何があっても打たれ強い自分をつくる 逆境力の秘密50

逆境力の秘密50
ジョン・リーズ 著

関根光宏 訳

  • 書籍:定価1650円(本体1,500円)
  • 電子書籍:定価1320円(本体1,200円)
  • 四六判・並製/272ページ
  • ISBN978-4-484-16112-9
  • 2016.10.14発行

困難な状況を上手に切り抜けるだけでなく、力強く成長する力を「レジリエンス」という。このレジリエンスは、習得し、開発し、強化することができる。仕事だけでなく、健康で幸せな生活のために必要な力を手に入れよう。

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内容

「人生は後ろ向きにしか理解できないが、前向きにしか生きられない」
――キルケゴール

困難な状況にあっても、上手に切り抜ける人とそうでない人がいる。
そして、切り抜けるだけでなく、力強く成長していく人だっている。
この力をレジリエンスと呼ぶ。

レジリエンスは、生まれ持った気質ではなく、習得し、開発し、強化することができる。

この力は、仕事だけでなく、健康で幸せな生活のためにも必要である。
本書でぜひ手に入れてほしい。

はじめに(抜粋)

何らかの力を外界から受けた場合、それにどう反応するかは人によってさまざまだ。誰かから軽くひじ鉄をくらっただけで自尊心が傷つき、仕事の成績が一気に低下してしまう人もいれば、数々の嵐に遭遇しても相変わらず有能ぶりを発揮し、健康で幸福な生活を満喫している人もいる。大きな重圧がのしかかったとき、ある人は挫折し、ある人はうまく対処し、ある人は上手に切り抜けるだけでなく力強く成長する。これがレジリエンスだ。

レジリエンスの原動力は何か、レジリエンスが欠けている人がいるのはなぜか、レジリエンスは強化できるのか。私たちはそれを知りたい。
「レジリエンス」とは、もともとは物質の性質をあらわす物理学の用語だ。物質に力を加えて曲げたり、圧力や負荷をかけたりしたとき、その物質が元の形に戻る速度を左右する力、すなわち「外力によるゆがみを跳ね返す力」がレジリエンスである。レジリエンスという性質によって、物質の弾性や応ストレス力に対する反応が決まる。この定義を覚えておくと役に立つ。というのも、人におけるレジリエンスについて考えるとき、私たちはいつもストレスをネガティブにとらえてしまうからだ。だが、物理学の世界でのストレスは、ばねやカンチレバー構造﹇一端を固定し、他端を自由にした梁構造﹈の橋などに有用な力である。
同じように、人も外部からのストレスによって生産性の向上を経験することがある。締め切りの圧力などがその好例だ。

アンドリュー・ゾッリとアン・マリー・ヒーリーは、共著書『レジリエンス 復活力――あらゆるシステムの破綻と回復を分けるものは何か』(ダイヤモンド社)のなかで、レジリエンスについて、「劇的に変化する状況に直面しても、システム、企業、または人が、その目的の主眼を見失うことなく本来の姿を保つ能力」という包括的な定義を提唱している。この「目的の主眼を見失うことなく本来の姿を保つ」という部分から、レジリエンスとは、物事を切り抜けてうまく対処する能力以上の何かであることがわかる。より健全な平衡状態に到達すべく成長する能力とでも言えるだろうか。
人におけるレジリエンスとは、立ち直る能力を意味する。ビジネスで言うなら、危機的な局面に陥ったのち、通常業務を再開する能力ということになる。短期間の事柄に用いられることもある。失望したり自分を否定されたりしたあとに「魔力」が復活する、というような場合だ。このほか、より深いレベルで自尊心と目的意識を取り戻すことを意味する場合もある。要するに、健康で幸福な生活とその持続を脅かすあらゆる出来事――人生の道のりの紆余曲折に対応する能力がレジリエンスだ。こうした出来事には、確実に起こるとは限らないこと(失業による仕事や地位の喪失など)もあれば、絶対に避けて通れないこと(加齢、健康状態の悪化、死別)もある。

レジリエンスはタフな精神とは違うが、両者には密接な関係がある。タフな精神とは、決断力や意志の強さのような性格をも包括する概念であり、ときに他者の目を通して物事を見ようとしないことをも意味する。だがレジリエンスは、おとなしい人にも押しの強い人にも同じように備わるものだ。

(以下つづく……)

もくじ

はじめに
1 レジリエンスのレベルをチェックする
2 失敗を糧に前進し、後退しない
3 うまくいっていることに目を向ける
4 事実に意識を集中する
5 見方の枠組みを変える
6 被害者モードから抜け出す
7 過去に立ち直った経験から学ぶ
8 自分を責めるのは慎重に
9 〝午前2時〞の声に耳を傾けない
10 心配するのをやめる
11 目標設定の方法を考え直す
12 よりよい決断の仕方
13 より効率的に問題を解決する
14 重要度を見極める
15 自分の学習曲線を理解する
16 周囲の人から学ぶ
17 周囲の人からのシグナルを読み取る
18 もう少しだけ自分を信じる
19 インポスター症候群に対処する
20 少しだけ、できるふりをする
21 どう考えるかだけではなく、どう感じるかも話す
22 プレッシャーを感じたときの行動を変える
23 必要であれば対立も辞さない
24 難しい関係にうまく対処する
25 手助けを求めるすべを身につける
26 率直なフィードバックをもらう
27 他人の目から見た自分を知り、評判をつくる
28 社内政治に強くなる
29 「ノー」と言う技術
30 立ち止まる
31 落ち着ける場所を見つける
32 自分の感情の揺らぎに気づく
33 自分を乗り越える
34 感謝の気持ちを伝える
35 息抜きをする
36 上手に自己管理する
37 ストレスに対する意識を変える
38 適切な支持者を見つける
39 他の人を助ける

40 人を効果的に読み解く
41 自分に合ったやり方を見つける
42 破滅的な考え方に気をつける
43 重要なことに時間をかける
44 自分の価値を思い出す
45 人生のバランスをとる
46 変化に正面から向き合う
47 楽観主義を身につける
48 たくましくなる
49 自分で舵をとる
50 跳ね返り、元に戻る

略歴

【著者】
ジョン・リーズ(John Lees)
キャリア・ストラテジスト。ケンブリッジ大学、ロンドン大学、リヴァプール大学卒。『How to Get a Job You Love(好きな仕事を見つける方法)』など、職業選択や職業能力開発についての著作が多数ある。イギリス国内の主要新聞・雑誌に寄稿するほか、海外にも活動の場を広げている。英国国教会の司祭でもある。
【訳者】
関根光宏(せきね・みつひろ)
翻訳家。訳書に『世界しあわせ紀行』(早川書房)、『「成功」のルール 今日から人生を変える10の教え』、『「奇跡」のレッスン 今日から理想の自分になる4つの法則』(いずれも実業之日本社)などがある。
カバーデザイン/渡邊民人(タイプフェイス)
本文デザイン/相京厚史(next door design)
校閲/円水社

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