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アステイオン77

アステイオン77
公益財団法人サントリー文化財団・アステイオン編集委員会 編
  • 書籍:¥952(税別)
  • A5判変形・並製/236ページ(カラー16ページ)
  • ISBN978-4-484-12233-5 C0030
  • 2012.10発行

特集「それでも民主主義」ジョン・ダン/宇野重規/空井 護/山本達也/倉田 徹/田辺明生/メリッサ・ウィリアムズ [論考] 「国民的議論」とは何だったのか─原発をめぐる市民参加のあり方 (小林傳司)など最新の議論と豪華執筆陣。

書籍

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内容

特集 それでも民主主義

アリストテレスが民主主義(デモクラティア)を語った時、
それはプロの政治家を選挙で選ぶ現代の常識とは異なって、
市民がくじ引きによって交代で公職を担当する政治制度を意味していた。
しかもそれは、多数者(デモス)が自らの利益のために
国家(ポリス)を支配する政治のことで、
公益のために市民が協力する国制(ポリティア)の逸脱型とされた。
つまり良き政治体制を意味していたわけではない。

今日、民主主義はほとんど唯一の正しい政治のやり方を意味し、
それに疑問を呈することはとりわけアメリカでは異端である。
だが現実の民主政治に選挙民が不満を募らせているのは、
政権交代後の期待が幻滅に変わった日本だけではない。
民主主義の総本山を自認するアメリカでもワシントンへの不信は強いし、
ヨーロッパでは高邁な欧州統合の理想は、
草の根の民衆の反発に晒されている。
他方で非民主的な中国は世界で存在感が急速に増している。

もし権威主義体制がうまくいくのなら、
なぜ民主主義でないといけないのか。
民主主義とはいったい何で、その可能性と限界は何なのだろうか。
改めて民主主義を正面から考えてみようではないか。

目次

●特集 それでも民主主義

等身大の民主主義観
……ジョン・ダン(ケンブリッジ大学名誉教授)

内なるバランスの回復を目指して──フランスからの示唆
……宇野重規(東京大学社会科学研究所教授)

現代民主政1.5──熟議と無意識の間
……空井 護(北海道大学大学院法学研究科教授)

ソーシャルメディアと「アラブの春」──「動員革命」と「透明性革命」
……山本達也(名古屋商科大学コミュニケーション学部准教授)

「民主(democracy)」と「民主(minzhu)」の出会い──香港から考える
……倉田 徹(金沢大学人間社会学域国際学類准教授)

「開発民主主義」の挑戦──多様性社会インドの道
……田辺明生(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科教授)

グローバル民主主義の未来
……メリッサ・ウィリアムズ(トロント大学政治学部教授)

●時評
美しくも愚かしいことども──『茶の本』の一隅を読む

……芳賀 徹(東京大学名誉教授)

●論考
もうひとつの使い捨て文化──東アフリカにおける中古品の流通・消費

……小川さやか(国立民俗学博物館研究戦略センター助教)

●グラヴィア 地域は舞台
祭りは文化を伝えるか? おけと人間ばん馬(北海道常呂郡置戸町)

……桑田瑞穂

●写真で読む研究レポート
掌のなかの広告──社会を反映するマッチラベル

……並木誠士(京都工芸繊維大学教授)

●時評
ドビュッシー、音楽・美術・文学

……高階秀爾(大原美術館館長、西洋美術振興財団理事長)

タイタニック号の音楽──史実とフィクションのはざまで
……渡辺 裕(東京大学大学院人文社会系研究科教授)

●論考
世界における日本映画──黒澤明から大島渚へ

……平沢 剛(明治学院大学言語文化研究所研究員)

現代中国のアーティスト・艾未未(アイ・ウェイウェイ)
……牧 陽一(埼玉大学教授)

「国民的議論」とは何だったのか──原発をめぐる市民参加のあり方
……小林傳司(大阪大学コミュニケーションデザインセンター教授)

●時評
国技館はイスラム風だった

……藤森照信(工学院大学建築学部教授)

騒擾事件
……奥本大三郎(ファーブル昆虫館館長)

●世界の思潮
拡大するアメリカの格差

……マーク・リラ(コロンビア大学人文学教授)

経済危機と制度改革──「民主化後」を模索するスペイン
……松森奈津子(静岡県立大学准教授)

●アステイオン編集委員会委員

委員長 田所昌幸
     池内 恵
     苅部 直
     張  競
     細谷雄一
     鷲田清一
顧 問 山崎正和
●ブックデザイン/熊澤正人+尾形 忍(POWERHOUSE)
●翻訳協力/斉藤裕一、ジャネット・アシュビー、(株)リベル
●校閲/竹内輝夫
●編集協力/林晟一、阪急コミュニケーションズ書籍編集部