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「愛」なき国 介護の人材が逃げていく

「愛」なき国
NHKスペシャル取材班&佐々木とく子 著
  • 書籍:¥1,500(税別)
  • 電子書籍:¥1,200(税別)
  • 四六判・上製/280ページ
  • ISBN978-4-484-08217-2
  • 2008.07発行

NHKスペシャル「介護の人材が逃げていく」をベースに大幅な追加取材を行い、介護現場の深刻な実態をレポート!現状の介護保険の限界と現場の苦悩をあぶり出す。

書籍

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電子書籍

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内容

介護の人材が逃げていく――。2000年4月、介護保険法の施行によって“介護の社会化”が実現し、高齢者介護が家の暗闇から、社会という公の場に引き出された……はずだった。しかし、それから7年がたち、「社会全体で介護を支える」という介護保険の理念は、早くも崩壊しつつある。介護の社会化を支えるための人材、介護の担い手たちが、職場から急速に逃げ出しはじめたのである。離職率は20パーセント超。その事実に焦点を当てたのが、2007年(平成19年)3月11日日曜日、午後9時から9時45分まで放送されたNHKスペシャル『介護の人材が逃げていく』だった。(プロローグより)
本書では、番組をふまえて介護の人材に焦点を当てながら、なぜこのような事態に至ってしまったのかを探っていく。介護保険とはそもそもどのような制度なのか、そのどこが問題なのか、そして私たちは何を目指せばよいのかを、インタビューに応じてくれた多くの人々の言葉から、介護の現状を浮き彫りにする。

目次

プロローグ 介護保険制度は砂上の楼閣か

第1章 “介護する人”が、誰もいなくなる!
1 一人の介護士の離職をめぐって
 ・心身を高齢者の生と死に添わせる
 ・介護士は使い捨て。5年後すら想像がつかない

2 「介護」とは、いったいどのような仕事なのか
 ・介護を担う人々―― 4人のケースから
 ・ランダムなのが楽しい。自分の価値観を変えさせられる仕事
 ・危険のサインを見逃さない観察力が大事
 ・その人のことが見えてきたときに、広がる世界がある
 ・もはや、スタッフの頑張りでどうにかなるレベルではない

3 給料を上げたくても上げられない
 ・介護事業所に入るお金「介護報酬」の仕組み
 ・私たちがそれを見て判断できるだけの材料を出してほしい
 ・時間をかければものになる若者を、余裕がないから雇えない
 ・専門教育を受けた人が、生涯勤められるだけの給与を払える制度に

4 仕事はあるのに、ほしい人が採れない
 ・準備期間10か月で200人超の採用を実現できたのはなぜか
 ・大都市ほど給与が安い?!介護職のパラドックス

第2章 「恍惚の人」の時代に戻ってもよいのか?
1 つい最近まで、介護は家族の問題だった
 ・介護保険ができるまでの高齢者福祉の流れ
 ・2000年4月介護保険実施。“社会が介護を担う”時代に

2 介護保険で、いったいどのようなサービスが受けられるのか
 ・介護保険を利用するには、どうすればよいのか
 ・どのようなサービスが受けられるのか
 ・有料老人ホームなど、そのほかの施設とは

3 介護保険を支える人たちに必要な資格と、その身分
 ・介護の現場で働く人たちの資格
 ・資格を取る人がいない!養成校は定員割れ

4 介護保険制度はこれからどうなるのか
 ・厚生労働省の「基本的な指針」をふまえて

第3章 なぜ、制度がうまく回らないのか?
1 コムスンが問いかけているもの
 ・コムスン事件とは、どのような事件だったのか
 ・コムスン事件が介護の人材に与えた影響

2 介護大手に勝算はあるのか
・ニチイ学館は、なぜコムスンの施設を継承したのか
・介護業界はこれからどうなっていくのか

3 外国人の活用は介護制度の切り札となるのか
 ・介護現場を震撼させた「くすのきの郷」問題
 ・日本人の介護士不足を補う存在としてのフィリピン人介護士
 ・日本人がフィリピンで始めた、介護士養成のための「日本人退職者村」
 ・あまりにも厳しいフィリピン人介護士の受け入れ条件
 ・フィリピンを視察に訪れた特別養護老人ホーム経営者に密着
 ・「日本・フィリピン経済連携協定」は、なぜ結ばれたのか
 ・在日フィリピン人ヘルパーの介護現場への参入
 ・フィリピンより先に動き出した、インドネシアとの経済連携協定

4 介護保険という制度そのものが抱える問題とは何か
 ・いちばん手当てが遅れたのが、介護労働力の問題
 ・すべてを市場原理に委ねようとした政策のツケが回って来た
 ・人生の最期を引き受ける大切な仕事だからこそ待遇が大事
 ・介護保険は、改正でますます使いづらくなってしまった

第4章 規格どおりの介護がよい介護とは限らない
 ・質の高い介護を実現することで、人もお金もうまく回る
 ・お年寄りと家族の事情に合わせるために必要なこと
 ・やすらかに死ぬことは、基本的人権ではないのか!

あとがき

著者

[NHKスペシャル取材班]迫田朋子(さこた・ともこ)/川添哲也(かわぞえ・てつや)/竹内哲哉(たけうち・てつや)/平田知弘(ひらた・ともひろ)/戸沢冬樹(とざわ・ふゆき)
[佐々木とく子(ささき・とくこ)]

1959年長野県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、雑誌編集などを経てフリーライターに。人物ドキュメンタリーを中心に、ビジネス、医療、食などの分野に執筆。

●カバーイラスト/西口司郎
●ブックデザイン/熊澤正人+内村佳奈