小さな会社・お店のための 値上げの技術

値上げの技術
辻井啓作 著
  • 書籍:定価1760円(本体1,600円)
  • 電子書籍:定価1408円(本体1,280円)
  • 四六判・並製/224ページ
  • ISBN978-4-484-14205-0 C0034
  • 2014.02発行

[円安や消費増税の対策にも] 1割の値上げができれば営業利益は2倍になる! 値段のしくみを知り、条件を整え、勇気を持って踏み切れば、会社も従業員も、取引先もお客さんも、幸せになれます。値上げは技術。あなたにもできます。

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内容

ピンチの時こそ、値上げをしよう!

・1割の値上げができれば営業利益は2倍になる。
・低価格戦略の5つのリスクとは?
・値段を知っている相手に値上げはできない。
・値段を知られていない商品・サービスはあるか?
・価値を見つける、なければ作り出す。
・価値を増幅して値段がわからない商品にする。

値下げ圧力、過当競争、外部環境の変化……

― それでも ―

値段のしくみを知り、条件を整え、勇気を持って踏み切れば、
会社も従業員も、取引先もお客さんも、幸せになれる!

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モノの値段が下がるデフレが長く続くと、
景気悪化や業績低迷の原因とされ、
商品やサービスの値段が上がるインフレを待ち望む声が増えます。
しかし、現実はそう簡単ではありません。
中小企業や小規模な店は〝脱デフレ〟により
ピンチを迎えかねないからです。
世の中がインフレに転じても、
モノの値段が勝手に値上がりするわけではありません。
それぞれの会社や店が意志を持って値段を上げ、
それをお客さんに受け入れてもらうことが必要になるのです。
この本には、小さな会社や店が取り組める
「値上げの技術」をまとめました。
しっかりと値上げをすることができれば、
世の中のデフレ・インフレに関係なく、
経営者から従業員、仕入先、そしてお客さんまで、
皆が幸せになることができます。

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【2大 特別キャンペーン】
・本書の電子書籍を期間限定価格768円で発売!(2014.3.14~2014.3.31)
・スピンオフ電子書籍『17の値上げの口実』をアマゾンで発売!

※『17の値上げの口実――『値上げの技術』を実践するためのヒント集』
辻井啓作・著

値上げのための“商品の演出”に使える口実と、その考え方、留意点をまとめたオリジナル電子書籍。『小さな会社・お店のための 値上げの技術』を実践する際に役立つ。

価格:250円(予価)
頁数:約60頁(紙の本換算)
発行:有限会社ともえ産業情報

はじめに(抜粋)

私はこれまで、中小企業を中心に多くの会社を見てきました。

その中で、どんな企業の経営者や従業員が幸せなのかを常に考えてきました。

大企業であれば幸せ、そんな時代ではないことは多くの人がご存じだと思います。例えば家電小売業界を見ると、大手家電量販店のコジマがビックカメラと提携して実質的に傘下に入り、ベスト電器がヤマダ電機の出資を受け入れ、やはり傘下に入るという変化が起こっています。

現在、家電小売業でヤマダ電機が首位であることは知られていますが、2002年にヤマダ電機が首位になる前にトップだったのがコジマで、さらにその前のトップがベスト電器だったのです。

売上高で首位だった企業が、十数年後には自力で営業を続けていけなくなる。そんなことが起こっているのです。家電小売業の厳しい競争環境が想像できますが、果たしてそのような会社で働いたり、経営することは幸せなのでしょうか。必死で事業を拡大し、首位から落ちたら他社の傘下入り。ちょっと嫌だとは思いませんか。

どうしてこんなことが起こるのか。それは家電小売業の多くが、利益を二の次にして、売り上げを追ってきたからです。

売り上げが上がれば利益も増えると考えがちですが、実際には、安売りによる低い利益率で売り上げを伸ばすと、新規出店の経費や増やした社員の人件費などの経費でコストが増え、利益が減ってしまうのです。

さらに、新規出店のために借り入れを増やしていますから、リスクが増えており、店舗を拡大している間は業績がよく見えても、少し立ち止まったり、成長のスピードを落とすと経営が悪化、何らかの事情で売り上げが少しでも落ちると行き詰まるという状況になっているのです。

一方で、事例のU社もそうですが、私が見てきた中には、幸せそうな会社が少なからずあります。

決して大企業ではありませんが、社長が資金繰りなどで苦しむこともなく、毎年、しっかりと利益を出している。社員には、しっかりと残業代やボーナスを出し、社員旅行が海外ということも珍しくありません。

そして何より、社員が自分の会社で取り扱う商品やサービスに自信を持って働き、当然ながら定着率がいい、そんな会社です。

そんな会社と、大企業であっても厳しい競争に勝ち残れないと潰れてしまうような会社は、どのように違うのか。私がたどりついた答えが「値上げ」でした。

(中略)

この本では、値上げについての考え方や、実際に値上げしてお客さんに受け入れられる方法を説明し、紹介していきます。

値上げは、簡単なことではありませんが、しっかりと考えを理解し、手順を踏んで手間をかければ、それほど困難なことではありません。今扱っている商品やサービスをそのままで値上げできるわけではありませんが、どんな会社でも工夫次第で、値上げできる部分を見出すことは可能であり、そこから値上げする商品やサービスの範囲を広げていけると私は考えています。

ぜひ、この考え方、方法を参考にして、中小企業が幸せになれる「値上げの技術」を身につけてください。

目次

はじめに──中小企業が幸せになるには
幸せな中小企業は値上げをしている
利益は後からついて……こない!

第1章 どうして値上げが必要か

1割の値上げで営業利益は2倍になる
値上げが中小企業を幸せにする四つの理由
1.中小企業で働く人の幸せの源泉は「粗利」にある
2.値上げして得た「粗利」が売り上げを伸ばす
3.値上げは取引先(仕入先)を幸せにする
4.値上げはお客さんも幸せにする

第2章 値下げの麻薬にはまっていませんか

値引きしないのも値上げのひとつ
低価格戦略の五つのリスク
1.粗利を損ねる
2.商品や企業・店の価値(イメージ)を損ねる
3.従業員が努力や工夫をしなくなる
4.「一番大事な顧客」に不満をもたらす
5.客層が低下する
不必要な値下げは意外に多い
値下げが常態化している業界こそチャンス
エステティックサロン
会計(税理士)事務所
[COLUMN] 自分より大きな相手に価格勝負はしない
[COLUMN] 社会貢献は値上げの理由になるか

第3章 人はなぜ値上げに抵抗があるのか

値上げに抵抗がある人、抵抗がない人
値上げはお客さんを不幸にしない
世の中には「ぼったくり」がいっぱいある!?
ぼったくり=付加価値が雇用と幸せを生む
粗利をどう還元するか
値上げしないとまずい場合もある
同業他社からの評判が気になる方へ
[COLUMN] 消費税アップなど外部環境の変化で値上げをする場合
[COLUMN] 生活必需品と高級品の違い

第4章 値段のメカニズムを知る

値段のメカニズム①「商品力と値段の関係」
商品力は「価値÷価格」
価値は個人によって基準が異なる
どうやって価値を高めるか
値段のメカニズム②「値段がわからない商品」
値段の妥当性がわからない時の顧客の行動
値段のメカニズム③「値段を知っている相手に値上げはできない」
値段が知られていないものもたくさんある
値段が知られていないものを売る商店は強い
値段が知られている商品の弱み
なぜPB商品はスーパーで安売りにならないか
まとめ「値段のメカニズム」とは?
値段のメカニズム①
値段のメカニズム②
値段のメカニズム③

第5章 中小企業が実践できる値上げの技術

値段のメカニズムから見る値上げの方法
ステップ①「値上げできる商品・サービスを選ぶ」
お客さんが値段を知らない商品
伝えるべき価値のある商品
価値のある商品がなければ探す・作り出す
ステップ②「値上げが受け入れられるように演出する」
価値を増幅して「値段がわからない」商品にする
中核的な価値と付加的な価値
付加的な価値を使う場合の注意点
周辺価値であるサービスを一体化して、新たな商品を作る
商品演出の一番の基本は「商品名」
商品演出は「見かけ」と「情報」が重要
丁寧なパッケージや情報は、買った後の満足も高める
サービス業にこそパッケージが必要
BtoBの場合でも価値の演出はできる
ステップ③「実際に値上げして販売する」
どれくらい値上げするのか
「自分なら買う値段か」で判断しない
すべてのお客さんを対象に値上げはできない
中小企業なら値上げした値段で買うお客さんだけでいい
値上げした商品・サービスの導入方法
値上げした商品は手間をかけて売る
BtoBでも販売促進へのとりくみを
[COLUMN] 価格差別とは何か
[COLUMN] ギフトは「空気」を売るもの

第6章 値上げのための心構え

値上げした後の値段はどう掲示するか
接客でも「値段が高い」とは言ってはいけない
やってはいけない「底の浅い値上げ」
相手を見て値段を変えたり、ダメもとでふっかけたりはしない

おわりに──値上げで一番大切なこと
本当に必要なものは「勇気」
値上げの向こうにブランドがある

略歴

[著者]
辻井啓作(つじい・けいさく)

有限会社ともえ産業情報取締役社長。1969年京都府生まれ。立命館大学法学部卒業後、大和証券、東京都中小企業振興公社を経て、中小企業診断士として活動した後に、社会調査、市場調査事業を行う同社を設立。数多くの中小・中堅企業の現場を調査した経験から、利益確保のための積極的な「値上げ」方法を研究し、多くの企業や店で値上げを実現させてきた。2013年3月、専修大学大学院商学研究科博士課程を単位取得退学。2011年度より千葉商科大学商経学部で非常勤講師として「流通経済論」等を担当。著書に『なぜ繁栄している商店街は1%しかないのか』(阪急コミュニケーションズ)、『独立開業マニュアル これだけは知っといてや』(岩波アクティブ新書)がある。

●装丁/轡田昭彦、坪井朋子
●企画協力/企画のたまご屋さん
●校閲/円水社
●図版制作/朝日メディアインターナショナル

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