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答え方が人生を変える あらゆる成功を決めるのは「質問力」より「応答力」

答え方が人生を変える
ウィリアム・A・ヴァンス/神田房枝 共著
  • 書籍:¥1,600(税別)
  • 四六判・並製/288ページ
  • ISBN978-4-484-17214-9
  • 5.31発売予定
85カ国延べ25,000人以上にコミュニケーション指導をしてきた言語学者が解明した、必ず質問者の期待を超える「最強の答え方」とは?

書籍

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内容

「質問の訊いていることに答えなさい」
「答えは短く、簡潔に」

話すコミュニケーションでは、これは正しくありません。
必ず相手に満足してもらい、自分を強力にアピールするためには、
質問を「リープ」(跳躍)することが必須です。
本書では、その戦術を詳述します。

本書の戦術を使うと――――――
・コミュニケーションが生産的になる
・誰とでも良好な人間関係がつくれる
・自分の能力や人格をしっかり伝えられる
・どんな質問も怖くなくなる
・どんな言語でも(英語でも中国語でも)通用する


◎答え方の基本や戦術そのものにフォーカスした初めての書籍です。
◎日本語に限らずどの言語でも使える「答え方のノウハウ」です。
 
「あの時、こう言えばよかった」 「なぜあんなふうに返答してしまったんだろう」
そんな “話すコミュニケーション” に悩んでいるビジネスパーソン必携。

 

イントロダクション  ウィリアム・A・ヴァンス

 今日の大問題のひとつ――それは、人々が「質問への答え方」を知らないことだ。

 もちろんほとんどの人は、質問が求める本質的な情報を提供すべきことは分かっている。でもそれだけではプロジェクトを、人間関係を、そして世界をより良くするチャンスを知らず知らずのうちに失い続けていくことになる。
 私はこれまで20年以上にわたって、南極からアフリカ、アイスランドまで85カ国の延べ2万5千人以上にコミュニケーションを指導してきた。彼らは、環境、ヘルスケア、金融サービス、テクノロジー、非営利団体、政府、コンサルティング等さまざまな分野で活躍し、自らのコミュニケーションの影響力を最大限に高めたいと望むビジネスパーソンたちだ。
 私はそうした経験とその分析から、シンプルかつ絶大な効果がある質問への答え方を発見した。そして、特に東アジアの人々のコミュニケーション能力に革命的な向上をもたらしてきた。

 この最強の答え方を、私は「質問を『リープ(跳躍)』する戦術」と呼んでいる。

 「リープ」とは、ジャンプやホップと同じように「跳ねる」(①)という意味だが、より高く、より遠くへというニュアンスを含み、とりわけ未来の進歩や成功へと向かう飛躍的な行動(②)を指して使われる。最も有名な「リープ」 が、一九六九年七月二十九日、アポロ十一号から降りたニール・アームストロング船長が人類初の月面歩行の一歩を踏み出した時に使われたように、先見性があり、勇気に満ち、感動を呼び起こし、まったく新しい可能性を開いていく行動に特徴づけられる。
 本書での「リープ」は、これら①と②の意味を合わせ持ち、質問を跳び越えると同時に、結果としてあなたの未来の人生にとっての新しい可能性――知識、人間関係、就職、昇進など――を開花させ、飛躍させてくれる「質問への答え方」と考えていただきたい。

 さて、「リープ」のイメージを持っていただいたところで、「質問を『リープ(跳躍)』する戦術」とは具体的にどんな戦術なのか?
 ひと言で言えば、

 「質問が求めることだけに答えるのではなく、あなたと相手の目的にとって価値ある情報を追加して答えること」。

 つまり、質問のフレームに留まることなく、あえて有用な情報を入れて跳び出すことによって、お互いの目的達成を目指していく建設的な答え方である。そのための具体的なノウハウは後述するが、この極めてシンプルな戦術が実践できているコミュニケーターはほんのひと握りにすぎない。
 その理由のひとつは、大半の人は「いい答え方とは何か」について深く考えたり、学習したりする機会がほとんどないことだ。答えが多くの場面で人生の行く手や会社の命運を大きく左右することは、誰もが知っているにもかかわらず。
 また、私たちは幼い頃から、「質問の聞いていることに答えなさい」という意識を植えつけられていることも原因だろう。でも大人になった今、冷静に考えてみるとよく分かる。コミュニケーションの途轍もない潜在力を考えれば、質問が求めている以上のさまざまな価値を伝え合えない答え方は、仕事や人間関係やあなた自身にとって大きな損失になると同感していただけるはずだ。

 では、「質問をリープする答え方」の分かりやすい例を挙げよう。
 あなたは仕事の合間に小腹が減ったので、会社近くのカフェへ行き、好物のシナモンレーズンベーグルを注文した。
 「シナモンレーズンベーグルとクリームチーズ、あとコーヒーをいただけますか?」

 この注文を聞いたスタッフがコミュニケーション能力に長けた有能な人物ならば、
「すみません、シナモンレーズンベーグルは売り切れです」
 と、質問の枠に留まったまま答えることはけっしてしない。なぜなら、質問をリープしてこそ、お互いの目的を達成でき、自分も相手も満足することを知っているからだ。

 だから、例えば次のように答えるだろう。
 「たった今、最後のシナモンレーズンベーグルが売れてしまって。ブルーべリーならば焼きたてです」

 最初の答え方といったいどこが違うのか?
 ひと言で言えば、質問以上のことを答えている点だ。でも、ただ漠然と質問を跳び出して答えたわけではない。あなたの目的(空腹をおいしいもので満たしたい)と自分の目的(ベーグルを売りたい、顧客に喜んでもらいたい)のための価値ある情報――焼きたてのブルーベリーベーグルという代替案――を提示し、建設的にお互いの目的を実現しようとしているのだ。
 また、「たった今、最後のシナモンレーズンベーグルが売れてしまって」という冒頭部分も、再びこの店を訪れる可能性のあるあなたにとっては、「この時間帯は売れ切れの可能性がある」という役に立つ情報だろう。他方、このスタッフの目的からしても、あなたとの会話が聞こえている周りの客に、「うちの店のベーグルはとびきりおいしくて超人気なんです」と宣伝しているのとほぼ同じことになり、価値が高い。
 このように単純な会話で、かつ非常に短い答えにもかかわらず、「質問をリープした答え」はお互いの目的にとってこれほどまでのメリットを生み出すことができるのである。他方、最初に挙げた軽いお詫びと質問の求めるままの答えは、お互いの目的を遂げるために何の働きもしていない点を実感していただきたい。

 この例に限らず、どんな質問に対してもリープする戦術を使うと、その追加した価値のおかげで、あなたが答えるたびにコミュニケーションがあなたと相手の目的へ向かって常に建設的になる。
 そればかりではない。建設的なコミュニケーションの下では当然ながら、人と状況をより効率的に深く理解し合えるようになる。すると良いチームワークが作られ、生産性が上がり、プロジェクトはより順調に進んでいく。対外的にも良好な人間関係が広がり、信頼が集まってくるだろう。

 さらに、相手に「価値を提供する」ということは、たとえ自分で意識しなかったとしても、自分自身の優れた知識や能力や人格を相手に伝えるという付加価値を生んでいく。このことは、先の例で、「あなたがどんな気持ちでカフェを後にするか」を考えてみるとよく理解できるはずだ。
 あなたは、オーブンから出てきたばかりのまだ温かいベーグルのおかげで、満足感でいっぱいに違いない。そして、あなたの第一希望の商品を提供できないことを残念に思い、それに相当する代替案を示し、あなたの目的(もしかするとそれ以上)をかなえてくれたスタッフの機転に感謝するだろう。要するに、このスタッフの「リープした答え」は付加的に、自身の能力をあなたに伝え、印象づけるという役割までも果たしたのである。
 質問をリープして答えると、会話や会議やプロジェクトを目的に向かって合理的に進めることができる上にこの付加価値がつくので、相手から一目置かれたり、力強いリーダーシップを取ったり、時にはカリスマ性に輝いていたりする自分に気づかされるのも時間の問題だろう。

 面接やプレゼンや会議での質問で盲点をつかれたときにも有意義だ。リープする方法を知っていると、コミュニケーションにおける自分と相手の目的を見失うことがないので、そのための適切な価値を入れ、相手の興味を引き付けながら悠々と答えることができるからだ。
 結果的に、あなたにとって恐れる質問はこの世に存在しなくなる。それどころか、自分と相手の目的達成へと向かって建設的な答えを出すチャンスをくれる質問が好きでたまらなくなってしまうというわけだ。

 さらに良いニュースがある。この戦術は、人間のコミュニケーションの根本原理に基づいているため、世界のどこにいても、どんな言語で話そうとも通用するオールマイティーなものだ。だから、英語や中国語などを話すときだって、その効力は少しも衰えない。いや、むしろ輝きを放ってしまうだろう。というのも、欧米人や中国人は一般的に日本人よりもおしゃべりだから、日本人はちょっと余計に話すことをこころがけてこそ、ちょうどいいからだ。

 人工知能が20年以内に日本で約49%、アメリカで約45%、英国で約35%の労働人口を代替する可能性を推定した近年の研究は衝撃だった。グーグル社をはじめ名立たる世界の優良企業が巨大投資をしている領域における進化は、さすがに否応なく待ったなしだ。
 だが、ロボットは「囲碁や将棋を打つ」といった複雑な数理的タスクには優れている一方で、決定的な弱点を持っている。それはコミュニケーション能力であり、ロボットは求められた情報を提供できても、質問者や文脈やお互いの目的に敏感に対応した質問以上の答えを出すことはできない。
 なぜならば、創造力とフレキシブルな思考が求められるから。この2つはまさに人間の英知であり、ロボットに複製するハードルはとんでもなく高い。つまり、質問をリープして答えることはまぎれもなく、人工知能にけっして脅かされない卓越した能力を発揮していることになる。
 そう、今、そして来たるべき未来は、質問をリープする「答え方」――答えに価値をインプットして相手と分かち合いながら、同時に自分の知識や能力や人格もアウトプットしていく――が、あなたの目覚ましい活躍、そして人類の繁栄にとって、どう考えても不可欠となる時代なのだ。

 さて、一生涯を通して、質問に答えるチャンスって何回あるだろう?
 「いい答え方」によって手に入る大小の成功を累積的に無限大に育てていくために、このコミュニケーション戦術とその実践方法について詳しく見ていくことにしよう。

目次

イントロダクション――ウィリアム・A・ヴァンス


第1 章 あなたを最高の コミュニケーターにするのは「答え方」である

 1 世の中に蔓延しているコミュニケーションの3つの誤解
 2 刑事でなければ「質問力」を磨く必要はない
    ソクラテスの「質問力」レベル
    ドラッカーも「質問はすごい!」と言うけれど
    同じ質問をしても、ノーベル賞を受賞するのはたった一人
    質問の効果は100%相手の答え次第
    「答えよりも質問で人を判断すべきである」は本当か 3
 3 「短くまとめること」は、実は非効率である
    あの有名なトヨタ流についての勘違い
    話すコミュニケーションの難易度は、桁違いに高い
 4 質問を“超えた”答えが人を動かす
    大人なら破るべき伝統的なコミュニケーションの掟
    超外向的な性格でも日本人がおとなしい印象を与える理由

第2章 「質問をリープする」が最強の答え方である

 1 「質問をリープした答え」が、あなたの願いをもっとかなえる
    日本人がハーバード大学20人の教授を印象づけるための極意
    成功者との切っても切れない関係
    失敗に終わっても称賛の嵐はやまない
 2 どんな場面でもあなたの答えが予想以上の利益を生む
    日常会話を不毛にしないための習慣
    答えの価値で、質問の可能性を開く
    あなたの答えが理想的なシナリオを作っていく
  [コラム1] ブッダが起こした「答え方」の奇跡

第3 章 「答え方」の基本7原則――「質問をリープする」ための条件

 原則1 質問者が求める完全な情報を提供する
 原則2  簡潔さとは「長さ」ではなく「程度」の問題である
 原則3  「答え方」がすべての透明性の始まりである
 原則4  エビデンスを日常化する
    4分の3以上の人々の信頼を得る
    犬も食わない夫婦喧嘩も円満解決
 原則5 強弱の関連性を操作して答える
    ハズれた答えこそ、着火しやすい発火点だ
    イノベーションは「答え方」から生まれる
 原則6 「曖昧さ」は戦術の一部としてのみ使う
    ビジネスに蔓延する2つ以上の意味に取れる曖昧さ
    1秒間のこと? それとも数億万年間のこと?
  [コラム2] 「難しい」はギリギリまで禁句である
 原則7 最適な答えの構成を画策する
    異なる構成法で答えの価値をハイライトする
    ベストマッチな構成選びを習慣にする

第4 章 どんな場面でも自由自在に自分の意見を述べるには?(第1のリープ)

 1 「スプリングボード」を使ってどんな質問にも悠々と答える
    人生を左右する絶体絶命の場面での救世主
    質問に忠実過ぎる答えから跳躍する
 2 スプリングボードの技術
    キーワードテクニック
    リダイレクティングテクニック
    スプリングボードを使って起死回生した例
 3 明確なゴールを定め、フレキシブルに跳ぶ
    交渉の達人ヘンリー・キッシンジャーは「リープ」の名手だった5
    スプリングボードの感覚をつかむ
    留意点とまとめ

第5 章 相手と効率的に、より深く理解し合うには?(第2のリープ)

 1 「ワンス・アポン・ア・タイム」と決別する
    集中力が続かない人間の思考モード
    ビジネスでは何をどう変えるべきか
    これが時代錯誤的メッセージの伝え方だ
    現代的思考モードに合わせると聞き手の持久力はアップする
 2 IT時代に聞き手の関心を鷲づかみする答え方とは? 
    質問者の心にあるリアルな質問にフォーカスする
    相手の関心事が不明な場合
 3 さまざまなシーンで真価を発揮する
    「質問を相手本位にリープした答え」
    コミュニケーションを日常的に効率化する技術
    上司や部下、顧客の集中力をマックスにする
    20世紀型スタイルから卒業する快楽

第6 章 あなた自身をさりげなく売り込むには?(第3のリープ)

 1 典型的な質問だからこそ、世界ビジョンを描く
    典型的な質問への答えこそ、あなたの夢をかなえる土台となる
    アップル社で社員が避け続けていた質問
    「3人の石工」は、いかに自分の能力を伝えるかのお話
 2 典型的な質問に答えるときの4つのポイント
    ポイント❶ 巨視的な全体図とそのエンド目的(究極目的)から見晴らして答える
    ポイント❷ 状況に応じて、部分画像にズームインする
  [コラム3] ミス・ユニバース優勝者の答え方
    ポイント❸ たった15分の練習でカリスマ性は作り出せる
    ポイント❹ 専門用語や難度が高い単語はオン・オフする
 3 実際に「典型的な質問」に答えてみよう
    4つのポイントをあてはめる
    クイズ
  [コラム4] 面接官の感動が止まらない「第3のリープ

第7 章 情報の本質を人と分かち合うには?(第4のリープ)

 1 コミュニケーション能力は今や義務である
 2 なぜ情報は空洞化するのか?
    マルチタスキングと記憶
    加速度的に情報にムラをつくるメールの罪
    ビジネス効率は「阿吽の呼吸」で半減する
 3 情報の空洞を埋めるゴールデンルール
    不可欠な情報は絶対に落とさず伝える
    6つの要素で360度的視野を手に入れる
    高度に専門・分業化が進んだ今こそPISTOLの出番だ
    医師と患者の会話をストレスフリーに
  [コラム5] デルフィの神託から学べ

第8 章 あなたへの信頼を不動のものにするには?(第5のリープ)

 1 あなたの答えは、質問者が求める答えとは相当ズレているかもしれない
    欲しいのは問題解決方法
    プロセスやマニュアルやポリシーから脱線する勇気
    世界中の人々が求めてやまない答えの共通点とは?
 2 答えは、問題解決に向けた熱い意思で突き抜ける
    IT時代のダメな答えとは?
    ワースト3の答えを修正する
 3 あなたの評判を押し上げる答え――3つの裏技
    チームメイトになれば幸せに問題解決ができる
    あなたの予知能力に誰もが感謝感激する
    ポジティブ&スーパーポジティブな単語を使いこなす
    マニュアルで拒絶した答えがここまで変わる
    「質問」と「答え」のパワーゲームの結末

エピローグ――神田房枝

参考文献



略歴

ウィリアム・A・ヴァンス William A. Vance
言語学者/認知科学者。米国イェール大学にてビジネススクールや世界のエリートが集うワールドフェロープログラムで教鞭を執る他、フォーチュン500社、研究機関、国際機関のクライアントに成功に導くビジネスコミュニケーションを指導している。シカゴ大学卒業後、イェール大学大学院にて言語学博士号取得。イェール大学ビジネススクールコミュニケーションセンターの設立者であり、元ディレクター。東アジアの人々のコミュニケーション研究開発に情熱を持ち、日本でも、ファイザー、マッキンゼー・アンド・カンパニー、新日鉄住金、国立病院機構熊本医療センター、慶応義塾大学などでグローバルに活躍するためのコミュニケーション戦術をコーチし、その科学的アプローチと高い効果で人気を博している。
日本での著書に『ドクター・ヴァンスの英語で考えるスピーキング──すらすら話すための7つの思考法』『ドクター・ヴァンスのビジネス・プロフェッショナルが使うパワー英単語100』(共にダイヤモンド社)、『日本人の知らないワンランク上のビジネス英語術──エール大学厳選30講』(CCCメディアハウス)などがある。
www.dr-vance.com

神田房枝 かんだ・ふさえ
コミュニケーションコンサルタント、(株)エグゼクティブボイスジャパン東アジア開発ディレクター。日本航空国際線客室乗務員として世界中を旅し、日本国政府専用機にも乗務する。退職後、イェール大学大学院にて東アジア学修士号、博士号を取得。その後、ハーバード大学ポストドクトラルフェロー、ボストン美術館勤務を経て現職。日米での就業、プレゼン、交渉、インタビュー経験を生かしてコミュニケーショントレーニングとアセスメントを法人に提供している。ハルピン工業大学への留学経験もあり、中国語も堪能。
訳書に『その仕事は利益につながっていますか?── 経営数字の「見える化」が社員を変える』『ドクター・ヴァンスの英語で考えるスピーキング──すらすら話すための7つの思考法』(共にダイヤモンド社)など多数。
www.fusaekanda.com
●装丁・本文デザイン/ 轡田昭彦+坪井朋子
●校正/円水社