翻訳者による海外文学ブックガイド2 BOOKMARK
やっぱり翻訳モノはおもしろい。
読めば読むほど、もっと読みたくなる。
19年10月に刊行した『翻訳者による海外文学ブックガイド BOOKMARK』(1~12号収録)の第2弾、完結編。
13号(18年12月)~20号(23年2月)に、「緊急特集 戦争を考える」を加えた全9号が1冊の本になりました。
フィクションやとんでもなく厚い本、短篇、詩等のほか、「戦争を考える本」も紹介。
江國香織さん、多和田葉子さん、東山彰良さん、ブレイディみかこさん、町田康さん、森絵都さんなど、総勢31人の作家の方々によるエッセイも収録した贅沢な翻訳本案内です。
- 書籍:定価1760円(本体1600円)
- 2023/8/1発行
はじめに
ぼくもじつをいうと、音楽と映画はさておき、本に限っては日本の作品をずいぶんよく読むようになっていて、日本の作家、すごいじゃん、もっと翻訳して、海外に紹介しろよと思うようになってきた。
とはいっても、翻訳作品の魅力にはいまでも敏感に反応してしまう。そして、いまでも日本では海外のおもしろい作品が次々に紹介されている。とくに最近はアジア、アフリカの作品も続々と翻訳されているし、翻訳される言語も多岐にわたっている。今年が9回目になる日本翻訳大賞の候補作のバラエティの豊かさにもその一端がうかがえる。
いま、ぼくは文学的にとても幸せな時代にいるのかもしれない。ここ日本では、自国の純文学もエンタテイメントもますます充実しつつあるだけでなく、明治以降の翻訳精神が変わらず生きていて、謙虚に、そして貪欲に海外の作品を吸収しつつあるのだから。
まさにそんな幸せな時代を象徴するかのように、「BOOKMARK」という冊子が出たのはすごいなあと、自画自賛しているところだ。
もくじ
13「絵と字で、無敵!」グラフィックノベル特集
【エッセイ】グラフィックノベルの新時代とスタン・リー 95歳の死──小野耕世(映画・漫画評論家)
14「against!」「ノー」と言うこと
【エッセイ】不羈という一言──あさのあつこ(作家)
15「Be short!」短編特集
【エッセイ】遠い他国の和平を願う──宮内悠介(作家)
16「stranger than fiction?」ノンフィクション特集
【エッセイ】現実こそオチがつく──ブレイディみかこ(ライター)
17「Books on Books」本についての本特集
【エッセイ】我が友バートルビ──都甲幸治(アメリカ文学研究者・翻訳家)
18「Other Voices,Other Places」英語圏以外の本特集2
【エッセイ】翻訳と詐欺──多和田葉子(作家・詩人)
19「Fat but/and Fun」分厚い本特集
【エッセイ】分厚い本──桜庭一樹(作家)
緊急特集2022 Books and Wars 戦争を考える
青山七恵、江國香織、恒川光太郎、酉島伝法、東 直子、東山彰良、深緑野分、星野智幸、穂村弘、町田康、松田青子、森絵都 and more……
20 It will resonate 詩の本特集
【エッセイ】詞と詩のあいだにあったもの──斉藤 倫(詩人)
著者略歴
金原瑞人(かねはら・みずひと)
1954年岡山県生まれ。法政大学教授。翻訳家。「BOOKMARK」編集・発行人。
80年代より新聞、書籍、雑誌などで精力的にヤングアダルト(YA)向けの書評を執筆。国内外のYA作品に対する造詣が深く、独自の視点で書かれた親しみやすい書評には定評がある。手がけた翻訳書は600冊以上。
三辺律子(さんべりつこ)
翻訳家。白百合女子大学大学院修了。白百合女子大学、東京女子大学などで講師。訳書に、『ジャングル・ブック』(ラドヤード・キプリング)、『タフィー』(サラ・クロッサン)、『ルビーが詰まった脚』(ジョーン・エイキン)、『嘘つきのための辞書』(エリー・ウィリアムズ)、『ローラ・ディーンにふりまわされてる』(マリコ・タマキほか作)など。共著書に『はじめて読む! 海外文学ブックガイド』など。
オザワミカ
愛知県生まれ。イラストレーター。フリーブックレット「BOOKMARK」イラスト・デザイン担当。書籍や雑誌のイラスト、演劇の宣伝美術などをおもに手がける。2010年の漫画家・江口寿史氏との2人展「reply」(リベストギャラリー創/東京吉祥寺)など展示活動多数。
装丁*川名 潤
装画*オザワミカ
校正*株式会社 文字工房燦光