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ファイナンスこそが最強の意思決定術である

ファイナンスこそが最強の意思決定術である
正田 圭 著
  • 書籍:¥1600(税別)
  • 電子書籍:¥1280(税別)
  • 四六判・並製/272ページ
  • ISBN978-4-484-17228-6 C0034
  • 2017.9発行
スティーブ・ジョブズはなぜいつも黒のタートルネックなのか? 孫正義はなぜあんなに高額でM&Aをするのか? 「ファイナンス力」で質の高い意思決定を積み重ね、「とんでもない結果」を出せる人になるための、まったく新しいファイナンス入門。


書籍

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電子書籍

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内容

ファイナンスとは―――
・巨大な敵に小さくても勝つ、番狂わせを起こす武器である
・企業のトップと話をするための言語である
・理想的な未来を選択していくことである
・不確実性を踏まえて予測することである
・皆が右を向いているときに一人左を向く能力である

意思決定とは―――
・日々連続的に行われるものである
・時間や労力といった資源を配分することである
・自分がしようとしている行動にどんな価値があるかを考え、
その価値が最大化する道をつねに選び続けることである

意思決定を伴わないファイナンスに価値はない。
ファイナンスを伴わない意思決定も同じである。


日々積み重ねていく1つひとつの意思決定の質を高めていくことで、
誰でも「とんでもない結果」を出すことができる。
「決断」と「選択」の質を高めるファイナンス入門。


はじめに

はじめに――活躍できる人とできない人の差は「ファイナンス」

 若くしてとんでもない成果を出しているビジネスパーソンが、稀にではありますが、確かに存在します。「ベンチャー起業を立ち上げ、何億円もの資金調達を行った」「会社を何十億円もの金額で売却した」「子会社の社長に抜擢され、何億円もの報酬を手にした」といった話を、皆さんもニュースサイトやSNSなどで目にしたことがあるのではないでしょうか。あるいは、特に天才でも何でもないような知り合いが、気が付いたらとても大きな仕事を任されていたり、驚くほど活躍していたり、なんてこともあるかもしれません。
 「なぜあいつはこんなに運が良いのだろう」とか「なぜ彼女にばかり大きなチャンスがやってくるのか」と不思議に思い、本人たちに聞いてみると、「自分でもよくわからない」とか「運が良かっただけ」という答えが返ってきます。

 このような「運の良い人」は、もちろん、本当に「ただ運が良い」だけの人ではありません。このような人たちは、大抵、自分の能力が最大限活かせるような機会、それも、今の仕事の延長線上にはないような、非連続の飛地にあるような機会を捕まえ、未経験の分野に挑戦し、成長して実績を作っているのです。
 さらには、一度上昇気流に乗ると、そのような人たちはより結果を出す機会に恵まれ、次の活躍の機会をも獲得します。これは、決して運が良いだけではありません。これらのビジネスパーソンたちは、意識的にか、そうではないかは別として、戦略的に機会を呼び込む努力をしているのです。

 その努力とは何か。それは「意思決定力の開発」です。意思決定力というと、何か大きな一大事を、思い切って度胸と勇気でバシッと決断すること、というイメージかもしれませんが、そんなことはありません。どちらかといえば、とても細かい、一つひとつ取り上げてみたら何でもないような意思決定を日々積み重ねることで、毎日毎日、少しずつの意思決定の差を乗数的に積み重ねていくのです。気が付いたら、そうした意思決定の回数は天文学的な数字になっていて、それが「とんでもない結果」を生み出すのです。

誰もが意思決定者である

 人間誰もが意思決定を行います。「朝起きて何を食べようか」「会社に着いたらメールの返信をしようか、日経新聞を読もうか」「今日はこの本を読もうか、漫画を読もうか」といったことも意思決定ですし、「転職しようか」「このプロジェクトに名乗りを上げようか」「先方の要求にYESと言うか、NOと言うか」も意思決定です。
 ビジネスパーソンが意思決定をする機会は一日のうちに何度も存在します。「とんでもない結果」を連続的に出す秘訣は、実はこれらの細かい意思決定の質を高めることなのです。

 では、「意思決定の質」はどのように高めていけばよいのでしょうか?
 その答えは、意外かもしれませんが、ファイナンスを習得することです。意思決定の質が高く、ずば抜けた結果を出す人は皆、高度なファイナンス力を持っています
 最近では、ファイナンスがちょっとしたブームになってきており、ファイナンスという言葉を聞いたことがある人は増えてきているかと思います。しかし、ファイナンス力をどのように鍛えればよいかをきちんと理解して、戦略的に実行している人は多くありません
 ファイナンスでよく使う数式については、多くの良書が出版されていますので、そちらに譲ろうと思います。本書では、「なぜファイナンス力を高めると意思決定の質が高まるのか」から始まり、「誰もが可能なファイナンス力の鍛え方」、そして「ファイナンスこそが最強の意思決定術である理由」及び「ファイナンスで最強の意思決定をする方法」までを紹介していきます。

ファイナンスは意思決定をするためのもの

 ファイナンスというと、企業価値を求める計算式や、資金調達の考え方などのことであり、企業の財務や経営企画室でしか使わないものだと誤解されている方もいらっしゃるかもしれません。
 しかしながら、本書でいう「ファイナンス」は、意思決定のためのファイナンスです。自分の能力を最大限に活用するために、意思決定の質を高めるものこそがファイナンスであると定義しているのです。したがって本書は、財務部や経理部、経営企画室の人々のためだけではなく、日々努力をし、意思決定の質を高め、チャンスを手にしてとんでもない成長を達成していきたい人すべてに向けての書籍となります。
 それぞれのビジネスパーソンが高いパフォーマンスを出すためには、キャリアの段階で「活躍するための機会」をつかみ、そこで出した成果がさらに多くの「活躍の機会」を新たに呼び込み、実績が増え、付加価値が高まり、自己実現をしやすくなっていく、という正の流れを生み出す必要があります。

 一流のスポーツ選手は、極限の集中状態に入ったとき、「相手の動きがゆっくり見える」「ボールの芯が光って見える」などと言います。スポーツの世界だと、この状態を「フロー状態」とか「ゾーンに入る」といい、一流のアスリートたちは、このような状態になるために独自の工夫を行っています。そして、この状態に入った選手たちは、自分たちの能力を最大限に発揮し、トーナメントで優勝したり、連戦連勝を重ねたりして、多くの偉大な結果を生み出しています。
 ファイナンスを活用することは、ビジネスの世界で、この「フロー状態」に入るための効果的な手法なのです。
 断言しますが、皆さんがファイナンスを習得し、質の高い意思決定を行うことができるようになれば、今までとは全く違った、ハイレベルなパフォーマンスを発揮することが可能になります

 冒頭の話に戻りますが、活躍している人にその理由を聞くと、「偶然だ」とか「運が良かっただけ」という回答が返ってきます。しかし多くのビジネスパーソンと話していると、それは偶然ではなく必然なのではないかと考えさせられる数々のエピソードが浮かび上がってきます。「飛びぬけた結果を出す人」には「飛びぬけた結果を出す理由」があるのです。
 そこには、ファイナンス的思考を用いて、細かいところから大きなところまで質の高い意思決定を連続的に行っている、という共通要素があるのです。

ファイナンスを学ぶことで、誰もが質の高い意思決定ができる

 私は、会社を作っては売却するという、いわゆるシリアルアントレプレナー(連続起業家)であり、どのタイミングで経営の舵を切ろうかとか、どの条件で売却しようかという意思決定を繰り返してきました。また、現在はTIGALA株式会社という企業の代表取締役に就任し、M&Aのコンサルティングや投資事業を行っています。
 これらの経験や業務内容が、意思決定の精度を高めていくことに大きな影響を及ぼしているのかもしれません。
 では、私のような経歴や、何か飛びぬけた才能がないと、このような意思決定力は向上しないものなのでしょうか。
 私は、現在のクライアントや「経営のプロ」たちと付き合うことで、正しいプロセスでファイナンスをきちんと学びさえすれば、経歴や才能にかかわらず、誰もが質の高い意思決定を行うことが可能だと確信しています。

 本書では、今まであまり語られることがなかった、ファイナンスの習得によってどのように意思決定の質を高めるか、ということについてのエッセンスを抽出し、それを誰もが再現可能な状態で実際のビジネスや日常生活に落とし込む方法を提示することを試みています。

 私は仕事柄、どのようにファイナンスを習得すればよいかを尋ねられることがたびたびあります。中小企業の社長さんに聞かれることもありますし、社会人キャリア1年目の人に聞かれることもあります。上場企業のトップに質問されたこともありますし、弁護士や公認会計士等の士業関係者に尋ねられることもあります。
 これを尋ねられると、私はいつも答えに苦しみます。ファイナンスについて書かれた本は書店にたくさんあります。もちろん、私もファイナンスに関する本は書店でいろいろ目を通してみました。しかし、いわゆる数式の説明をしている本や、ファイナンスの理論書などのマニアックな本はいくつもあるのですが、「ファイナンスを知らない人に向けて書かれた、ファイナンスで意思決定するための本」が存在しないのです。
 そして何よりも、本を書いている人たちの中にも、ファイナンスは意思決定を行うための手段であるということを理解している人がほとんどいないのです。

 私は、ファイナンスが意思決定のためのものであるということが知られていないことは、非常に好ましくないと思いました。そして、ファイナンスは意思決定の技術であるということをわかりやすく伝える本があれば、日本にも傑出したビジネスパーソンが数多く出てきて、日本経済がもっともっと活性化すると思ったのです。
 私は、ビジネスの世界で成功を収めたい誰もが、ファイナンス思考を学ぶべきだと考えています。財務や経理の畑ではなく、企業の経営幹部でもない、圧倒的多数の社会人や若者こそが、ファイナンスで意思決定する術を知ることが重要だと考えているのです。

 本書を書いたのも、このような理由からです。ファイナンスを学んだことがない人が読んでもわかりやすいように、またファイナンスで意思決定をするための具体的な方法論を、ビジネスで成功したい全ての人に向けてわかりやすく書きました。
 ファイナンスにおいて一番大切な根幹部分は、誰にでも理解できるものです。しかも、学ぶタイミングに遅すぎるということはありません。いつ学んでもその日から役立ちます。意思決定の質が高まると、「良い結果が出る確率」が高まります。大げさかもしれませんが、ファイナンス思考を習得すれば人生を自分の力で切り開いていけるのです。

本書の目的

 この本の目的は、ファイナンスの実務に15年以上携わってきた経験者の視点から、次の2つの点をお伝えすることです。

 ●最強の意思決定術である「ファイナンス思考」
 ●私が実践してきた「ファイナンスの習得法」

 
 本書では、私が実際のビジネスで培ってきた知識と経験、それに独自の習得法を加えて進化させ続けてきたノウハウを紹介します。
 
 ファイナンスで行う意思決定術は、ビジネスにおける戦略や戦術、行動計画を決めるための最強の武器となります。これを理解することで、皆さんのビジネスもキャリアも飛躍的に好転していくと信じています。
 本書を読み、「成長」と「成功」のきっかけを手に入れ、充実感を得られるような生き方を実現できる人が一人でも増えるならば、著者として望外の喜びです。

 皆様の「成長」と「成功」を祈って。     正田 圭

目次

はじめに――活躍できる人とできない人の差は「ファイナンス」

 誰もが意思決定者である
 ファイナンスは意思決定をするためのもの
 ファイナンスを学ぶことで、誰もが質の高い意思決定ができる
 本書の目的

1章 ビジネスキャリアを加速させる秘訣はファイナンスにあり

 世界で最も稼いでいるのはファイナンス業
 「超高収入」の秘訣
 AI時代に求められるたったひとつのこと
 ビジネスは投資活動
 「アセットアロケーション」から学ぶ
 1章のまとめ

2章 パラダイム・シフトに伴うファイナンスの必要性

 ファイナンスの本質はモノの値段を考えること
 ファイナンスの生まれと成り立ち
 日本のファイナンスの現状を考える
 ICO時代に、ファイナンスを学ぶ意義
 2章のまとめ

3章 ファイナンスが最強の意思決定術である理由

 ファイナンスの「常識」を捨てる
 ファイナンスとは何か
 「物」だけでなく「モノ」の値段も考えるファイナンス
 ジョブズはなぜ黒のタートルネックを身につけたのか?
 意思決定の精度を高める3つのフレーム
 意思決定の具体例
 ファイナンスの物語「わらしべ長者
 アブを捕まえる(=シナジー効果)
 ミカンと絹の布の交換(=市場創造)
 絹の布と馬の交換(=事業再生)
 馬と屋敷の交換(=オプション取引)
 モノの値段を考えて意思決定する
 先行きが見通せない中で意思決定する
 ファイナンスは唯一「時間」を考える意思決定術
 3章のまとめ

4章 ファイナンスの基本原理

 モノの値段についての3つの考え方
 お金の「現在価値」と「将来価値」
 インカムアプローチで企業の価値を計算する
 モノの値段に「正解」はない
 ファイナンスはアートである!?
 実績のないベンチャー企業に「高値」が付く理由
 4章のまとめ

5章 ファイナンスで意思決定する

 実は不完全なDCF法
 リアルオプションという考え方
 ストックオプションについて語る
 オプションの価値を理解する
 オプションの価値はボラティリティ
 30秒で自分を売り込む「エレベータ・ピッチ」プレゼン
 破綻寸前からV字回復したロコンド
 今どきの若者はリスクをどう見るのか?
 あらためてリスクについて考える
 寿司職人と投資銀行の人々との意外な相関関係
 5章のまとめ

6章 私のファイナンス習得法

 会計を学ぶか、ファイナンスを学ぶか
 ファイナンスの成長法則
 有価証券報告書でトレーニングする
 バランスシートはクイズで学ぶ
 インプットは綿密に。アウトプットは大胆に
 コミュニティで学ぶ
 プロはどう実践しているのか
 意思決定できない人の共通点
 計画の立て方
 ファイナンス能力を伸ばす4つの環境
 今いる環境で圧倒的に成長する
 TENBAGGER MANAGEMENT を目指せ
 意思決定にもっとも重要な「Go or not Go」の判断
 6章のまとめ

終わり に――世界のこれからを考える


略歴

正田 圭 KEI MASADA
1986年生まれ。15歳で起業。インターネット事業を売却後、M&Aサービスを展開。事業再生の計画策定や企業価値評価業務に従事。2011年にTIGALA株式会社を設立し代表取締役に就任。テクノロジーを用いてストラクチャードファイナンスや企業グループ内再編等の投資銀行サービスを提供することを目的とする。
著書に『ビジネスの世界で戦うのならファイナンスから始めなさい。』『15歳で起業したぼくが社長になって学んだこと』(いずれもCCCメディアハウス刊)がある。
装丁/溝田 明・大津 友里(デザインエイエム)
本文フォーマット/next door design
校正/円水社