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アステイオン92

【特集】世界を覆う「まだら状の秩序」

現在の世界秩序を何と呼べばいいのだろうか? 自由主義とイスラーム主義といったイデオロギーによる断裂の線は、地理的な境界を持たず、中東でもアフリカでも、欧米の国々でも、社会の内側に走っている。個々人も、慣れ親しんだ自由を享受せずにはいられないにもかかわらず、他方で強い指導者に難問を委ね、即断即決の強権発動で解決してもらおうという心性に、知らずのうちに侵食されている。ここに「まだら」な状態が生じてくる。グローバルな条件が可能にする、グローバルな危機の震源は、「まだら」な世界地図のひとつひとつの斑点のように、世界各地に、究極的にはわれわれ一人ひとりの内側に点在している。「まだら状の秩序」を凝視する作業によって変化の片鱗を見出そうとしていたわれわれの営為は、今後どのように見えてくるのか。

すばらしい「まだら状」の新世界/池内恵
最高指導者と革命防衛隊――イランを支配しているのは誰か?/アリー・アルフォネ
宗教と国家――エジプトの権力構造における宗教機構/ネイサン・J・ブラウン
戦略的自律性の追求――アラブの春の挫折とトルコ外交/シャーバン・カルダシュ
南コーカサスにおける非民主的な「安定」/廣瀬陽子
変わりゆく世界秩序のメルクマール――試練の中のスウェーデン/清水謙
権威主義への曲がり角――?反グローバリゼーションに揺れるEU/岩間陽子
習近平の社会思想学習/近藤大介

■写真で読む研究レポート(グラヴィア)■
イタリア・ルネサンス庭園――知を創造する緑陰を訪ねて/桑木野幸司
フランスにおける日本関連の録音資料/鈴木聖子

■論考■
教育は「聖域」か――政治とお金から逃げる日本/青木栄一
朝河貫一の一九四六年秋憲法第九条改正論――「神聖な武力」への反省を刻んだ自由追求のために/浅野豊美

■時評■
亡き友芳賀徹を偲ぶ/高階秀爾
木造復活ブーム/藤森照信
甲子園大会と「国民歌」/渡辺裕
災害列島/奥本大三郎
丸山眞男研究の新たな動向/苅部直
日常と危機の境界で/田所昌幸

■思潮■
中国内戦史研究の現在地――定説の見直しをめぐる不協和音/阿南友亮
高度監視社会のパンとペン/藤原辰史
資本主義を救う「急進的な市場主義」という処方箋/安田洋祐
知られざるベストセラー作家 路遥/馬場公彦

■連載■
夢を種蒔く人・厨川白村――象牙の塔での喜悲劇――東京帝大で過ごした日々(第3回)/張 競
哲学漫想3 リズムの哲学――反省と展開への期待/山崎正和
世界史の変容・序説 歴史はなぜ快楽か(?最終回)/三浦雅士

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