耳の健康
 目の健康維持
 耳の健康維持
自分でコントロールできるものはコントロールする
 体重のコントロール――私の失敗例
 体脂肪のコントロール
 体重と体脂肪の測定とコントロール
 血圧からビジネスを考える
 血圧の測定とコントロール
 歩数のコントロール
目に見えないものだってコントロールできる
 心の豊かさをコントロールする
 心のコントロールはEQそのもの
 眠りのコントロール
 身体も心も使って機能を維持し向上させる

Chapter 8 健康生活から得たもの
 健康の維持増進の七か条
 健康は2つの生活習慣から
 いつだって今が旬! 加齢を華麗に!
 五感活き活き生活
 3K(興味、感動、感謝)
 隙間時間の使い方によって活き活き生活へ
 エンジョイ・エイジングの結果がアンチエイジング
 安全も健康も、そして年齢も自分で決める

Epilogue  年齢は、自分で決められる

編者

小林宏之(こばやし・ひろゆき)
1946年、愛知県新城市生まれ。
68年、東京商船大学航海科を中退し、日本航空入社。81年、機長昇格。飛行技術室長、運航安全推進部長、運航本部副本部長などを歴任。2006年10月に定年退職するが、翌11月より広報部付機長、2010年3月、引退。日本航空が運航したすべての国際路線を飛んだ最初で最後の機長であり、“グレートキャプテン”と呼ばれる。
機長時代より大学、医療機関、原子力関係機関、その他の企業・団体などで「危機管理」「リスクマネジメント」「ヒューマンエラー対策」等の講演多数。現在は危機管理・リスクマネジメントの専門家、航空評論家として活躍。
著書に『機長の「集中術」』(阪急コミュニケーションズ)がある。
オフィシャルサイト●kobayashihiroyuki.com(講演依頼等も随時受付)

●カバーデザイン/ヤマダマコト(志岐デザイン事務所)
●本文デザイン・DTP/萩原睦(志岐デザイン事務所)
●校正/円水社