企画はひっくり返すだけ! 「離婚式」「涙活」を成功させたぼくのアイデア術
離婚式、涙活、笑顔葬などを発案したアイデアパーソンがはじめて明かす、誰でも世界をあっと驚かせるブームを生みだす“テクニック”。今までに無い新しい企画を多数手がけている著者が、はじめて明かす企画術!! 発想から企画 ・ 行動 ・ 宣伝 ・ マネタイズの方法まで「ひっくり返す!」テクニックを軸に、たった一人でいかに、企画を実現し、メディアに注目され、仕事として成り立たせるかを語ります。
- 書籍:定価1650円(本体1,500円)
- 電子書籍:定価1320円(本体1,200円)
- 2015.12.17発行
内容
「ひっくり返し」テクでアイデアを生み、
「後付けテク」が企画を成長させ、
「一人電通」でメディアを動かし、
基本的に「無料」で収益を生む。
涙活プロデューサー、離婚式プランナー、試し書きコレクターとして、国内外のメディアに注目されるブームを生み出した著者が、
アイデアを趣味で終わらせず、成功に導く秘訣をすべて語ります。
はじめに
オリジナルな発想なんかいらない!
「離婚式プランナー」
「涙活プロデューサー」
「試し書きコレクター」
すべて、私の現在の肩書きです。
肩書きといっても、ちょっと珍しいものばかりで、読者のみなさんの中には「それ何?」と思う方もいらっしゃるでしょう。いずれも世界で初めて私が手がけた仕事なので無理もありません。一言ご説明しますと……、
結婚式の反対の「離婚式」のプランニングを行うのが「離婚式プランナー」、「積極的に涙を流す活動=涙活」のプロデュースを行うのが「涙活プロデューサー」、文具店にある「試し書き」を収集し、その展示会を行うのが「試し書きコレクター」です。
そして、あと数ヵ月たつと、ここに「笑顔葬コーディネーター」という肩書きも加わります。これは、「亡くなった方を笑顔で明るく見送るお葬式=笑顔葬(別名:騒式)」をプランニングする仕事です。
おかげさまで、「離婚式」「涙活」「試し書きイベント」は、順調に認知度が高まり、どんどん広まって、依頼も増え続けています。
離婚式は、これまでに300組を超えるご夫婦の挙式をプランニングさせていただきました。涙活は、月に1、2回、さまざまな場所でイベントを行い、映画や楽曲など、泣けるコンテンツとのコラボ企画も次々に行って大好評です。
ちなみに、離婚式と涙活は、過去、『現代用語の基礎知識』(自由国民社)にも掲載されました。
試し書きは、試し書きの収集ツアーや国内外での試し書き博覧会を各地で行い、これにも多くの方が足を運んでくださっています。笑顔葬は、これから本格始動ですが、前評判は上々で、すでにオファーも入り始めています。 どの活動も、ありがたいことに、数多くのメディアに取り上げていただき、今も取材依頼が途切れず続いています。
涙活や離婚式は、ロイター通信、CNN、アルジャジーラ、ニューヨーク・タイムズ・マガジンなどの海外メディアでも何度か取り上げられています。どれも世界で初めて、まっさらな状態からスタートさせたわりには、自分でも驚くほどトントン拍子に進んできました。
この成功を引き寄せた大きな要因が、各企画のオリジナリティにあることは間違いありません。何しろすべて世界で初めての企画ですから、お客さまやメディアの心をグッとつかむ話題性は十分です。というより、今の時代、オリジナリティに乏しい企画では、話題にすらならないでしょう。
というと、まるで私がオリジナル企画を生み出す才能に恵まれているように思われるかもしれませんが、残念ながら違います。じつは、私はこれらの企画をまったくの「ゼロ」から作り出したわけではありません。誰でも、今本書をお読みくださっているあなたにも、今日から簡単に使えるテクニックを使って生み出したのです。
それは、既存の価値観を「ひっくり返す!」というテクニックです。
くわしくは本文に譲りますが、もともと離婚式のプランニングを始めたきっかけは、「世の中に結婚式があって離婚式がないのはなぜだろう」という素朴な疑問を感じたことでした。
「結婚はおめでたいから式をする、離婚はおめでたくないから式をしない」それはちょっとおかしいのでは? おめでたくなくても葬儀は行うではないか。離婚のときこそ式をして、親族や知人にきちんと挨拶し、お互い晴れ晴れと新しい道を歩み始めたらいいのではないだろうか。
「ようし、この価値観をひっくり返してやれ!」
と思ったところから、離婚式というアイデアがとび出したのです。同じように、「笑ってポジティブでいるのが○、泣くのは×」という価値観をひっくり返して「涙活」が「試し書きはペンの書き味を試したあと捨てるもの」という価値観をひっくり返して「試し書きコレクション」が、「お葬式は泣きながら静かにするもの」という価値観をひっ
くり返して「笑顔葬」が生まれました。
まったくのゼロから作り出したわけではなく、今あるものをひっくり返しただけなのに、あら不思議!ひっくり返すだけで唯一無二のオリジナルコンテンツができてしまうのです。
オリジナルの発想がなくても、この「ひっくり返す」テクニックがあれば、簡単に面白いアイデアや珍しいアイデアが生み出せます。数年間「アイデア」で食べていく生活を続けることで、やっと「アイデアを生み出す」ということを自分なりに理論化できるようになりました。アイデアを生み出す行為を繰り返す中で、自分の行動にある種の規則性があることがわかってきたのです。
本書では、アイデアをブームに育てるまでの方法を、「ひっくり返す」テクニックを軸に、「発想」「企画」「行動力」「広報(宣伝)」「マネタイズ」の5つのステップに分けて、豊富な実例を盛り込みながら解説しました。
アイデアを活かして起業しようと思っている人にはもちろん、社内でいろいろなアイデアを求められているときにも、きっとお役立ていただけるでしょう。
「オリジナリティの高いアイデアを出したい! 出さなければ!」と、うんうん苦しんでいらっしゃる方は多いと思います。そんなときこそ、ひっくり返すテクニックはぴったり。ぜひ本書を参考に、どんどん既存のものを「ひっくり返して」みてください。
世界には、ひっくり返すだけで「宝物」になるアイデアの種が満ちあふれています。本書が、それを見つけるガイドブックになることを願っています!
寺井広樹
目次
はじめに オリジナルな発想なんかいらない!
1章 ひっくり返すだけでできる
「アイデア発想法」
「離婚式」のアイデアがこの世に生まれるまで
離婚式の用語も「ひっくり返しテク」で
離婚式からできた造語「各停女子・特急女子・回送女子」
「旧郎の涙」から派生して生まれた「涙活」
志茂田景樹先生とのコラボで「天国ポスト」も
「葬式=静かに泣きながら」を逆にした「笑顔葬」
「ひっくり返しテク」を使い倒す3つのコツ
アマノジャクや「ぼっち」ほどアイデアパーソン
「ぼっち」の私が「プランナー」になったワケ
サラリーマン生活も基盤になった「ひっくり返しテク」
仕事は楽しかったが、あえてサラリーマン生活と訣別
「誤変換」を楽しみ、情報を遮断する生き方のススメ
現在までの活動
2章 アイデアを使える企画に
仕上げる「後付けテクニック」
後付け・肉付けがアイデアを「企画」に成長させる
意味は後付けでも、欠かせないのが「社会性」
「涙の力」を使って、干ばつ地域の給水事業に寄付
珍しさ&インパクトより、わかりやすさ&社会性
「不謹慎」にフタをする「大義名分力」
「面白い」と「不謹慎」、反応が半々ならやる価値あり
「深読みされる技術」を身につけよう
他人が追いつけないところまで「深掘り」する
3章 やらずに後悔するより
やって後悔する「行動力」
アイデアは形になるまで価値はゼロ
アイデアが浮かんだときは三段構えでGO!
「発案者」としてその道の第一人者になる
人の噂も十五日。恐れずに動こう
アイデアと自分とを切り離し、ドライにつき合おう
頼りない「人たらし」リーダーになろう
お金以外のものでつながる――寺井流・人脈作り
〝自分ごと化〞してもらい、プロジェクトごと手渡す
4章 メディアを動かし注目される
「一人電通」のススメ
101通の手紙から始まった「一人電通」
マスコミ関係者との名刺交換は1万人との名刺交換と同じ
メディアに注目されるための3つのセオリー
3秒で人に説明できるものを目指す
感謝を伝えたい相手に飴を贈る「ありがとう記念日」制定
人と同じ向きに100キロ走るより、逆向きに5キロ走る
じつは「うさんくささ」も魅力
勢いのある企画は一人歩きし始める
LINEスタンプ「音沙汰なし子さん」
5章 趣味で終わらせないための
「マネタイズ理論」
基本的に「無料」で開放する
二回目まではボランティアでいい
雪だるま式コラボを目指す
お金の流れも「ひっくり返す」
試し書き×ミュージシャンのコラボも
「試し書きコレクター」と「離婚式プランナー」の違い
おわりに アイデアの道は誰の前にも開かれています
寺井広樹・おもな活動の記録
略歴
[ 著者 ]
寺井広樹(てらい・ひろき)
株式会社たきびファクトリー代表。涙活プロデューサー、離婚式プランナー、試し書きコレクター。1980年、神戸市生まれ。同志社大学経済学部卒。「離婚式」を発案し、300組以上の挙式に携わる。KBS京都ラジオ「離婚さん、いらっしゃい。」ではパーソナリティを務めた。2013年1月から「涙活」をスタート。「タカトシの涙が止まらナイト」(テレビ東京)には企画段階から協力。世界106カ国、約2万枚を蒐集する「試し書きコレクター」でもあり、CNN、ロイター通信、アルジャジーラなどの海外メディアから注目を集める。『泣く技術』(PHP文庫)、『「試し書き」から見えた世界』(ごま書房新社)、『離婚式へようこそ』(リンダパブリッシャーズ)など著書多数。
スタッフクレジット
●装丁・本文デザイン/ 轡田昭彦+坪井朋子
●編集協力 / 松崎千佐登
●校正 / 円水社