海賊と資本主義 国家の周縁から絶えず世界を刷新してきたものたち

海賊と資本主義
ロドルフ・デュラン /ジャン=フィリップ・ベルニュ 共著

永田千奈 著

谷口功一 著

  • 書籍:定価2200円(本体2,000円)
  • 電子書籍:定価1760円(本体1,600円)
  • 四六判・並製/220ページ
  • ISBN978-4-484-14112-1 C0030
  • 2014.08発行

海賊集団が登場するのは、いつも激動の時代である。国家とせめぎ合いながら、「海賊組織」が資本主義のグレーゾーンから生みだした、ラジオ、電話、インターネット、遺伝子工学、宇宙開発……フランス本国、およびアメリカでも話題の「資本主義論」、日本上陸。

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内容

”海賊集団が登場するのは、いつも激動の時代である。”

国家とせめぎ合いながら、「海賊組織」が資本主義のグレーゾーンから生みだした、ラジオ、電話、インターネット、遺伝子工学、宇宙開発……etc.

海賊集団は領域を規格化しようとする国家権力に対し、真っ向から対抗する価値観を掲げ、資本主義の影響力がもっとも薄い辺鄙な場所、いわばグレーゾーンを狙って出没する。

いつの時代も「海賊」こそが、ラジオ、電話、インターネットの新技術を世に普及させてきた。
実際、あのスティーブ・ジョブズはアップル本社に海賊旗を掲げていた。
国家と海賊組織が繰り広げる、グレーゾーンでの戦い。

「国家は、依然としてしぶとく生き残ってゆくことだろう。そして、海賊的なるものも、絶えることなく、それに対抗して叢生してゆくだろう」<解説:谷口功一>

フランスの新進気鋭若手学者二人による「資本主義論」、日本上陸!

目次

C h a p i t r e 1  はじめに       
 
C h a p i t r e 2  海賊の歴史      
古代の海賊
繰り返される海賊行為
 
C h a p i t r e 3  神話の終わり 反権力としての海賊  
資本主義と脱テリトリー化
国家による統治と資本主義
資本主義と自由主義
)

 
C h a p i t r e 4  一時的な歩み寄り 海賊組織と私掠船   
繰り返される善悪の構図
複数の視点から
形ばかりの許可状 王室の許可と赤き訪問者
海賊と私掠船
 
C h a p i t r e 5  資本主義の極限 スキゾフレニー    
資本主義 器官なき充実身体と国営化
資本主義の外の極限 スキゾフレニー
 
C h a p i t r e 6  資本主義のテリトリー拡大   
リアルな領土 新天地の開拓
バーチャルな世界の海賊 デジタル空間の規格化
目に見えない空間 無限の宇宙の規格化
テリトリーの規格化と海賊組織
 
C h a p i t r e 7  資本主義の必要悪 海賊組織     
海賊組織 資本主義の内なる極限
組織とは何か
海賊組織とは何か
 
C h a p i t r e 8  海賊組織の誕生 リアルな空間   
戦争機械と海賊組織
海賊現象の範囲
現実的な脅威 海賊の主張の正当性
 
C h a p i t r e 9  海賊と経済    
経済的な効率がすべてなのか
バーソロミュー・ロバーツの「海賊の掟」
経済的合理性では説明できないこと
 
C h a p i t r e 10  インターネット版海賊組織の登場 バーチャル空間 
リージョンズ・オブ・ザ・アンダーグラウンドの宣言文
 
C h a p i t r e 11  組織化された利益独占と海賊組織 
インドへの道 商業権と資本主義の誕生
バーチャルエコノミー、サイバーハッカーと二一世紀の資本主義
 
C h a p i t r e 12  海賊組織と所有権の意識 パテント・トロール
産業における権利 排他的専有と公共性
所有権を犯す海賊行為
 
C h a p i t r e 13  組織間の力関係という偶発的要素 
組織の競合と淘汰の仕組み
 
C h a p i t r e 14  規格化への反発 社会運動としての海賊組織
海における海賊の主張
ネットの世界 ハッカーのコミュニティ
規格の統一化
 
C h a p i t r e 15  ミクロの世界の海賊組織 不可視の領域 
バイオ・パイレーツ ヴェンターの場合
人体に対する法的権利
生命科学の発展と資本主義の発展、その先にあるもの
 
C h a p i t r e 16  権力のジレンマ 資本主義国家の行方  
シーランドは海賊国家か
政府と組織、資本主義発展の担い手はどちらになるのか
 
C h a p i t r e 17  おわりに   
資本主義の「組織学」へ
ユートピアの外へ 自立した臨機応変な組織は今を生きる
 
原注        
解説 「国家」学の副読本  谷口功一   
 

略歴

[著者]
ロドルフ・デュラン       Rodolphe Durand
パリ経営大学院で博士号(経営学)取得後、同校教授を経て、Society and Organizations Research Center設立。現在、ニューヨーク大学、ハーバード大学、ケンブリッジ大学などで客員教授をつとめる。学際的なアプローチによる社会や組織の研究で、2005年にアメリカ社会学会R. Scott Awardを受賞するなど研究は高い評価を受けている。
 
ジャン=フィリップ・ベルニュ Jean-Philippe Vergne
パリ経営大学院で博士号(経営学)取得。現在、ウェスタン・オンタリオ大学ビジネススクールで助教をつとめる。2011年、国際武器取引に関する研究でGrigor McClelland博士論文賞を受賞。
 
 [訳者]
永田千奈 China Nagata
1967年東京生まれ。翻訳家。訳書に、ルソー『孤独な散歩者の夢想』(光文社)、モレリ『戦争プロパガンダ10の法則』(草思社)、ルリエーヴル『サガン―疾走する生』、ペパン『考える人とおめでたい人はどちらが幸せか―世の中をより良く生きるための哲学入門』(ともに阪急コミュニケーションズ)ほか多数。
 
 [解説]
谷口功一 Koichi Taniguchi
1973年生まれ。東京大学法学部卒業、同大学院法学政治学研究科博士課程単位取得退学。現在、首都大学東京・法学系准教授。専門は法哲学。著書に『立法学のフロンティア 1』(共著、ナカニシヤ出版)、訳書にシェーン『<起業>という幻想―アメリカン・ドリームの現実』、ドレズナー『ゾンビ襲来―国際政治理論で、その日に備える』(ともに白水社)ほか多数。

●装丁・本文デザイン/平木千草
●校閲/宮中康江
●校正/円水社

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