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色の力 消費行動から性的欲求まで、人を動かす色の使い方

色の力
ジャン=ガブリエル・コース 著
吉田良子 訳
  • 書籍:¥1,600(税別)
  • 電子書籍:¥1,280(税別)
  • 四六判・並製/256ページ
  • ISBN978-4-484-16105-1
  • 2016.5発行
赤を数秒間見ると人は臆病になる? 白いオフィスは生産性が低下する?
心理学・リラクゼーション・学習・記憶・創造・装飾・マーケティング・モード・性的欲求……あらゆる分野に影響を及ぼす「色の力」とは?

書籍

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電子書籍

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内容

色は、気づかぬうちに私たちの気分や行動に強い影響を与えています。

・緑色のジュースは酸味が強く感じられる
・刑務所の独房をピンク色に塗ると収監者が暴れなくなる
・サッカーの試合では黒いユニフォームを着ると反則をとられやすい
・ウェイトレスが赤い服を着ると、受け取るチップは二倍の額になる
・同種の製品の二者択一の場合、3人に2人は色で選ぶ
・・・・・

本書では、カラーデザイナーである著者が、豊富な実例をもとに色の持つ不思議な力を解き明かします。挙げられた事例は、環境・気分・健康・食品・欲求・運動能力・創造力・集中力、とさまざまな分野にわたり、しかもそのすべてが学術的に裏付けされたもの。

よく眠れる寝室、子どもが元気になる学校、モチベーションの上がる職場、売れ筋の商品パッケージ……
ビジネスでも、プライベートでも、「色」を使ってパフォーマンスを高めるヒントが満載です。




はじめに

 あなたがアメリカの大学に通っている学生だと想像してもらいたい。これから、いわゆる「知能テスト」を受けるところだ。解答用紙には、赤いマーカーで大きく受験番号が書かれている。あなたの番号は八七番だ。
 気分が高まり、少々緊張しながらも、あなたは、意欲十分でテストに臨もうとしている。開始の合図がなされた。制限時間は二〇分! あなたは全神経を集中させる。与えられた時間が過ぎるまで、テスト以外のすべてを忘れ去る。一問でも多く解答するには、一秒一秒が貴重であるとわかっているからだ。そしてテスト終了。解答用紙を提出するあなたは、満足感に包まれている。すべての設問に解答することができたのだ。やったぞ!
 さて、今度は、同じ大学に通う別の学生になってもらいたい。あなたの解答用紙には、赤ではなく黒いマーカーで受験番号が書かれている。だが、そもそもあなたは受験番号など見てもいない。ほかのことを考えている。このテストは大学の単位には関係しないのだから、プレッシャーなど感じない。むしろゲームをする感覚だ。というのも、母親が言うほど自分の知能指数が高いのかどうか、このテストでわかると思うと、なんとなく楽しみに思われてくるからだ。そして開始の合図があった。設問1を読む。答えは明らかだ。なんだ、ほかの問題もこのレベルならば、ママが満足する結果になるだろう! 設問2はさらに易しく思われた。やはりママの言うとおりだったんだ……。次の問題にとりかかりながら、あなたはついついほくそえむ……。そこでテストが終了した。解答用紙が集められる。もう終わりなのか? 問題はまだ残っているのに。がっかりだ。結果がよくなかったら、ママには内緒にしておこう……。
 この調査は二〇〇七年にニューヨーク近くのロチェスター大学で行なわれた。目的は、知能テストに及ぼす赤の影響力を調べることである。赤を受験番号に用いたのは、調査の意図を受験者に気づかれないようにするためだ。研究者たちの関心は、数字につけた色が結果に影響を与えるかどうかに注がれていた。その結果、赤で受験番号が書かれていた受験者は、多くの設問に答えたものの、間違いも多く、成績は平均を下回った。ここから、以下の結論が導かれた。赤はストレスを生みだし、それによって、気づかぬうちに論理的な思考を阻害する。その影響が、知能テストにおける大量の失点という数字に表われたのだ、と[エリオット、メイヤー、モーラーほか、二〇〇七年/S・リヒテンフェルド、M・メイヤー、J・エリオット、R・ペクラン、二〇〇八年]。
 本書では、色の与える心理的かつ生理的影響に関する最近の研究を紹介しようと思う。読んでいただければおわかりになるだろうが、こうした研究の結果は、一般にはあまり知られていないが、実に目覚ましいものである。色は、さまざまなものに影響を及ぼす。我々の行動・自信・機嫌・集中力・欲求・スポーツ記録・体力……。そう、体力でさえも色の影響を受けるのだ!
 同様に、色がさまざまな分野で、どれだけ我々の行動を変えるかについても、おわかりいただけるだろう。現実的な見地から述べると、これら科学的研究の結果から、求められる目的│服の色、室内装飾の色、オフィスの色、売り場の色、大量消費の製品等々――に応じて、各人がよりふさわしい色を選ぶことが可能になるだろう。

目次

序文  オリヴィエ・ギィユマン
    (フランス流行色委員会委員長・国際流行色委員会委員長)

母音――アルチュール・ランボー

はじめに

第1章 色を理解する

 色の認識
 色の温度 
 色は何色あるのか?
 動植物の色覚
 共感覚
 色の再現 
 視覚の錯覚

第2章 色の与える影響

 危険と身体的優位性を表わす色
 リラックスさせる色・創造力を高める色
 学習意欲と生産性を高める色
 納得させる色
 セクシャルな色
 色とスポーツ
 色と味覚 
 色と嗅覚
 商品もしくはパッケージの色
 洗濯物が最も白くなる色
 色と薬理学
 色と購入の動機づけ
 色とネットショッピング
 好きな色はよい効果を与えてくれる
 色の選択
 光とは何か?
 色彩療法

第3章 色を選ぶ 

 色の象徴するもの
 風水の恵み
 装飾の色は大胆に選ぼう
 色と流行のファッション
 それぞれの色の特性
    青/赤/ピンク/緑/黒/灰色/白/紫/ターコイズ(青緑色)/
    黄色/オレンジ/茶・栗色・ベージュ

結び

付録 世界の色が象徴するもの

謝辞

出典・典拠資料

訳者あとがき

略歴

[著者]
ジャン=ガブリエル・コース Jean-Gabriel CAUSSE
1969年フランス南部の都市ロデズ生まれ。エコール・シュペリュール・ド・ピュブリシテで広告、コミュニケーション、マーケティングを学ぶ。卒業後、大手広告代理店で広告クリエーターとして活躍。有名ブランドのテレビCMや、雑誌の表紙・ポスターを数多く手がけ、最優秀賞を含め広告大賞を何度も受賞する。2007年、カラーコンセプトを提唱するブルーブレッツェル社を設立。2009年から日本のオンワード樫山のクリエイティブ・ディレクターとして、新しい価値やライフスタイルの創造を提案している。また、日本のファッションメーカー十数社による東日本大震災の復興キャンペーンにも参加。2014年に刊行された本書は、色の力を語った1冊として大きな評判を呼ぶ。

[訳者]
吉田良子 よしだ・よしこ
1959年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。仏文翻訳家。主な訳書に、J=P・ドレージュ『シルクロード』(創元社)、パスカル・フォントノー『災いの天使』、ジスラン・タシュロー『悪党どもはぶち殺せ』(共に扶桑社)、フランソワ=オリヴィエ・ルソー『年下のひと』(角川書店)、シャン・サ『女帝 わが名は則天武后』(草思社)、アレクサンドル・デュマ『ボルジア家風雲録』(イースト・プレス)ほか多数。
●装丁/松田行正
●編集協力/片桐克博(編集室カナール)