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「禅的」対話で社員の意識を変えた トゥルー・イノベーション

トゥルー・イノベーション
三木康司 著
  • 書籍:¥1600(税別)
  • 電子書籍:¥1280(税別)
  • 四六判・並製/272ページ
  • ISBN978-4-484-18222-3
  • 2018.6発行
『トゥルー・イノベーション』刊行記念!
特別トーク・ライブのお知らせは、こちら
http://books.cccmh.co.jp/seminor/180608/

AI時代のイノベーションは市場リサーチを重視するロジックの積み上げではなく、誰もが自分の内に秘めている「本当にやりたいこと(情熱)」から生まれる。しかし「本当にやりたいこと」に気づき、それを新規事業に結びつけるにはコツが必要だ。zenschoolという独自のメソッドで、成功するイノベーターを多数輩出してきた“真の情熱”を探すメソッドを公開する。

書籍

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電子書籍

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内容

『日経スペシャル ガイアの夜明け』(テレビ東京)で取り上げられて話題になった、成果を上げるイノベーションを生む「対話」の技術とは? 

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論理的思考(ロジカル・シンキング)だけでは可能性は殺される。

AI時代に成功するイノベーションは「情熱」により導き出される。

しかし、ヒトは自身に眠る“真"の「情熱」の見つけ方を知らない。

トゥルー・イノベーションとは、
他に例のない「本物(トゥルー)」のイノベーションであり、
他の誰でもない自分に「誠実(トゥルー)」なイノベーションである。

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近年ではイノベーション、つまり新しい何か(製品・サービス)を生み出そうとするとき、欧米由来の「ロジカル・シンキング」「デザイン思考」「リーン・スタートアップ」「オープン・イノベーション」といった手法を用いることが一般的である。しかし、対象マーケットへのヒアリングとデータに基づいたファクトを積み上げるこれらの手法にばかり頼ると、結果として似たようなアイディアが市場に溢れることになる。なぜならば、ファクトはどこの企業でも、誰でもリーチできるようなものに過ぎないからだ。同じようなファクトから導き出されたアイディアは、当然、独自性に欠ける。

他に類を見ない本当に画期的なイノベーション(トゥルー・イノベーション)を生み出すために大切なのは、ロジックよりも情熱である。個人の心の中にしかない「情熱=本当にやりたいこと(欲しいもの)」は、市場リサーチの結果とは異なり独自性の高いものである。しかし、“真"の情熱は、個人の社会での立ち位置や先入観などの要因に阻まれて霞みがちであり、見つけるにはコツがいる。そしてそのコツのヒントは禅問答にあった。

本書は「zenschool(ゼンスクール)」という「対話」を重視する独自のイノベーション創出講座で、数々の成功するイノベーターを輩出してきた著者が“真のワクワク"を探し出すためのメソッドを公開する。


解説:なぜ私は「ニッコリ」しているのか!?【慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科教授 前野隆司】

帯に写真を掲載していただいた。ミーハーなことに、うれしい。しかし、帯に載る時って、何か気の利いたコメントをふりしぼるのが普通なのに、本書の帯では小さく「前野先生もニッコリ」。え? それだけ? こんなのアリですか? って感じである。


それだけではなぜ私がニッコリなのか意味がわからないと思うので、その背景を解説しよう。

 
自己紹介が遅くなったが、私は、イノベータであり、仏教研究家であり、幸福学研究者である。そう自負している。


まず、精密メーカー技術者だったころ、超音波モータという日本初の発明に寄与し、そのころの私の発明は五十以上の登録特許になった。メーカーに九年勤めてから、慶應義塾大学の機械工学科に移り、ここではロボット工学という分野の中に新たな触覚研究分野を創造することに貢献した。その後、大学院システムデザイン・マネジメント研究科に移ってからは、幸福学という新学問領域を作った。このように、私は、製品開発や学問分野創出という意味でイノベーションを起こしてきた。さらに、最近も、「構造シフト発想法」「欲求連鎖分析」「感動のSTAR分析」といったアイデア発想技法や分析法を開発してきた。自分で言うのもなんだが、イノベータである。

そして、『脳はなぜ「心」を作ったのか』(筑摩書房)という本を書いた二〇〇三年以降、仏教や禅やマインドフルネスの研究をしてきた。さらに、先ほども述べたが、幸せの研究もしている。


その結果わかった重大な秘密をお教えしよう。

「幸せならイノベーションを起こせるし、イノベーションを起こしている人は幸せな人」なのである。要するに、イノベーションを起こすためには、幸せであればいいのである。そして、マインドフルネスは幸せな心を作るためのキーである。


ここまでわかったころに、私は三木さん、宇都宮さんと出会った。で、zenschoolを見学させてもらったところ、これはまさに幸せとイノベーションを架け橋する活動だったのである。これはすごい。おもしろい。そこで、私はzenschoolの効果についての研究をするようになった。


私の経験によると、心を整え、幸福度を向上させ、何をやりたいかを明確化してからアイデアを出すと、ただアイデアを出した時よりも、成功確率が高まる。幸せな人は、やってみよう、なんとかなる、自分らしく、という三つの力が強いからだ。

幸せな人は不幸な人よりも創造性が三倍高いというアメリカの研究結果もある。幸せとイノベーションは深くリンクしているのだ。

 
zenschoolではさまざまなメソッドの一つとして、瞑想を行う。瞑想の起源は仏教である。マインドフルネスの理論によると、瞑想をして心を整えると生産性や創造性が高まることが知られている。だからアメリカのグーグルでも、サーチインサイドユアセルフというマインドフルネスプログラムを取り入れていることは有名な事実である。


zenschoolが重視するのは、鎌倉である。ZENという名称からも、瞑想やマインドフルネスを重視することからも、そこには必然性が感じられる。寺社仏閣が多く、武家文化が残る鎌倉で心を整えることは、当然イノベーティブな活動に適しているというべきだろう。きっと、源氏や北条氏も、かつて鎌倉で斬新な発想を思いついていたのであろう。

ちなみに、蛇足だが、仏教にはいろいろ宗派があるが、その中のひとつである「禅宗」を英語ではZen School という。だから、zenschoolは英語だと仏教の宗派と誤解されやすい。国際ポジティブ心理学協会の国際会議でzenschoolについて発表した時、誤解されないように細心の注意を払ったものである。


さて、手法に話を戻そう。

「ワクワク・トレジャー・ハンティング・チャート」もいい。名前だけ見るとこれはまともな手法か? と疑いたくなる方もおられようが、強みと課題を掛け合わせるとアイデアが出やすい、ということはマトリックス法というアイデア発想技法の研究でも知られており、これはそのアドバンス版である。

ほかにも、「ミー・トゥー・イノベーション」「トゥルー・イノベーション」「カメのイノベーション」「ウサギのイノベーション」など、いろいろとユニークな分類がある。これらの一風変わったイノベーション手法は一見キワモノっぽいが、使ってみるとわかりやすいし役に立つ。

 
zenschoolは、これらの手法を駆使した結果、実際に経営者や会社員の方が、高い確率でイノベーションを生み出しておられることが特徴である。顧客のメインは今のところ製造業の中小企業の経営者。最近では、製造業のみならず、AI(人工知能)や医療の分野でもおもしろい成果が出始めている。さらに、サービス、音響機器、そして美術館といった施設まで、多種多様なイノベーションが生み出されている。
 
それにしても、大企業の方が、我が社はイノベーションが起こらない、と苦しんでいるのを横目に、中小企業の経営者の方々が楽しいイノベーションを連発されているのは、なんとも小気味良いではないか。


大企業の方々は言うかもしれない。いや、我々は、ハイテクを駆使して、もっと市場規模の大きいイノベーションを目指しているから難しいのだ。本書のアイデアって、結構子供だまし的というか、幼稚なんじゃないの?


いやいや、大企業の方の、その発想が間違っているのである。子供のような純粋な心で、心をオープンにして、ワクワク生き生きしながら、自分の強みを生かしていれば、そこには幸せがあるのである。そして、幸せな人は、アイデアが湧き、市場に受け入れられるおもしろいイノベーションを生み出せるのである。イノベーションには高級とか低級はない。お客様が喜んでく
だされば、つまり市場に受け入れられれば、それはイノベーションなのである。

まだ未発表だが、私が妻と一緒に行った研究成果をこっそりお教えしよう。zenschoolの前後比較をすると、なんと、ほとんどの人は幸福度が上昇するのである。やっぱり。

幸福度向上とは、心のイノベーションである。心が変わる。内面が変わる。そして、同時に、イノベーティブなアイデアは世界を変える。外界が変わる。外面が変わる。つまり、zenschoolは、内面と外面のイノベーション。全体包含的なのである。ホリスティックである。東洋思想的である。だから本当にイノベーションを起こせるのである。True Innovationである。


zenschoolの参加者は、もちろん、みんな楽しそうである。内面も、外面も、つまり、みんなが幸せになるのである。ニッコリである。すばらしい。幸せな社会づくりである。世界平和の始まりである。こんな素敵な活動、ぜひ皆さんも一度体験していただきたい。

つまり、zenschool は、私の大好きな、イノベーションと、仏教と、幸福学を統合した象徴のような活動なのである。今後、日本から世界に発信すべき、実践知なのである。しかも、ユニークである。だから、zenschoolは、研究者である私にとって、格好の研究材料である。あー、すばらしい。ともに世界を変えられる。あー、楽しい。ワクワク。僕のトレジャー。これから
がさらに楽しみである。

 
そして、私は、思わずニッコリするのである。


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著者

三木康司(みき・こうじ)

株式会社enmono代表

1968年生まれ。明治学院大学卒業後、富士通株式会社に入社し海外営業部に配属される。その後、慶應義塾大学大学院藤沢キャンパス(SFC)へ自費留学。インターネットを活用した経営戦略を研究し、政策・メディア修士号を取得後、博士課程へ進学。中小製造業支援ベンチャーに入社し、博士課程を単位取得退学。同社が国内最大規模の製造業ポータルサイトに成長するのを支える。担当役員を務めた後、2009年にリストラに伴い退職。

退職をきっかけに坐禅を開始し、坐禅中に思いついたアイディアをもとに、2009年、宇都宮茂【うつのみやしげる】氏とともに株式会社enmono(エンモノ)を起業する。同社は「ワクワクするモノづくりで世界が元気になる」を経営理念とし、自社製品・サービス開発講座「zenschool(ゼンスクール)」などを通じて誰もがメーカーになれる「マイクロモノづくり」の概念の普及に努めている。

また、自身が居住する鎌倉をベースにしたローカル・コミュニティ「カマコン」のメンバーとして、マインドフルネスの国際カンファレンス「Zen2.0」を企画。2017年には、建長寺で、禅の老師、研究者、アーティスト、ジャーナリストなど、多岐にわたる専門家がプレゼンテーションを行った。著書に『マイクロモノづくりはじめよう』(テン・ブックス)がある。

■株式会社enmono www.zenschool.jp/
■ブログ enmono-mikikouj.blogspot.jp
■Facebook facebook.com/mikikouj

目次

プロローグ 「イノベーション」という言葉にウンザリな人へ
■ イノベーションを創出するとは?
■ リストラ……「お金」の恐怖に支配された私
■ 坐禅と出会い、問いを立てはじめた
■ 自分との徹底した対話はクリティカル・シンキング
■ 私たちが「対話」を提供しているわけ
 
章 「マインドフルネス・ビジネス」の時代――211.8兆円規模の市場が持つ可能性
■ 不確実で不透明な「VUCAの時代」
■ スティーブ・ジョブズと道元禅師
■ マインドフルネスは今後のイノベーションとフィットする
■ 「マインドフルネス・ビジネス」の市場規模

2章 「問いを立てる力」と「対話する力」――AI時代の人間に求められる能力
■ イノベーティブでなければキツイのがAI時代
■ 日本にイノベーションは必要か?
■ 既存の欧米型イノベーション手法あれこれ
■ イノベーションに欠かせない7つの能力
■ 「課題」と「問い」の違いとは? 
■ 「○○すべき」から「とにかく○○したい」へ
■ デザイン思考とzenschoolは補完関係
【トゥルー・イノベーション事例① archelis(アルケリス)】

3章 ロジカル・シンキングの罠――日本企業のイノベーション部門が失敗する理由
■ イノベーション部門乱立の夢の跡
■ 「ロジック積み上げ型」のイノベーション手法
■ 「ビジョン先行型」のイノベーション手法
■ 情報を外部に求める「ミー・トゥー・イノベーション」
■ 「IoT」×「○○」でググってみた
■ あるチェーン飲食店でのできごと
■ 情報を自分の内に求める「トゥルー・イノベーション」
■ 「トゥルー・イノベーション」は自分の足もとにある

4章 「ウサギ」と「カメ」のイノベーション競走――理解されない「カメ」を支えるチームの力
■ 「ウサギ型」「カメ型」それぞれのイノベーション
■ ソニー「ウォークマン」に見るイノベーションの「特異点」
■ 「ミー・トゥー」と「トゥルー」はきっかけが違う
■ どのイノベーション手法を採用すべきか?
■ 大企業でイノベーションが定着しない理由
■ 事業部の壁を超える「幸せの根回し」戦略
■ チームの力 ― 傘下企業のイチ社員がグループを動かした
【トゥルー・イノベーション事例② 想い出タクシー】

5章 イノベーターと「十牛図」――「真の情熱」を見つける「悟り」のプロセス
■ 「理解されない」=イノベーティブである
■ 年商を5倍にした「カメ型」イノベーター経営者
■ 「ホンモノのワクワク」と「ニセモノのワクワク」
■ 禅の「十牛図」はイノベーションの旅?!

6章 実践「トゥルー・イノベーション」――先入観から自由になるzenschool式思考術
■ zenschoolが上げてきた成果
■ 「何も教えない」という信条
■ チーム・ビルディング――「自分史マインド・マップ」を描く
■ ワクワクを思い出す――瞑想と「10才の夏休みを思い出す」ワーク
■ 自分の内に眠る情熱×スキル――「ワクワク・トレジャー・ハンティング」
■ 箱を出る――固定観念から脱するためのワーク
■ 「啐啄同時」の抽出――「対話」の先にある奇跡
■ コンセプトを詰める4つのワーク
■ 現実的な事業計画
■ みんなで育てる「トゥルー・イノベーション」――プレゼンの作法
【トゥルー・イノベーション事例③ Polygon阿修羅(ポリゴン・アシュラ)】

7章 自分と向き合う「禅的」対話の技術――「啐啄同時」の瞬間、世界はバラ色になる
■ 「禅的」対話のヒントは禅問答
■ 「鬼」と「お釈迦様」――二人のファシリテーターとの対話
■ 「一対一」から「一対複数」へ――広げて解像度を上げる対話
■ 身体は嘘をつかない――自分との対話
■ 他者の目を通じて自分の本心と対話する
■ 「コ・リーディング」という対話技術

エピローグ 「トゥルー・イノベーション」が人を動かす時代へ
解説 なぜ私は「ニッコリ」しているのか!? (前野隆司)