中国分裂 七つの理由

中国分裂 七つの理由
宮崎正弘 著

  • 書籍:定価1760円(本体1,600円)
  • 電子書籍:定価1408円(本体1,280円)
  • 四六判・並製/292ページ
  • ISBN978-4-484-09234-8
  • 2009.09発行

激震!近未来のシナリオ。中国は七分裂する。その火種はウイグル騒乱だけではない!ネットによる反政府言論、利権争いの集大成としての個別経済ブロック化、グローバル化の波に乗った資産の海外流出等、続出する中国分裂の兆し!! あらたな激流が全土に襲来する。

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内容

ウイグル族の反乱、チベットの独立運動、内蒙古の民族自決、それに「経済圏」の分解で上海、福建、広東、香港、マカオも独立してゆく可能性が中国全土を震撼させている。その火種を中国政府は、世界最大の軍事力で押さえ込もうとする。この暴力的な弾圧によって、中国大分裂のシナリオが現実味をおびはじめた。当代随一の中国ウオチャーが、中国の未来を鋭く抉る!

プロローグ

高等学校の歴史教科書などが手近にあったら開いてみていただきたい。
中国では国家が統一され国内が平和であった時代より、分裂、戦乱の時代の方がはるかに長いことが分かる。
たとえば歴史的に見ても周以後、秦の始皇帝の統一までの「春秋戦国時代」、漢のあと「三国時代」(魏、蜀、呉)、西晋を経て「五胡十六国時代」がある。南北朝時代を経て、隋が西暦五八九年に統一。さらに下って唐王朝が崩壊し、宋が現れるまでが「五代十国」時代だ。宋(北宋)のあとはふたたび「三国鼎立(夏、金、南宋)時代」、そして元朝となる。
しかしこれらはいずれも華北、華中から華南にかけての興亡であって、現在の新疆ウイグル、青海、チベット、雲南とはまったく別の国であった。さらに十世紀ごろのチベットは吐蕃といって、五代十国時代の全領土に匹敵する広さを誇っていた。“統一されていない”のが中国本来の姿ともいえるのである。(プロローグより)

目次

プロローグ すでにソ連は十五分裂、ユーゴは七分裂、チェコスロバキアは二分裂
◆誰かソ連大分裂を予測できたか?
◆歴史の半分近く中国は分裂していた

第一章 中国七分裂、七つの理由
◆その一、地域ブロック化と経済圏優先の対立
◆その二、金融膨脹が中国人の貧富を分け、国の明暗を分けた
◆その三、利権による縦割りという新空間
◆その四、放心力が求心力より強く、風化する中華思想
◆その五、偽物文化が統合を毀損する
◆その六、矛盾する少数民族支配
◆その七、ネット社会と言論の洪水

第二章 自壊する中華帝国
◆中国経済の回復が世界経済を牽引?
◆軍事覇権と並行して通貨覇権へ
◆強気な海外企業買収作戦の成算
◆シーレーンの確保と当該領域の国々
◆ロシア国内に蔓延するネオナチ運動
◆ロシアがダイヤモンドの独占的備蓄
◆ロシア、ウランを米国へ売却開始

第三章 求心力と放心力
◆求心力は愛国と軍国主義
◆米国ドルが「美金」と言われた時代の終わり
◆武器輸出という切り札
◆海外へ突出を繰り返す放心力とリスク
◆アフリカ進出は石油とレアメタルばかりがターゲットではない
◆ガスの宝庫、トルクメニスタンへも30億ドルを貸与
◆放心力の象徴はマカオ
◆止めどなく拡大する中国の放心力

第四章 内憂外患の政治力学
◆第六世代は指導力不足
◆華国鋒という中国主席がいた
◆中央の権力闘争の行方
◆台湾国民党の内ゲバ
◆あたかもコミンテルンのごときミャンマー対策
◆金正日・王朝の後継者に三男の金正雲がなぜ有力視されだした?
◆NATO拡大が上海シックスを刺激
◆南アジアはすでに中国の影響圏

第五章 価値観の激変、世代間の対立
◆偽装結婚、ド派手な結婚式
◆深刻な晩婚化と高齢化
◆急上昇する離婚率
◆メンタル・タフネスは何処へ?
◆中華連邦、民主化の仕掛け人

第六章 たとえば上海独立、広東独立という独立経済圏のシナリオ
◆広東はもともと独立志向
◆富はどの地域に偏在しているか
◆「上海タイフーン」、「甘苦上海」の現場は?
◆北京の決定なにするものぞ
◆北京五輪後、天津の興隆、北京の荒廃
◆遷都先のダークホースは西安

第七章 チベットは独立状態に戻る
◆チベットはこうして併呑された
◆杜蕃の建国は七世紀
◆四川省大地震報道の裏に潜むもの
◆ジェスチャーとしてダライ・ラマと対話
◆民族の伝統を破壊し、自決権を奪う
◆シャングリラ(理想郷)は何処に?

第八章 ウイグル独立への道
◆世界に拡がるウイグル族への支援
◆漢族の激しい民族差別に立ち上がる
◆ウイグル人の住居、文化遺産を破壊
◆グローバル化した少数民族問題の惨状
◆米国もかれらを「テロリスト」と呼んだ
◆タリバンとグアンタナモ
◆イスラム諸国を敵に回した中国

第九章 東北三省は中国とは無縁の地
◆満州へ漢族の入植は禁止されていた
◆環日本海経済圏の名残り
◆北朝鮮が見える集安で
◆ロシアも極東に経済特区
◆シベリア極東大開発の現場
◆環境問題で中ロが対立
◆ノモンハン現場を満州側から見ると
◆中国の本質を知り抜いた戦前の日本人

第十章 台湾は独立できるか
◆台湾の国際法上の地位は未定
◆独立運動が台湾国内では後退
◆台湾独立は中華帝国が分裂するときに
◆クリントン「曖昧戦略」を台湾も踏襲
◆米国が「台湾関係法」改訂を検討か
◆台湾新世代は何を考えている?
◆尖閣諸島の帰属は?

エピローグ 誰が“中国版ゴルバチョフ”になるか
◆深刻に進む中国の分裂状況
◆イスラムの地下組織も中国へ報復を宣言

著者

宮崎正弘(みやざき・まさひろ)
1946年金沢市に生まれる。早稲田大学中退。中国ウオッチャーとして中国全33省を踏破。主な著書に『中国大分裂』(文藝春秋)、『中国人を黙らせる50の方法』(徳間書店)、『中国財閥の正体』(扶桑社)、『瀕死の中国』『中国瓦解』『中国から日本企業は撤退せよ』『世界新資源戦争─中国、ロシアが狙う新・覇権』『トンデモ中国 真実は路地裏にあり』(以上、阪急コミュニケーションズ)、『人民元がドルを駆逐する』(KKベストセラーズ)など。

●装丁/倉田明典

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