メタボだってマラソン完走! 教えてQちゃん!

メタボだってマラソン完走!
高橋尚子/穐田文雄 共著
  • 書籍:定価1650円(本体1,500円)
  • 電子書籍:定価1320円(本体1,200円)
  • 四六判・並製/240ページ
  • ISBN978-4-484-10204-7
  • 2010.01発行

≪高橋尚子初のマラソン本≫ メタボ歴10年の中年ライターがQちゃんのスパルタ(!?)指導で東京&ホノルルマラソンに挑戦!金メダリストが初めて教える、初心者から中級ランナーにまで役立つアドバイス満載!

書籍

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電子書籍

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内容

≪高橋尚子初のマラソン本!≫
メタボ歴10年の中年ライターがQちゃんのスパルタ(!?)指導で
東京&ホノルルマラソンに挑戦!金メダリストが初めて教える、
初心者から中級ランナーにまで役立つアドバイス満載!

・フルマラソンを走るために、まず鍛えるべきところは?
・普段の練習メニューは、どんなふうに組み立てればいい?
・ランナーにオススメの食事メニューは?
・どうすれば自分にぴったりのペースがわかる?
・レースの前日や翌日は、どうやって過ごすといい?
・スタート直後は、どんな走り方をすればいい?
・給水はいつ摂ればいい? 走りながら飲むコツはある?
・レース中、脚に痛みが出たらどうすればいい?
・つらく苦しいアップダウン。走るときのコツは?
・普段キロ6分で走っているなら、フルの目標タイムは?

はじめに

高橋尚子

「マラソンの面白さ」は数えきれないくらいあります。 でも、なんといっても一番の醍醐味は、自分の立てた目標に挑んで、それをクリアしたときの達成感ではないでしょうか。 いま日本中でたくさんの市民ランナーが、それぞれの目標を持って走っていますが、私はその一人ひとりのランナーがうらやましくて仕方がありません。
現役を引退した私には、これから、おそらく生涯にわたって自分の記録を破るチャンスはないでしょう。つまり、「記録」という点において、私はマラソンの持つ一番の醍醐味を味わうことができないのです。
でも、市民ランナーのみなさんには、これから次々に目標達成の瞬間が訪れます。そのたびに深い感動を味わうチャンスがあるんです。これは本当にうらやましいことです。
ただ、記録は破れなくても、マラソンの楽しみは他にもたくさんあります。
そもそもマラソンを始める目的は多種多様で人それぞれ。健康のため、ダイエット、仲間同士で走る楽しみ、ビールをおいしく飲むため……本当にいろいろです。最近では、「ファッション」から走ることに興味を持つ人も増えているようですが、これも素敵なことだと思います。
マラソンへの入口に「こうじゃなきゃいけない」という制限はありません。それよりも、実際に走ってみて、走ることの面白さを実感することが大切です。
面白さを発見すると、自分で目標を立てて、それに向かってチャレンジするようになる。ここまで来れば、あなたも立派なランナーの仲間入りです。あなたに合った目標を立てて、あなたなりのマラソンを楽しんでください。
この本は、そんなあなたを応援する一冊です。

走り始めてそれほど間がない人、まだ走り始めていない人の中には、「そうは言っても走るのって苦しいよね」という人も多いことでしょう。そんな人に、私から一つだけお願いがあります。
昔の「持久走」のイメージを捨ててください!
いま、みなさんが始めようとしているマラソンは、中学校の持久走とは似て非なるもの。持久走は「歩いちゃダメ」「止まっちゃダメ」という「NO!」に支配された競技ですが、みなさんの前にあるマラソンはその反対。「歩いてもいい」「止まってもいい」という「いいことだらけ」のスポーツです。「NO!」から「OK!」に意識を変えるだけで、それまで高かった敷居がグーンと低くなるはずです。

私が、この本の主人公である「メタボ記者」こと穐田さんに最初に会ったのは、彼の東京マラソン出場が決まった後のことでした。すでに走り始めて3カ月。いくつかの大会にも出場していたのですが、それでもマラソンに対してマイナスのイメージのほうが大きいようでした。
穐田さんはひょんなことから走ることになり、故障や挫折を繰り返しながら、それでも一歩一歩前進し、いつしか走ることの楽しさ、面白さに目覚めていきます。この本には、そのプロセスが克明に描かれていますが、これはどのランナーも経験すること。すでに走っている人なら「私もそうだったな……」と思うことがたくさんあるはずだし、これから走り始める人には、「こうなっても大丈夫なのか!」というお手本になることでしょう。
ちなみに、穐田さんの走る目的は「脱メタボ」。たしかに初めて会ったときはお腹がポッコリしていましたが、しばらく会わないうちにすっかり細くなっていて、目の前にいるのが穐田さんだということに気付かなかったほどです。
でも、それ以上にうれしかったのは、彼が当初の目的だった「体重減少」以上に、「走ること」を好きになっていたこと。マラソンの面白さを自分自身が走ることで見つけて、それを日々のランニングの中で楽しんでいることが、話していてよくわかったし、この本でも存分に語られています。
そう、マラソンは楽しいんです! すでに走っている人にも、これから走り始める人にも、この本を読むことで「マラソンは楽しいんだ」ということをぜひ知ってほしいと思います。
それまでまるで走ったことのなかった人が、週に1回でも走るようになったとすれば、それはとってもすごいことです! 続けて1キロも走れなかった人が、頑張って3キロ走れるようになったら、胸を張って友達に自慢してください! だって、走ったことのない人の目には「3キロもの距離を走る」なんて、とてつもない偉業に映るはず。走る前のあなたがそうだったように……。
ランニング経験のない人でも、少しずつ練習を重ねれば、フルマラソンが走れるようになります。それは決して楽なことではないけれど、つらいだけのことでもありません。それは、東京マラソンをはじめ、全国で開催されている大会がどこも活況を呈していることで証明されています。
一度走った人はまた走りたくなる。走っている間はつらいこともあるけれど、それでも「また走ろう!」と思う感動がすべてのランナーに与えられる。それがマラソンという競技の特徴です。

現役を引退してからも、全国のマラソン大会にゲストとして呼んでいただきます。
マラソン大会に参加する際には、参加したランナーたちに「今日は良い思い出となる一日だったなあ」と思ってもらえるように心がけています。ひとりでも多くの皆さんと触れ合い、ハイタッチが出来るようにコース上を先回りし、ゴール地点で皆さんを出迎える、というやり方も、「ランナーの皆さんに楽しい時間を過ごしてほしい」ということを意識していたら、自然にそういうかたちに行き着きました。42キロもの距離を走って疲れているはずのランナーが、ゴールではみんなニコニコ笑って元気にハイタッチしてくれるんです。
その笑顔を見るだけで、こちらが元気をもらえるような気さえして、「やっぱりマラソンってすごいなぁ」って私も感動できるんです。
最初からフルマラソンを走れる人なんていません。でも、はじめの一歩を踏み出さないことには、いつまで経っても先には進めません。少し走れたら、次は頑張ってもうちょっと距離を伸ばす。それが走れたら、走れたことに自信を持って、また少しだけ距離を伸ばす。これを繰り返しているうちに、そう遠くない時期に、あなたもフルマラソンに挑戦できる実力がついてくるはずです。
夢のつまった42・195キロを、目いっぱい楽しんできてください。そしてゴールで私とハイタッチしましょうね!

目次

はじめに 高橋尚子

第1章 メタボ中年、走り出す
それはケガから始まった……
ストレッチで“臀筋”強化
ランニングの意外なオマケ
夢の“国立”でレースデビュー
「アキレス腱周囲炎」発症!
手強い(?)ライバル登場
仲間とともに5キロに挑戦
10キロ完走! そして驚きの新展開
ついに登場した史上最強の助っ人
腹筋三昧の年末年始
名付けて「守銭奴作戦」
給水所で考える――飲み方とマナーについて
寒さ対策は手袋から
故障再び――今度は杖のお世話に……
Qちゃんオススメの食事メニュー
不安、緊張、そして激励!

マラソン体質への軌跡1 ―2008年10月~2009年4月―

第2章 いざ、東京マラソン
いよいよ決戦の日
誤算の「荷物」で大苦戦
お祭り気分に痛みがじわり……
おにぎりに感動、応援メールに感涙
寒さをこらえて涙のゴール

マラソン体質への軌跡2 ―2009年3月―

第3章 「メタボ」から「ランナー」へ
目に見え始めた“効果”
香港の朝ランは最高!
東京マラソンをふりかえる
駅伝で実感した「タスキ」の重み
「自己新」がもたらす影響は大きい
利用価値大のランステ
“走る心療内科医”直伝、奥義「精神的にラクな走り方」
驚愕のアップダウン
スポーツマッサージは自分へのご褒美
熱中症で新コース開拓
ホノルルマラソン挑戦へ
マラソンマンへの変身
伊東“自主トレ”レポート
ビールの量が減った理由
秋はランニング日和
大満足のフルマラソン完走!
富士山麓で余裕の快走
思わぬところでスリム化を実感
何より頼もしい“仲間”たち
成長した自分を実感

マラソン体質への軌跡3 ―2008年10月~2009年11月―

第4章 夢のホノルルマラソン
ホノルル初日は睡魔との闘い
暗闇の中のスタート
暑さとの戦いは水分補給から
ペットボトルがくれた自己新記録
夫婦円満にマラソンを

マラソン体質への軌跡4 ―出場レース全記録―

あとがき 穐田文雄

著者

高橋尚子(たかはし・なおこ)
1972年岐阜県生まれ。中学から本格的に陸上を始め、県立岐阜商業、大阪学院大学を経て実業団へ。97年、大阪国際女子マラソンでマラソンデビュー。98年、名古屋国際女子マラソンで初優勝(当時日本最高記録)、バンコク・アジア大会でも優勝(当時アジア最高記録)し、一躍注目を集める。2000年、シドニーオリンピックで日本陸上女子初の金メダルを獲得し、国民栄誉賞受賞。01年、ベルリン・マラソンで2時間19分46秒の世界最高記録(当時)を樹立。05年、「チームQ」を結成し、東京国際女子マラソン優勝。08年10月、現役引退。現在はスポーツキャスター、マラソン解説者として活躍。大阪学院大学特任教授。著書『夢はかなう』(幻冬舎文庫)。

穐田文雄(あきた・ふみお)
1965年東京都生まれ。日本大学農獣医学部を卒業後、出版社勤務を経て2000年よりフリー。普段はペンネームを使って新聞や雑誌などで原稿を書いているが、本書の元となった夕刊フジの連載のみ「ペンネームでは大会にエントリーできない」との理由から、本名での執筆となった。中学時代は写真部、高校では鉄道研究会、大学では落語研究会と、スポーツとは無縁の青春時代を過ごし、社会人となってからは粛々とメタボ道を邁進する。日本医学ジャーナリスト協会会員。夕刊フジ競走部副主将代理。

●ブックデザイン/帆苅政義(fan)
●写真/加藤アラタ(カバーおよび本文中の高橋尚子写真)

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