死にそうだけど生きてます

死にそうだけど生きてます
ヒオカ 著
  • 書籍:定価1650円(本体1500円)
  • 電子書籍:定価1320円(本体1200円)
  • 四六判・並製/288ページ
  • ISBN978-4-484-22213-4
  • 2022.09.02発行

個人の壮絶人生から社会が見えてくる。制服が買えない。参考書を買うお金がない。そんな超貧困家庭から独学で大学へ。しかし、大学に入学したからといってスタート地点に立てたわけではなかった。貧困の問題とは、お金がないだけではなく、経験が限定されること。注目の20代論客による初の書き下ろし。

書籍

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電子書籍

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内容

壮絶人生から見る社会。寄稿すればバズる。20代論客、初のエッセイ。
 
“まだ子どもだった頃、私にとって育った村は逃げられない檻だった。絶え間のない暴力と、際限のない貧困を閉じ込める檻”
 
隣で楽しそうに笑っている子、じつは困っているのに、言えないだけかもしれない――家賃を払い、学費を払い、病気になれば治療費を払う。安心できる居場所がある。そんな当たり前の日常を送る者の視界からは、こぼれ落ちる人たちがいる。しかし、そうした存在は意外と目に付かない。生まれながらに持たざる者は、経験が限定され、将来の選択肢を失いがちだ。たとえば、
 
◎高校の制服が買えない
◎お金がかかるから部活に入れない
◎中古1円の参考書で受験勉強
◎大学ではひとり、紙の辞書
◎レポートを書くPCが買えない
◎夏の底辺シェアハウスはベランダで寝る
◎友人からのプレゼントにプレッシャーを感じる
◎医療費が不安で自主退院
◎コロナ禍でも外で働かざるを得ない etc.
 
あの子はほんとに、なまけもの? 貧困は自己責任なのか? 塾も習いごともあきらめて、独学で国公立大学に進学した著者は言う。「それでもまだ、スタート地点に立てたわけではなかった」と。みなが自分の“強者性”を自覚する。そして、今より5ミリずつ思いやりの手を伸ばす。その総和が社会を優しく、生きやすくするのではないか?

本文より

教育は、給料のいい会社へ就職するためだけのものなのだろうか。小学生から十六年間の学びは、新卒カードを使って就職する、そのただ一回のためのものなのか。
 
私はそうは思わない。きっと、学びは一生のものだ。そして、もっと大局的に見て、貧困の連鎖を解消するために教育の平等は欠かせないものだと思う。 
 
生まれで選択肢が限られるような社会は、私は変わるべきだと思う。もちろん高卒で働くことも、社会人になってから大学に入り直すことも、立派な選択肢だ。通信制や夜間部の大学に入る道だってある。
 
しかし、大学進学を〝選べない〟と〝選ばない〟では、天と地ほどの差がある。貧困家庭に生まれたがゆえに、選択肢が限られてしまうことが〝仕方のないこと〟だなんて私は絶対に思わない。それは変えられる余地のある現実だから。
 
――「教育の平等:学びは一生のもの」より
 

著者

ヒオカ
 
ライター 1995 年生まれ。地方の貧困家庭で育つ。note で公開した自身の体験「私が“普通”と違った50 のこと――貧困とは、選択肢が持てないということ」が話題を呼び、ライターの道へ。“無いものにされる痛みに想像力を”をモットーに、弱者の声を可視化する取材・執筆活動を行い、「ダイヤモンド・オンライン」(ダイヤモンド社)、「現代ビジネス」(講談社)などに寄稿。若手論客として、新聞、テレビ、ラジオにも出演。連載に『貧しても鈍さない 貧しても利する』(「婦人公論.jp」中央公論新社)、『足元はいつもぬかるんでいる』(「mi-mollet」講談社)がある。
 
***
 
心の師匠は、中川家、羽生結弦さん、平手友梨奈さん。「表現すること」について、多大なるインスピレーションを受けている。彼らについてはリスペクトが深すぎて、何時間でも話すことができ、語彙総動員のマシンガントークが周囲に「キモい……」と言われている。推しは、大江裕さん、ろるらりさん、大社カリンさん。歌も笑いのセンスも規格外の大江裕さんには、小学生の頃に感銘を受け、以来ずっと大ファン。また、イラストや絵画作品はもちろん、ご自身の存在感やワードセンスも神っている、ろるらりんさん、大社さんは、そのインスタが癒し。個展があれば必ず拝みに行く。言葉・文章表現については、ちゃんみなさんやOfficial 髭男dism から学ばせていただいている(勝手に)。ちゃんみなさんのヒリヒリ抉られるような歌詞と挑発的な表情、圧倒的歌唱力、それに髭男の独自の日本語表現、言葉遊び、そうしたものに「言葉で表現すること」の可能性を感じさせてもらっている。好きな漫画は『銀魂』『BLEACH』『フルーツバスケット』。好きなアニメは『忍たま乱太郎』。『忍たま』は、どんなにささくれ立っているときも、平和を感じさせてくれる。永遠のアイコンは『カードキャプターさくら』と『美少女戦士セーラームーン』。趣味はドラマ鑑賞。歴代マイ・ベスト・ドラマは『Nのために』。エモ散らかしていて、エモ死ぬ。
 
幼い頃から、お笑いと関西弁が大好き。特に狂気を感じる系の笑いに惹かれる。芸人では板倉俊之さんが好き。言葉フェチであり、言葉オタク。暇があれば辞書を引き、単語や熟語をストックをするのが趣味。語感が良い単語やフレーズを見つけると、ムフフとなる。必ずメモしている。
 
Instagram: @hioka35
note: https://note.com/kusuburuboku/

目次

Part 1 
今までのこと
――どこにも居場所がなかった
 
Story 1 季節はずれの雪が降っている
Story 2 この世界に居場所がない
Story 3 お古の制服、私だけ不格好で
Story 4 大学生になってもスタートはまだ遠くて
Story 5 たったいちどの晴れの日のこと
Story 6 全力で今を楽しむということ
Story 7 生きるんだよ。なんて少し大げさ
Story 8 おらんんくなったらなったで寂しいし
Story 9 私が“普通”と違った50のこと
 
Part 2
その後のこと
――居場所で考えた14の断片
 
1 文化的:心に「余白」をくれるもの
2 好き:人は変わることができる
3 ジェラート ピケ:先入観との決別
4 生きる力:いつか恩を返したい
5 自己責任:想像する努力を手放さない
6 不可視化:スタートラインに立てない
7 怒り:敵は個人ではなく政治
8 アリとキリギリス:生産性と人の価値
9 教育の平等:学びは一生のもの
10 エモ文体:躍らされず賢くなる
11 分断:支援されるべきでない人などいない
12 文化資本格差と貧困税:ないのはお金だけではない
13 想像力:自分に置き換えてみることの限界
14 強者性:優しくなるために自覚すべきこと
 
おわりに――死にそうでなく生きていきたい

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