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その一言が歴史を変えた 「汝自身を知れ」から「悪の枢軸」まで世紀の名言・珍言・暴言50

その一言が歴史を変えた
ヘルゲ・ヘッセ 著
シドラ房子 訳
  • 書籍:¥2,500(税別)
  • 四六判・上製/368ページ
  • ISBN978-4-484-10109-5 C0098
  • 2010.07発行

歴史を変えたのは「名言」だけではない。ソクラテスが残した格言、マリー・アントワネットが放った暴言、ガリレオ・ガリレイの命を懸けた捨て台詞、キング牧師の名演説……なにげない一言が世界を動かした決定的瞬間へ。

書籍

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内容

歴史を変えたのは「名言」だけではない。
ソクラテス、老子、カントが残した格言は、どのような時代に生まれたのか。
ルイ14世、マリー=アントワネットが放った暴言は、本当に彼らの言葉なのか?
アルキメデス、ガリレオ・ガリレイはなぜ、命を懸けてまで捨て台詞を吐いたのか。
ナポレオン、ケネディ大統領、キング牧師の名演説には、どんな歴史的背景があるのか。
名言・格言から珍言、そして暴言まで、50の発言の背後にある物語を通して、
古代ギリシャから現代につながる2600年の世界史の旅へ案内しよう。

はじめに

 私たちが日常生活のなかで使ったり耳にしたりする格言や引用文のなかには、数千年の時を経ているものも少なくありません。それらは、世界史の運命を左右する瞬間に生じた発言――口から発せられたり、書かれたりした言葉――です。私たちの言語がまだ存在しなかった時代のものもあります。そうした言葉は、世界の文化や歴史を私たちに語ってくれます。

 よく知られた発言を取り上げて、それを発した人物に目を向けてから、そのときの状況を考察してみましょう。過去へのちょっとしたタイムトリップをすると同時に、人類の歴史にとって大きな意味を持つマイルストーンを順々にたどり歩くことにもなります。

 本書は、読者の皆様を旅行にご招待いたします。ジュール・ヴェルヌは『八十日間世界一周』のなかでフィリアス・フォッグに世界を旅させましたね。ここでは、五十の発言を通して世界史を旅しながら、さまざまな土地、人物、歴史的意義の深い瞬間を訪れます。〈汝自身を知れ〉から〈悪の枢軸〉まで、時間にして二千六百年を旅することになります。

 どの発言の背後にも、興味深い歴史のエピソードが少なくとも一つ、隠れています。それらは、それぞれが属する時間と空間への扉を開き、過去の時代の驚くべき光景を目の前に展開させます。そして、一風独特な観点から世界を見ていた人々の姿を浮き上がらせてくれるでしょう。

 旅行するときは、どこで止まって何を見学するか、また何を旅程からはずすか、決定しなければなりません。本書は世界史について語るのが目的ですから、紹介した文章は、政治や社会にとって意味の大きいできごとや、特別な歴史的意義を持つ時代と関連のあるものばかりです。もしかすると、ある場所(時代)にもっと長くいたいのにと感じることもあるかもしれません。私たちの旅は、ハードスケジュールであったり、均整のとれたものであったりする必要はありません。もっとも、歴史上に重要なできごとすべてが名言を生み出したわけではないし、もともと無理でもありますが……。

 私の第一の望みは、皆様に歴史を知る喜びを味わっていただくことです。本書を読んで興味を刺激され、特定の時代やできごとについてもっと詳しく知りたい方には、参考文献のリストが役に立つでしょう。
もう一つ、読まれる際のヒント。それぞれの章は独立しています。章の並び方は年代順になっていますが、ぱっと見にあまり食指の動かない発言があれば、飛ばしても差し支えありません。後になって、偶然に日常生活のなかでその文を目にして、気になって戻ることもあるかもしれませんね。

 それでは、これから五十の発言による世界史ツアーのガイドをさせていただきます。この本を読んで、歴史ってわくわくするほど面白いんだな、と感じていただきたい――それが私の願いです。

目次

はじめに

◆汝自身を知れ【タレス】
◆万物は流転する【ヘラクレイトス】
◆万物の尺度は人間である【プロタゴラス】
◆自分が何も知らないということを、自分は知っている【ソクラテス】
◆それが肝心かなめの点である【アリストテレス】
◆陽が当たらないからどいてくれ【ディオゲネス】
◆かく示された【エウクレイデス】
◆人の先を行くには、人の後ろに立つこと【老子】
◆私の図形をこわさないでくれ【アルキメデス】
◆賽は投げられた【ユリウス・カエサル】
◆過ちは人の常【マルクス・トゥッリウス・キケロ】
◆その日を生きること【ホラティウス】
◆金は臭くない【ウェスパシアヌス】
◆有罪が証明されるまでは無罪【ローマ法大全】
◆祈り、働け【聖ベネディクトゥス】
◆時代は変わる。それとともに我々も変わる【ロタール一世】
◆信じるために理解したいのではない。認識したいから信じるのだ【聖アンセルムス】
◆先んずれば人を制す【アイケ・フォン・レプゴウ】
◆目的は手段を正当化する【ニッコロ・マキャヴェリ】
◆我ここに立つ。他になしあたわず【マルティン・ルター】
◆太陽の沈まぬ帝国【カール五世】
◆知は力なり【フランシス・ベーコン】
◆それでも地球は回っている【ガリレオ・ガリレイ】
◆我思う、ゆえに我あり【ルネ・デカルト】
◆人間は人間にとってオオカミである【トマス・ホッブズ】
◆朕は国家なり【ルイ十四世】
◆あとは野となれ山となれ【ポンパドゥール夫人】
◆人間は生まれたときは自由だが、いたるところで鎖につながれている【ジャン=ジャック・ルソー】
◆啓蒙とは、人間がみずから招いた未成年の状態から抜け出ることだ【イマヌエル・カント】
◆時は金なり【ベンジャミン・フランクリン】
◆世界を新たにつくり始める力が我々にはある【トマス・ペイン】
◆パンがなければ、お菓子を食べればよいものを【マリー・アントワネット】
◆四千年の歴史が諸君を見下ろしている【ナポレオン・ボナパルト】
◆戦争は政治の延長だ。手段が変わっただけである【カール・フォン・クラウゼヴィッツ】
◆万国の労働者よ、団結せよ!【カール・マルクス】
◆最後の木が切り倒され、最後の川が汚染され、最後の魚が捕まえられてはじめて、人はお金は食べられないことを知るだろう【クリー族の予言】
◆棍棒を手に、穏やかに話すこと【セオドア・ルーズヴェルト】
◆自由とは、異なる考えをする者の自由である【ローザ・ルクセンブルク】
◆語りえないことについては、沈黙すること【ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン】
◆神はサイコロを振らない【アルベルト・アインシュタイン】
◆血と汗と涙【ウィンストン・チャーチル】
◆諸君らは総力戦を望むか?【ヨゼフ・ゲッベルス】
◆地獄とは他の人々【ジャン=ポール・サルトル】
◆地上に天国をつくろうとすれば、必ず地獄ができる【カール・ライムント・ポパー】
◆私はベルリン市民だ【ジョン・F・ケネディ】
◆私には夢がある【マーティン・ルーサー・キング】
◆一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である【ニール・アームストロング】
◆時代は、時代に後れる者を罰する【ミハイル・ゴルバチョフ】
◆あらゆる戦闘の母が始まった【サダム・フセイン】
◆悪の枢軸【ジョージ・W・ブッシュ】

訳者あとがき
参考文献

著者

ヘルゲ・ヘッセ(Helge Hesse)
1963年生まれ。哲学と経済学を学び、現在は歴史、文化、経済などのジャーナリストとして活躍。ドイツ最大の経済紙Handelsblattや全国紙Zeitなどに寄稿。ドイツ語圏の文学事典の白眉とされるKindlers Literatur-Lexikonにも執筆。本書の原書Hier stehe ich, ich kann nicht andersは9カ国語に翻訳されている。デュッセルドルフ在住。

訳者

シドラ房子(しどら・ふさこ)
新潟県生まれ。武蔵野音楽大学卒業。翻訳家。主な訳書に『愛する家族がガンになったら』(フェッター著/講談社)、『名もなきアフリカの地で』(ツワイク著/愛育社)、『病気が教えてくれる、病気の治し方』(ダールケ、デトレフゼン共著/柏書房)、『ヨーロッパの自己主張』(シュミット元ドイツ連邦首相著/シュプリンガー・フェアラーク東京)、『縮みゆく記憶』『絵画鑑定家』(ズーター著/武田ランダムハウスジャパン)他多数。

●ブックデザイン/熊澤正人+中村 聡(パワーハウス)
●校正/小林真佐子