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それは誰にも教えたくないほどあなたの仕事に役立つ63のエピソード。「好かれようとするな」篇

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ジャック・ディーは長い間、コメディアンとして成功しようとがんばっていた。
何年もの間、毎晩あちこちのスタンダップコメディの舞台に立ち、努力を続けた。
観客に気に入ってもらおうとがんばった。
そこそこ笑いが取れるときもあれば、そうでないときもあった。
何をしたら受けるのか、彼は模索した。
あるときは陽気な路線で行った。
シリアス路線も試した。
オタク路線も。
毒舌路線も。
どれも受けなかった。
その間もずっと、昼間はウエイターとして働かなければならなかった。
スタンダップコメディアンとしてもらえる報酬は限りなくゼロに近かった。
観客に気に入られようと努力しているコメディアンはほかにも山ほどいた。
誰もが観客に受ける方法を模索していた。
観客に好かれるために芸風を変えようとしていた。
何をしたらいいのか、ひらめきが訪れる瞬間を待ち望んでいた。
彼らと同じく、ジャック・ディーも毎晩、違うことを試した。
毎晩、受けるものもあれば受けないものもあることの繰り返しだった。
毎晩、どんどん必死になった。
来る週も、来る週も。
疲れすぎて働けないせいで、昼間の仕事はクビになった。
不安のせいで酒飲みになった。
思いつめた退屈な男になったせいで、ガールフレンドに捨てられた。
ついに、彼の目にも明らかになった。
自分には才能がない。
考えられなかったことを考えなければならなかった。
諦めることを。
コメディアンとして成功できないことを受け入れなければならない。
それを受け入れたとき、肩から重荷が下りた気がした。
もう笑いを取らなくていい。
観客に好かれようと嫌われようと気にしなくていい。
出演契約はあと1週間しか残っていない、ならば楽しもう。
その晩、彼は素の自分で舞台に上がり、無愛想な顔で黙っていた。
ただ観客をにらみつけた。
ようやく口を開いて言った。「おまえたち、いかにもみじめって感じだよな」
観客が笑い声をあげた。
彼は言った。「黙れよ、お情けで笑ってもらいたくないんだよ」
笑いは大きくなった。
彼は言った。「ていうか、おまえたちには関係ねえ。どうだっていいんだ。
どうせ、あと1週間したら、俺はまともな仕事を探すんだから」
観客は頭を揺すり、テーブルを叩いて大笑いしていた。
こんなコメディアンは見たことがなかった。
彼は最後までこの調子で続けた。
締めくくりに、こう言った。「ほら、終わったぞ。とっとと帰れ」
観客は立ち上がって拍手した。
彼は毎晩、同じことを続け、これまでの2倍の報酬で契約したいとのオファーを受けた。
なぜなら、ジャック・ディーは自分を偽らなかったから。
彼は自分自身だった。
それが彼を違う存在にした。
イギリスで最も成功したコメディアンのひとりにした。
私のもとには、学生や大学卒業者からたくさんの手紙やメールや電話が来る。
内容はいつも同じ、広告業界に入るにはどうしたらいいかというものだ。
広告業界が求めているのはどんな人材か。
大卒のほうがいいのか、実務経験があるほうがいいのか。
ポートフォリオはデジタル分野に特化したものがいいのか、それともテレビCMか。
手当たり次第に応募するべきか、それとも一流企業だけに絞るべきか。
広告会社は何を求めているのか。
自分はどうすべきだと思うか。
会って、アドバイスをもらうことはできないか……。
私に言わせれば、これこそ失敗間違いなしのやり方だ。
彼らは成功する前のジャック・ディーと同じ。
気に入られるにはどうしたらいいか、誰かが教えてくれるのを待っている。
その結果、その他大勢と同じ存在になる。
そんなやり方はジャック・ディーにとって効果がなかったし、広告業界志望者にも効果がない。
効果があるのは、違う存在になることだ。
好かれようとしないことだ。
自分が違う点を見出すことだ。
そして、その「違う自分」になることだ。
それこそがパワーだ。
それこそが新しい。
それこそが求められているものだ。

出典:プレデターシンキング