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恐竜の魅せ方 展示の舞台裏を知ればもっと楽しい
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真鍋 真
著
- 書籍:¥1400(税別)
- 電子書籍:¥1120(税別)
- 四六判・並製/208ページ
- ISBN978-4-484-19224-6
- 2019.7発行
恐竜好きな人たちにとって、身近で興味深い国立科学博物館をはじめとする博物館や、3年前後ごとに開催される「恐竜博」は恐竜の宝庫!
恐竜研究の第一人者で、長年にわたり「恐竜博」監修を務める真鍋先生が、「展示の舞台裏を支える人々がどんなふうに恐竜と向き合っているか?」という切り口から、これまでとは違った角度から見える恐竜の面白さ、魅力、最新情報を伝えます。
恐竜研究の第一人者で、長年にわたり「恐竜博」監修を務める真鍋先生が、「展示の舞台裏を支える人々がどんなふうに恐竜と向き合っているか?」という切り口から、これまでとは違った角度から見える恐竜の面白さ、魅力、最新情報を伝えます。
はじめに
みなさんは、アメリカで出版された『スミソニアンに恐竜がやってきた!』(ジェシー・ハートランド著、志多田静訳、六耀社)という絵本をご存じでしょうか。イラストレーターのジェシー・ハートランドさんが子どもたちのために描いた本で、主人公はディプロドクス。首と尻尾の長い四足歩行の大型草食恐竜の化石です。
実際に、スミソニアン国立自然史博物館に展示されている全身骨格で、骨格のほとんどが実物の化石で構成されたホロタイプ標本(完模式標本)です。
「古生物学者」と「標本製作者」が相談しながら全身骨格を組み立てる作業だけで七年の歳月が流れ、ようやく展示が始まり、「館長」の挨拶で終わります。本当に、大勢の方々に支えられて博物館の展示は成り立っているのだと実感させられます。
期間限定の恐竜展のように、大勢の方々が訪れる期間限定の特別展の場合はなおのこと、宣伝してくださる方々や会場整理してくださる方々なども含め、さらに大勢のみなさんのご協力によって成り立っています。
この本を書いている今は、「恐竜博2019」の開催準備の真っ最中。毎日のように各所から確認のメールが届いています。
進行中の「『恐竜博2019』ができるまで」の話題にふれながら、これまでに開催してきた恐竜展示の舞台裏も振り返りつつ、展示を支えてくださっているみなさんの仕事ぶり、そしてその仕事から恐竜の新たな魅力をご紹介できればと思っています。
目次
第一章 化石を立ち上がらせる日本でも復元骨格が作れる時代に
日本の恐竜復元骨格の第一人者
──高橋功さん(ゴビサポートジャパン)
腰が決まればみんな決まる/チンタオサウルス復元プロジェクト など
第二章 生きた姿に戻す
復元画は科学の絵
イラストとサイエンスは切り離すことができない
──菊谷詩子さん(サイエンスイラストレーター)
恐竜の復元画は可能性の提示/描くことで生き物に近づける など
フィギュアには思いを共有する力がある
骨格標本から一歩進んだ姿
──田中寛晃さん(造形師)
こだわりは皮膚やシワといった細部/ダチョウやゾウが恐竜の資料 など
第三章 恐竜博を始めよう
「恐竜博2019」の企画は二〇一六年から始まった
最初の構想は「恐竜五大陸選手権」
借りる算段は電卓とにらめっこ
デイノニクスはビジネスクラスでやってきた
──朝日新聞社 佐藤洋子さん
宣伝チラシは進化する/オリジナルグッズの舞台裏 など
第四章 展示大作戦
魅力ある展示を作る専門家
──小南雄一さん(東京スタデオ)
恐竜も展示も進化する/「むかわ竜」を魅せる など
第五章 研究と展示の未来
予備知識があるともっと楽しい
デイノ=「恐ろしい」+ケイルス=「手」の発見
卵の化石
恐竜生物学の深まり
次の恐竜展はもう始まっている など
第六章 常設展示室への誘い
いい標本こそ常設展示に
「考えるモード」への切り替え
恐竜の骨の楽しみ方
展示物ガイド1 竜盤類
アパトサウルス(竜脚類)/ティラノサウルス(獣脚類)/シチパチ(獣脚類)/デイノニクス(獣脚類)/バンビラプトル(獣脚類)
展示物ガイド2 鳥盤類
ヒパクロサウルス(鳥脚類・ハドロサウルス類)/パキケファロサウルス(周飾頭類・堅頭竜)/トリケラトプス(周飾頭類・角竜)/ステゴサウルス、スコロサウルス(装盾類)/中生代最後の日「K/Pg境界」
壁面展示にもひと工夫
日本館の恐竜たち
著者略歴
真鍋真(まなべ・まこと)1959年東京都生まれ。
PhD。国立科学博物館 標本資料センター・コレクションディレクター兼分子生物多様性研究資料センター・センター長。
恐竜など中生代の爬虫類、鳥類化石から、生物の進化を少しでも理解しようと、化石と心の中で対話する日々を送っている。
著書に『深読み! 絵本「せいめいのれきし」』(岩波書店)、『恐竜博士のめまぐるしくも愉快な日常』(ブックマン社)などがある。
そのほか、恐竜の図鑑や本の監修、博物館展示・展覧会の監修多数。