アメリカ人 異人・変人・奇人

アメリカ人 異人・変人・奇人
ニューズウィーク日本版編集部 編
  • 書籍:定価1047円(本体952円)
  • 四六判・並製/224ページ
  • ISBN978-4-484-09108-2
  • 2009.07発行

Newsweekの名物投稿記事コーナー「My Turn」から、おじさんヌーディストや88歳レズビアン、ターバン芸人、デブランナーなど、ちょっと変わった市井のアメリカ人50人のエッセイを収録。リアルな「自分語り」から本当のアメリカが見える!

書籍

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内容

世間にあふれるオバマ本では分からないアメリカがあるとすれば、それを垣間見せてくれるのがこの本。『ニューズウィーク』で37年間も続いてきた投稿記事コーナー「My Turn」から、一般の報道では取り上げられないアメリカ人50人の「声」を拾い上げた、異色の「アメリカを知る本」です。

映画評論家・コラムニストの町山智浩氏(『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』著者)も、「僕が出会ったアメリカ人たち」と題するエッセイを特別に寄せてくれました。

自分をさらけ出し、マイウェイな生き様を語り、あれやこれやの主張をし、強烈な体験を告白する、ちょっと変わった市井のアメリカ人たち。こんな人たちが登場します!
●おじさんヌーディスト、88歳レズビアン、ターバン芸人、デブランナー、小鳥を撃ったリベラル派、性的虐待体験の告白者、太っちょアジア系、ママ友嫌いママ……

前書き

この本は、アメリカのニュース週刊誌『ニューズウィーク』に寄せられた読者からの投稿記事のアンソロジーである。日本の新聞の投書欄をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれない。そう、言ってみればこの本は、素人が書いた記事を1冊にまとめたものだ。
といっても、ただの投稿記事ではない。だって、ヌーディストのおじさんが誌面を1ページもらって、いかにヌードが素晴らしいかについて実名で語り、おまけにプロのカメラマンがわざわざ彼の写真(上半身だけなのでご安心を)を撮って掲載しているのだ。こんな連載コーナー、日本の新聞にも雑誌にも、なかなかない。
ブッシュの8年が終わって、オバマの時代が始まった。いま、このアメリカをどう見るかが世界の関心事となっている。だけれども、「オバマ」だらけになってしまっている報道や情報の海に溺れて、何か見落としていないだろうか。
この本には「ブッシュ」や「オバマ」という言葉はひと言も出てこない。50人のちょっと変わった市井のアメリカ人が、自分のマイウェイな生き様を語り、あれやこれやの主張をし、強烈な体験を告白しているだけだ。ぜんぶ一般人の話だけれど、ぜんぶ本当の話。でも、このリアルな「自分語り」を読めば、たくさんの知らなかったアメリカが見えてくるはず。本当のアメリカは、ワシントンとウォール街以外の場所にある。
1ページを使い、写真も掲載するこの投稿記事コーナー「My Turn」(「私の番」という意味)は1972年に始まった。実は当初は、一般人ではなく著名人が交代でエッセイを書くコーナーだった。そのうち一般人のエッセイを掲載するコーナーに変わっていったが、今も必ず編集者が厳密に事実をチェックし、実在する人物かどうかを調べ、素人レベルを超える文章に仕上げている点が、通常の投書欄とは違うところだ。
この名物コーナーは、堅苦しくなくオープンな編集方針を掲げるニューズウィークのシンボル的なページでもある。同誌編集主幹のリチャード・スミスは言う。
「ある意味で、声なき人に声をという60年代の精神を受け継いだコーナーだった」

声なき人たちは、一般の報道では取り上げられない「異人・変人・奇人」たち。ときに可笑しく、ときにほろ苦く、ときに辛辣で、ときに悲痛で、ときにどうでもいい。そんな彼らの声に耳を傾けて、アメリカの実像を見つけ出してほしい。

目次

はじめに

Chapter 1
マイウェイ人生を誇る人たち
おじさんヌーディスト ~ デブランナー

自然体でいられるヌードのすすめ
中年男がタトゥー選びで迷うとき
ウディ・アレンにはなれなかった
私の愛するピザ配達の仕事について
早食いチャンプの人生はつらいよ
デブが走ったっていいじゃない
われ思う、ゆえにわれ理解されず
ミスコンで学んだ女磨きの王道
消防士の仕事がしんどくなってきた
住所は海のどこか、連絡はネットで

Chapter 2
ステレオタイプを超えて
ターバン芸人 ~ 太っちょアジア系

神聖なターバンを笑いのネタに
まさか私が銃で小鳥を撃つなんて
黒人女性の医師だっているんです
私は人種の裏切り者じゃない
アジア系なのに太っちょだった私
「牧師の奥さん」と呼ばれたくない
福音派の妹を今は受け入れる
カストロを忘れ、WBCで涙した
母語を捨てた過去にアディオス
銃を乱射したあの男を憎むべきか

Chapter 3
ひとこと言わせてほしい
ママ友嫌いママ ~ 88歳レズビアン

ママ友との不毛なデートはつらい
ちゃんとした睾丸癌を生き延びた
環境問題の話を子供にしないで
ハゲ差別はなぜまかり通るのか
金持ちの「家庭教師」はもうやめた
88歳の今、カミングアウトします
学生よ、決まり文句を捨てよ
私は「警官」だが「警察」ではない
癌になったほうがまだましだ
お願い、私をジェーンと呼ばないで
全米から英雄と呼ばれ戸惑う日々

Chapter 4
かくも多様な家族の肖像
強烈里親家庭の子 ~ 田舎セレブの娘

麻薬中毒の赤ちゃんを知ってる?
夫の死を嘆く妻を演じ続けて
アル中の親を許して私は変わった
自閉症の兄のとびきりの笑顔
セレブな母をもった私の自分探し
継母になって知る子育ての醍醐味
退職した夫が家にいるという悪夢
娘のアレルギーを理解してほしい
息子が初めて「k」を発音できた日
結婚3度目、中年2人の新生活

Chapter 5
悲しい記憶の先にあるもの
戦争トラウマ難民 ~ 流産体験の語り部

戦争の記憶を胸にアメリカで生きる
午前3時、バグダッドの病院にて
遺族の傷をえぐるダイレクトメール
流産の痛みは分かち合うもの
ただ忘れたかった性的虐待の記憶
死刑反対だった私が極刑を望んだ
黒人の男が泣いてもいいと知った夜
さようなら、私の愛犬ジャック
フィアンセの亡き妻の誕生日に

特別寄稿 僕が出会ったアメリカ人たち 町山智浩

●ブックデザイン/萩原 睦(志岐デザイン事務所)
●本文DTP/大山陽子(志岐デザイン事務所)
●表紙デザイン/岡本健+
●表紙イラスト/秋田カズシゲ

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