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ほっといて欲しいけど、ひとりはいや。 寂しくなくて疲れない、あなたと私の適当に近い距離

ほっといて欲しいけど、ひとりはいや。
ダンシングスネイル 著
生田美保 訳
  • 書籍:定価1650円(本体1500円)
  • 電子書籍:価格1320円(本体1200円)
  • 四六判・並製/256ページ
  • ISBN978-4-484-20110-8
  • 2020.12発行

人間関係が思い通りにならないときこそ、
自分の感情を尊重してあげよう。
疲れた心のお守りになる一冊。


オトナになるほど複雑になっていく人間関係。
 
近すぎても疲れるし、遠すぎても寂しい。
重すぎてもしんどいし、軽すぎても不安。
注目されるのは恥ずかしいけど、
かまって欲しい。
そんな面倒くさい心の存在を認めて、
自分の感情を自分で尊重してあげよう。
 
主体的にちょうどよい距離を見つけることで、
ストレスを溜めこまずに取り除く「関係デトックス」の方法!
 

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電子書籍

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P R O L O G U E

幼い頃から群れに混じるのが苦手だった。学校ではクラスメイトという水の中でひとりだけ油のしずくとなって浮遊している気分だった。大人になれば人間関係が自然と難しくなくなるだろうと思っていたが、とんでもない。気を遣うこと、わきまえておくべきことが増えるだけで一向にやさしくならない。ケータイでメッセージをやりとりするとき、最後の挨拶はどのタイミングで切り上げればよいのか。仕事の話をするときにスタンプを送ってもよいのか。1~2年に1回しか連絡しない友達の結婚式には出るべきか。ご祝儀はいくら……、といった悩みが新たに生じた。
 
 そういうことで頭がいっぱいになると、クレヨンで塗りつぶした画用紙の上からさらに色を塗りつけている気分になる。あれやこれやで心がすり減っているときは、ますます人が嫌いになり、一週間くらい口をきくのもイヤになる。関係エネルギーが底をついているサインだ。人間関係のデトックスをしなくてはいけない。
 
 みんな、ちょっとずつそうなんだろうか。人より猫、犬(あるいは植物や無生物)にはまる人が圧倒的に多い最近の世相も、これを表しているのではないかと思う。にもかかわらず、ひとりで生きていけるフリをしている自分が実はいかに軟弱で他人に依存した存在であるかをつねに目の当たりにするので、本当に矛盾している。芸能人の死亡記事や知人の結婚式といったことが心に波風を立てる。人というのは、まわりの人の人生、さらには生まれてこのかた一度も会ったこともない誰かさんのニュースとも、まったく無関係には生きられない。
 
 しかし、そうやって人に疲れながらも、人間関係からしか得られない満足感をつねに渇望している。だから私は、人に会っても消耗せずに自分の生活とのバランスを保つための、自分に合った人間関係対処法をいくつか守っている。昨年から続いているルールのひとつは「嫌いな人と義務感で会わないこと」。簡単そうに聞こえるが、実践するとなると考慮することがたくさんある。どの程度嫌いな人までで区切るか、どこまでが義務感なのか、基準を見つけるのが意外と難しい。あれもイヤこれもイヤと言っていたらひとりよがりになってしまうのではという不安もある。けれど、そういうときこそ自分の心に最大限に耳を傾ける。
 
 ストレスが多い時代のせいか、数年前から「小確幸」(※小さいけれども確かな幸福の略。村上春樹による造語。)が流行している。しかし、ストレス状況を受け入れてから解消法を探すより、最初からイヤなことはしないように努力したほうが、心穏やかに暮らすのにはるかに効果的だと気づいた。その努力の一環として、自分の精神衛生に少しでもネガティブな影響を与える関係は適当なところで終わりにする「関係ミニマリズム」を実践している。誰にとってもいい人になろうとは思っていない。自分の心が楽ならば、他人が下す評価は気にしないことにした。すでに人生の大部分を、他人の顔色をうかがい、壊れた自尊心を回復させることに費やしてきたので、残りの人生はもうそうやって生きたくはない。
 
 これからは、いい人にも人気者にもなりたくない。それよりも、自分のものさしでもっと幸せな、心地よい人生を生きることにエネルギーを集中させたい。やりたいこと、会いたい人、書きたい文章、描きたい絵をもっと重視して。そのために、しなければいけないこと、会わなくてはいけない人、書かなくてはいけない文章、描かなくてはいけない絵に費やす時間を最小化する。それが自分にもっと合った生き方のように思う。
 
 水をたくさん飲むのがダイエットによいと聞いて毎日2リットルずつ飲んでいたら手に湿疹ができた、という知人がいる。病院に行って原因を尋ねたところ、今まで飲んでいなかった水をいきなり大量に飲んだので、それが体外に出てきたのかもしれない、と言われたそうな。人間加湿器になったのかと大笑いしたが、そこから大切なことに気づいた。みんながいいというものが、必ずしも自分にもいいわけじゃないんだ、と。
 
 人によって、状況によって、楽でいられる関係の種類と範囲は異なる。ある関係に水のように混じれないなら、油のしずくのまま生きればよいのだ。自分を変えてまで、その集団に溶け込もうとムリはしないつもり。会わなくてはいけない人より、会いたい人に1回でも多く会って生きていきたい。
 
 適当に近い距離で、それほど優しいわけでもない私を理解してくれて、そばにいてくれる家族、友人、知人に、心からありがとうと伝えたい。
 

目次

PART 01
近すぎず遠すぎず
 
領域侵犯
「へぇー、そうなんだ」と「イヤなら別にいいけど」 
人間関係ミニマリスト 
しんどいときはしんどいとアピールしよう 
中二病を治してマナーのある社会構成員になる方法 
ここまでのみ、お近づきになりましょう 
私に合わせていただけますか 
「積極的」でも「消極的」でもない理由 
探すと見つからないヘアピンのような人 
愛が終わる些細な理由 
忘れる権利 
二度と会わない人に 
人づきあいが難しい人たちのクラブ 
心のひもじさ 
結婚式で会う同級生 
ドキドキと引き換えに差し出すもの 
このままがいいんだけど 
徐々に心を閉ざすことになる理由 
「愛しているから」という別れはない 
愛しすぎる人たち 
大丈夫じゃない時間をやり過ごす 
つねに明るい人じゃないことがバレないかと 
「いい人」と「悪い奴」 


PART 02
全員と仲良くしなくても大丈夫

世の中との関係において弱者にならないために 
イヤだと言ったらイヤなんです 
比較のないなぐさめと不安のないお祝い 
目には目を、人には人を 
安定と情熱のあいだ 
クールじゃなくても大丈夫 
心配事が多くて心配なあなたへ 
思い通りにならないなら思うがままに 
ムリに許すよりドライななぐさめを 
自分の感情はどれもつねに正しい 
各自の思い出 
関係は信じても、人は信じない 
寂しいけど恋愛はしたくない 
いつだってよりよい選択が可能だから 
私を傷つけた人について深く考えないことにした
自分を無条件に抱きしめてあげられるのは自分だけ 
全員と仲良くしなくても私は充分にいい人 
シングル祝い金 
人の力でどうにもならないのが人の心 
心臓保管所 
ひとりで完結しなくても大丈夫 
ひとりでうまく過ごせるなら 


PART 03
人にはいつだって人が必要
 
私とあなたのあいだに見えない線がある 
適当に近くない距離 
心の適度な風穴 
「ひとり」と「一緒」のあいだ 
いなくてはならない人なんていない 
誰かが心に入ってくると 
ドキドキだけでは充分でないとき 
縁っていつ頃寄ってくるんだろう 
いっぺんぐらいは心の限りをぶつけてみても 
共に過ごした時間に未練を持たないことにした 
友情とはなんぞや 
人にはいつだって人が必要 
お互いの生活から一歩引いて 
時間が経っても大切に感じるもの 
関係を幸せの道具にしないこと 
食べ物の味や風の匂いなんかが 
私たちってそっくりね 
ご飯より重要なものだってたくさんあるのに 
意味のない関係の重荷を減らす 
長続きしないけどウソでない本心 
お互いの世界を広げていく方法 
折れた心の片方を共有してくれる人

略歴

[著者]
ダンシングスネイル Dancing Snail
絵を描いて文章を書く人。人に会うのが好きだけど嫌いで、関心を持たれるのはイヤだけどうれしい「シャイなかまってちゃん」。バカバカしい空想をしながら散歩をする時間が一番好き。弘益大学でデジタルメディアデザインを学んだが、長い苦悩の末にデザイナー体質でないことを確信し、その後、絵と心の相関関係に興味を持ち、明知大学未来教育院の美術心理カウンセラー課程を修了した。カウンセリングセンターで美術療法士として働くうちに、まずは自分のケアからしなければならないことに気づき、再び絵を描き始めた。今は毎日絵を描いて文章を書くセルフヒーリングを生活化している。著書に、長年の無気力症克服の記録を綴った『怠けてるのではなく、充電中です。』(CCCメディアハウス)があり、日本、台湾、タイ、インドネシアなどで翻訳出版された。『死にたいけどトッポッキは食べたい』(ペク・セヒ著、山口ミル訳、光文社) 、『ねこの心辞典』(未邦訳)など多数の本のイラストも描いた。

[訳者]
生田美保 Ikuta Miho
1977年、栃木県生まれ。東京女子大学現代文化学部、韓国放送通信大学国語国文学科卒。2003年より韓国在住。訳書に、ダンシングスネイル『怠けてるのではなく、充電中です。』(CCCメディアハウス)、ク作家『それでも、素敵な一日』(ワニブックス)、キム・ヘジン『中央駅』(彩流社)、ファン・インスク『野良猫姫』(クオン)などがある。
[装丁+本文デザイン] 眞柄花穂、石井志歩(Yoshi-des.) 
[校正] 円水社